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episode:04 『Monroeville Mall Part2』


「…………」


「「…………」」


え、何この沈黙。

普通、この状況下で生存者と遭遇したら何か言うだろ?


「……帰れ。ここには女子供しか居ない。お前達の求める物など、存在していない」


せ、盛大に勘違いしていらっしゃるぅぅぅぅぅ!!










(おい、た――神谷曹長、何とかしろよ。なんか、盛大に勘違いしてるぞあのおっさん)


(勘弁してくれよ、俺はジム・キャリーでもクリス・タッカーでもねぇんだよ!喋るのは苦手なんだ)


「何をこそこそと話している。食料ならくれてやる、さっさと"命令"に従って撤退したらどうだ」


――自衛隊に撤退命令が出たのか?

つーか、何でこのオッサンは自衛官に対して警戒心丸出しなんだよ。


(やっぱ、あれか?俺達の格好か?)


あー、そういやぁ血塗れだったな、俺達。


「どうした?用が無いなら、私は戻るぞ」


「いや、すみません。何せ、想像していたのと状況が違いましたので――あぁ、自己紹介が遅れました。私は第10師団に所属する"神谷 衛(名前は捏造)"一等陸曹です。で、こっちが」


「"近藤 篤志"(やっぱり捏造)一等陸士です。ところで、撤退命令と仰いましたが――」


「聴いてないのか?政府は全自衛隊に国外への撤退を命令したそうだ。お陰で、私達は取り残されてしまったよ……あぁ、君達の他にも2名の自衛官が命令を無視して残ってくれていたが、知らないか?」


……あるぇ?何かこの展開、やばくね?


「いえ、知りませんが。近藤、お前知ってるか?」


「いえ、知りません」


オッサンの表情が目に見えて険しくなって来た。

やべ、墓穴掘ったか、俺達?


「ほう、そうか。その二名の自衛官も"神谷"と"近藤"と名乗ってたな。何故か名前が違ったが」


「いやぁ、良くある名前ですから。な、近藤?」


「そうそう、良くある名前ですよ」


「ほう、階級も一緒だったが?所属は違うようだが。まぁ、良い。その自衛官二名はな、トラックに乗って逃げ出したよ。何故だか分かるか?」


オッサン、何故に左手を懐に入れる。


「あいつ等、この状況を良いことに散々やりたい放題やりやがってなぁ……だから、俺達が追い出したんだよ」


「……OK、状況は把握した。俺の名前は、滝本。滝本、勝幸、ただのしがない警備員だ」


「あー、俺は大矢 光司。この前まではとある百貨店の社員だったが、今はニート」


二人して両手を挙げながら、本性を現す。

頼むぜ、オッサン。その懐から手を抜いてくれ!マジで!


「成る程、それが本当かどうかは別にどうでも良い。それより、どうやって装備を手に入れた?」


「ゾンビに囲まれて絶対絶命のピンチをその人達に救ってもらったんだよ」


「まぁ、代わりにあの人達は死んじまったがな。嘘だと思うなら、見てきたらどうだ?そこのゲーセンの事務室に遺体が安置してあるからよ」


「フン、あいつ等の考えそうな事だな。お前達を手駒にしようとしたんだよ」


はぁ?観葉植物と傘でゾンビと対峙してた奴等を手駒にしようとしてた?

――有りえんだろ。いや、自分でやっといて何だが、そんな奴等を見かけて手駒にしようなんて考えんだろ。


「あんた、何かおかしいな?俺達、観葉植物と傘で戦ってたんだぞ?」


「はぁ!?観葉植物と傘ぁ!?」


オッサンの眼が泳いでるな。

職業柄、多くの嘘吐きを見てきたが――間違いない、コイツ、嘘吐いてやがる。

大矢に軽く視線を送ると、頷き返した。


「オッサン、悪いがアンタは信用できない。ちょっち、中に入らせてもらうぞ?」


「ま、待て!中には通さんぞ――」


「動くなぁ!両手を頭に乗せ、壁の方に向け――少しでも、おかしな動きをしたら撃つ」


一瞬の隙を突き、大矢がホルスターから拳銃を引き抜いてオッサンに向ける。


「大矢、良くやった。さて、オッサン。物騒なもんは俺が預かるからな?」


「貴様等、私にこんな事をしてただで済むと思ってるのか!?」


オッサンの懐にぶら下がっていたホルスターから、拳銃を引き抜く。

――P230、か。警官か、それとも奪ったのか?


「おうおう、威勢の良い事で。武器も無しにどうやって俺達を倒す心算なんだよ?」


「フン、本職でもない小僧共なんぞ、どうでもなる。ほら、その証拠に後ろのヤツ。安全装置を外すの忘れてるぞ?」


「滝本、俺は確信したぞ。このオッサン、馬鹿だ。そんな映画で使い古された手法で引っかかる奴居ないだろ」


「そりゃ、そうだ。そんな馬鹿は居ねぇよ。あぁ、大矢。俺も確信したぞ?このオッサン、警官じゃねぇ。右利き用の拳銃なのに右脇に挿してあったからな。しかも、前後ろ逆に。なぁ、アンタ?どうやって拳銃抜く心算だったんだよ?」


いや、マジで気になるんですけど。しかも、薬室に装填されてねぇし。


「ま、待ってくれ!私が悪かった!だから、撃たないでくれ!」


「大矢、そいつ、ちゃんと見張ってろよ?」


「おう、変な動きしたらド頭を吹き飛ばしてゾンビの餌にしてやる」


「待て!そこから先へは進むなぁ!見るんじゃない!そこは私の理想郷――」


オッサンの叫びを無視し、俺は自動ドアに手をかけた。





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