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多様性を武器にするのは、いつも健常者な気がするんだ

作者: P4rn0s
掲載日:2026/01/15

私はその発言を、夜のタイムラインで知った。

画面の向こうで、障害者手帳を持っているというインフルエンサーが、

「障害者同士で子どもを作ったら“バケモノ”が生まれる」

そう言ったらしい。


言葉だけを切り取れば、あまりにも強烈で、乱暴で、誰かを深く傷つける表現だ。

実際、すぐに炎上した。

「差別だ」「優生思想だ」「不謹慎だ」

正義の言葉が、正義の顔をして並び始めた。


けれど、奇妙な光景がそこにあった。

その発言を「間違っている」と声を上げていたのは、主に健常者だった。

一方で、「分かる」「綺麗事を言える立場じゃない」と擁護していたのは、別の障害者たちだった。


いつもこうだ。

当事者の中で苦しみながら発せられた、歪で、醜くて、どうしようもない言葉ほど、

被害を受けていない人間たちが、いちばん綺麗な言葉で叩く。


「そんな言い方はおかしい」

「言葉を選ぶべきだ」

「多様性の時代なのに」


そのどれもが、正しい。

正しいからこそ、空っぽに聞こえる。


生まれてくる子どもが、どんな目で見られるか。

親の障がいが、どれだけ人生に影を落とすか。

支援が足りず、制度が追いつかず、

「理解されているふり」だけが増えていく日常を、

彼らは想像できるだろうか。


「バケモノ」という言葉は、確かに残酷だ。

だが、あれは誰かを傷つけるための刃というより、

自分自身に突き立てられた鏡だったのではないかと思う。


自分がそう呼ばれてきた。

社会に、制度に、視線に。

だから、先に言ってしまう。

自分の口で、いちばん酷い言葉を。


それを見て、何も被害を被っていない人たちが、

「それは違う」と声を張り上げる。

安全な場所から、多様性を語る。

傷ついたことのない声は、いつだってよく響く。


当事者が「これは地獄だ」と言っている横で、

当事者ではない人間が「希望を持とう」と言う。

そのズレに、私は苛立つ。


誰もが優しくあるべきだ、という正論は、

誰かの絶望を黙らせるための布になることがある。

覆って、見えなくして、

「もう問題は解決した」という顔をする。


多様性を語る前に、

その言葉が生まれるまでの痛みを、

一度でも想像したことがあるのだろうか。


画面を閉じても、胸の奥にざらつきが残った。

きっと明日も、同じ構図が繰り返される。

被害を受けていない人が怒り、

傷を負った人が沈黙するか、過激な言葉でしか語れなくなる。


その現実を見ないまま、

「正しさ」だけが更新されていく。

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