神撃車メルカバー　―辺境駐屯士官、亡国を駆ける―

冷たい夜霧に包まれた辺境の街、ガリツィエン公国。
かつての輝きを失い、静寂と沈黙が支配するその地に、帝国陸軍の若き士官カイン・ヴェルナーは派遣される。
忘れられた鳥人族イスラル人の聖地、廃れた記録の書庫《セフェリム》。
そこで目覚める伝説の神撃車《メルカバー》。
鷲鼻の美しい瞳を持つ鳥人族の女性との出会い。
彼女が見せる段階的な鳥獣戯化の姿は、この国の秘めたる力と過酷な歴史を物語る。

混迷の時代の中、鉄と魔法が交錯する戦いの影が忍び寄る。
カインの胸に宿るのは、滅びゆく国を救う小さな決意だった。

静かな夜に訪れた、新たな運命の幕開け。
血と涙に染まる大陸で、若き士官の物語が始まる。