噂の7
<<絵の噂>> 主演「千里様、カナ様」
カメラアングル「千里様」
私の名前は千里と言って、近くの大型デパートで働いています。
実は、私の娘のカナが、数ヶ月前から奇妙な絵を描いているんです。
その日も、私が家に帰宅した時にも、その絵を描いてました。
「ただいま。カナちゃん、今日は何が食べたい?」
台所に鞄を置きながら、いつもと同じようにご飯を支度を始めながら私は言う。
居間と台所は繋がっているから、すぐに返事が返ってくると思いましたが、返事は返ってきません。
「カナ?」
すこし、心配になった私は台所から居間に足を運びます。
居間では、カナが落書き帳一杯に絵を描いてました。
真っ白な紙には、ごちゃごちゃした赤い大きな丸に黒い丸が二つ。そしてその下には大きな黒い丸が一つ。
私は、その絵が気味が悪くて仕方がありません。
「ねぇ、いつも何の絵を描いているの?」
すこし屈んで、ゆっくりとした口振りでカナに質問をする。
でも、カナは千里の質問は答えずに、無視して絵を描き続ける。
私はすこし苛立ちを覚えて、
「言いなさい!何を描いているの?」
荒々しい声で、私はカナに訊ねた。
カナは絵を描くのをやめて、振り向かずに答えます。
『お母さんが死ぬ時の顔』
私は、娘のカナの答えに酷く寒気を感じました。
そして、私は娘から落書き帳を無意識の内に取り上げてしまいました。
「あ〜あ」
カナはやる気のない呻きのような声を出しながら、私の後ろを見上げます。
私は振り返った。その先には黒いパーカー姿の人が立っていて、手にはアイスピックが握られています。
そして――!
ここで、意識はなくなりました。殺されたのです。
闇の中、こんな声が聞こえた気がします。
『おい、この絵と殺されたこの死体の顔……』
『似ていますね……誰が描いたんですか?』
『数年前に死んだ。この死体の娘さんだよ』