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処刑当日

 処刑台へと続く石の階段を一歩ずつ上がりながら、私・水瀬雪音は背後から聞こえる民衆の罵声を全身で受け止めていた。


「悪魔を殺せ!」「人殺しに死を!」「氷の魔女を葬れ!」


 手首と足首に巻かれた魔力封印の鎖が、歩くたびに重い音を立てる。王都の中央広場に設置された処刑台は、陽光の下で不気味に黒光りしていた。断頭台の刃が、まるで私の運命を嘲笑うかのように輝いている。


 群衆の最前列には、夫を失った女性の姿があった。昨日、市場で私に石を投げつけたあの女性だ。その隣には、まだ幼い子供が母親の手を握りながら、私を恐怖の混じった瞳で見つめている。その子の父親も、エリザベートが氷漬けにした十七人の中の一人だった。

 そして、貴族席には金髪の美しい王子――アレクサンダーの姿があった。昨日の牢獄での会話を思い出し、私の胸に複雑な感情が湧き上がる。


『ついに来ましたわね、最期の時が』

 頭の中でエリザベートの声が響く。昨夜から、彼女の声には妙な穏やかさがあった。

(怖くないの?)

『怖いですわ。でも……もう覚悟はできております。そして、あなたを信じておりますから』

 私の胸が温かくなった。エリザベートは昨日の約束通り、詳細を知らないまま私を信頼してくれている。

『それに』エリザベートの声が静かに続く。『アレクサンダー様ともお別れができましたし……』


 アレクサンダーと私たちの視線が一瞬交差した。彼の表情には、深い悲しみと困惑が刻まれている。昨日の会話で、彼も私たちの変化を感じ取ったのだろう。しかし、それでも処刑を止めることはできない。

『あの方も、きっと苦しんでいらっしゃるでしょうね』

 エリザベートの声に、もう恋人としての執着はなかった。一人の人間として、アレクサンダーの苦悩を思いやる優しさがそこにはあった。


 私は処刑台の上に立たされ、群衆と向き合った。数千人はいるだろう民衆たちの視線が、私という存在の全てを糾弾している。その中で、金色に輝く髪の美しい少女が、特等席から私を見下ろしていた。

 セレナ――美奈の姿をした復讐の女神。


「エリザベート・フロストハイム」処刑執行人の声が広場に響く。「死刑執行の前に、最後に何か言いたいことがあるか?」

 民衆からは「何も言わせるな!」「さっさと首を刎ねろ!」という声が上がる。しかし、私には伝えなければならないことがあった。

 私は深く息を吸い込み、声優として培った発声技術を総動員して、広場全体に届く声で話し始めた。


「皆様、私は……」


 声が震える。しかし、それは恐怖だけではなく、心からの後悔によるものだった。

「私は、エリザベート・フロストハイムという悪魔ではありません」

 群衆がざわめく。何を言い出すのかと、困惑の表情が広がった。

「私の本当の名前は、水瀬雪音。皆様とは違う世界から来た、一人の女性です」


 民衆の間に大きなどよめきが起こる。しかし、私は構わず続けた。


「私は声優という職業に就いていました。声で様々な人物を演じる仕事です。そして三年間、エリザベート・フロストハイムという役を演じてきました」

「何を馬鹿なことを!」群衆から野次が飛ぶ。

「でも、これは嘘ではありません」私は目を閉じ、心の奥底から声を絞り出した。「私は突然この世界に飛ばされ、エリザベートの身体に入り込んでしまったのです」


 美奈が座る特等席から、鋭い視線が私を貫く。彼女だけは、私の言葉が真実だと知っている。一方、アレクサンダーは困惑した表情でこの異常な告白を聞いている。

「そして……私は自分の世界で、とても醜い罪を犯していました」

 私の声が震える。これから話すことは、私の最も恥ずべき秘密だった。

「私には、宮下美奈という同僚がいました。同じ声優で、いつも私より良い役を取っていく、優秀な女性でした」

 群衆は困惑していたが、次第に私の真摯な告白に耳を傾け始めた。

「私は……私は彼女に嫉妬していました。なぜ私には主役が回ってこないのか、なぜ彼女ばかりが注目されるのか……その嫉妬が、やがて憎悪へと変わっていきました」


 涙が頬を伝う。声優として技術的に作り出した涙ではない。心の底から溢れ出る、本物の後悔の涙だった。

「そして私は……匿名で彼女の悪口を書き込んだのです。卑劣で陰湿な攻撃でした」

 群衆の間に、微妙な空気の変化が生まれる。私の告白の深刻さに、一部の人々が同情を示し始めたのだ。

「美奈は……宮下美奈は、その書き込みを見てとても傷つきました。信頼していた同僚からの裏切りに、深く心を痛めました」


 私は特等席の美奈を見上げた。彼女の表情は複雑に歪んでいる。アレクサンダーも、この告白の重さを理解しているようだった。

「私の嫉妬が生み出した言葉の刃が、彼女の心を切り裂いたのです。私は……私は人の心を殺したのです」


 広場に静寂が訪れた。私の告白の重さに、民衆たちも言葉を失っていた。


「だから、今この場にいることも……自業自得なのかもしれません」

 私は深く頭を下げ、そして続けた。

「しかし、エリザベート・フロストハイムとしても、私は謝罪しなければなりません」

『あなた……』エリザベートの声が頭の中で震える。

(今度は、あなたの言葉を私が代弁させてもらうわ)

 私は姿勢を正し、エリザベートの意思を受け継いで、気品のある声色に変えた。

「私、エリザベート・フロストハイムは……」

 声が詰まる。しかし、それはエリザベート自身の感情だった。

「私は王族として生まれながら、その地位を悪用いたしました」

 私の口を通して、エリザベートの魂からの言葉が紡がれる。

「常に姉と比較され、愛情に飢えていた私は……自分より弱い立場の人々を虐げることでしか、自尊心を保つことができませんでした」


 群衆の間に、さらなる静寂が広がる。


「そして、愛する人に見捨てられた絶望から……」

 私の声が震える。アレクサンダーとの婚約破棄の記憶が、鮮明に蘇ってきた。

「最後の支えを失った時、私の心は完全に壊れてしまいました。自分が味わった絶望を、他の誰かにも味わわせたくなったのです」


 アレクサンダーが席で身を震わせている。彼も、自分がエリザベートの暴挙の一因となったことを理解したのだろう。


「十七名の尊い命を奪ったこと……その方々の家族に深い悲しみを与えたこと……取り返しのつかない罪を犯したこと……」

 私の声は震え、涙が止まらなくなった。それはエリザベート自身の涙でもあった。

「心から……心から謝罪申し上げます」


 私は土下座をした。王族としてのプライドなど、もうどうでもよかった。ただ、心からの謝罪を示したかった。


 群衆の間に、すすり泣く声が聞こえ始めた。一部の民衆が、私たちの告白に心を動かされているのがわかった。

「あの子も……可哀そうに」

「王族として愛情に恵まれていると思っていたが……」

「愛する人に捨てられた絶望か……」

「でも、人を殺したことに変わりはない」

「それでも、あんなに心から謝っている……」

 民衆の声は複雑だった。同情と怒り、理解と糾弾が入り混じっている。


 アレクサンダーが立ち上がろうとしたが、結局座り直した。彼にできることは何もない。自分が愛していた女性の最期を見届けることだけだった。


 その時、特等席から美奈が立ち上がった。

「美しい演技ですね」

 セレナの姿をした美奈の声が、広場に響く。

「しかし、あなたがどれほど謝罪しようと、死んだ人は帰ってきません。あなたが心を痛めようと、失われた命は戻りません」

 美奈の言葉は冷徹だった。

「正義は執行されなければなりません。処刑を開始してください」


 群衆の間に動揺が走る。セレナの冷酷さに、一部の民衆が戸惑いを見せていた。アレクサンダーも眉をひそめている。

「セレナ様……しかし、あの子は心から反省を……」

「反省は罪を帳消しにしません」美奈は毅然として答える。「悪は裁かれるべきです」

 処刑執行人が断頭台に向かう。私は最後の手段を講じる時が来たことを悟った。


「待ってください」


 私の声が響くと、全ての動きが止まった。

「皆様に、最後にお見せしたいものがあります」

 私は目を閉じ、心の奥底に眠る古代魔法の知識を呼び起こした。エリザベートから学んだ、魂分離の術。これが私の最後の策だった。

『雪音、まさか……』

(エリザベート、あなたの魔力を貸して)

『危険すぎますわ! 失敗すれば……』

(私たちの魂が霧散する。わかってる。でも、これしか方法がない)


 私は魔力封印の鎖にもかかわらず、内なる力を解放し始めた。エリザベートの氷の魔力が、私の身体を通して流れ出す。

「『ソウル・セパレーション』!」

 古代の呪文が私の口から響く。瞬間、私の身体から透明な光の塊が分離し始めた。私の魂が、ゆっくりと肉体から抜け出していく。


 群衆が息を呑む。目の前で起こっている超常現象に、恐怖と畏敬の入り混じった感情を抱いている。アレクサンダーも驚愕している。


 しかし、美奈は私の意図を察していた。

「させません!」

 セレナの身体から、眩い光の魔力が爆発的に放出される。『ライトバインド』――光の束縛魔法が私を襲った。


「『アイスウォール』!」

 私は咄嗟に氷の壁で防御する。しかし、魔力封印の鎖の影響で、氷の壁は薄く脆かった。


「魂分離の術など使わせません! そんな卑怯な手段で同情を買おうなんて!」

 美奈の怒りが込められた『ライトスピア』が氷の壁を貫く。光の槍が私の肩を掠め、血が飛び散った。

 群衆が悲鳴を上げる。処刑台の上で、光の魔法少女と氷の魔法少女の激しい戦いが始まったのだ。


 アレクサンダーが席から立ち上がった。「セレナ! 何をしている!」

 しかし、美奈は振り返らなかった。

「『ライトストーム』!」

 無数の光の矢が私を襲う。私は必死に『アイスシールド』で防ぎながら、魂分離の詠唱を続けた。


「『ソウル・セパレーション』……!」


「やめなさい!」美奈の声が絶叫となる。「そんなまやかしで、私の憎悪が消えるとでも思っているの!」

『ライトジャッジメント』――セレナの最大呪文が発動される。巨大な光の剣が空から降り注いだ。


 私はそれを『ブリザード』で受け止めようとしたが、魔力の差は歴然だった。光の剣が私の肩を貫く。

「がはっ……!」

 苦しみながらも、私は詠唱を止めなかった。これが最後のチャンスだった。


 アレクサンダーが剣を抜いて駆け出そうとしたが、護衛に止められた。彼にできることは何もなかった。


「『ソウル・セパレーション』!」


 ついに魔法が完成した。私の魂が肉体から分離し始める。透明な光の塊となった私の魂が、ゆっくりと肉体から抜け出していく。


「そんな……!」

 美奈が驚愕する。しかし、私の魂分離は成功していた。

 空中に浮かぶ私の魂を見て、美奈が絶望的な表情を浮かべる。しかし、その時だった。

 残された肉体の中で、エリザベートの意思が最後の力を振り絞った。


「『ソウル・セパレーション』……!」


 同じ魔法が、今度はセレナに向けて放たれた。美奈の魂が、セレナの肉体から強制的に引き剥がされる。


「いやああああ!」


 美奈の魂もまた、光の塊となって空中に浮かび上がった。

 空中で、二つの魂が向き合う。私の魂と美奈の魂が、処刑台の上で対峙した。


 アレクサンダーが息を呑んで見つめている。民衆も、この超常現象に恐怖と畏敬を抱いている。


 そして、運命的な瞬間が訪れた。

 二つの魂が触れ合ったのだ。


 瞬間、私と美奈の意識がリンクした。しかし、それは穏やかな融合ではなかった。


『うわああああ!』


 美奈の魂が激しく拒絶する。私の心の奥底にある全ての感情が、津波のように彼女に流れ込む。

『やめて! 入ってこないで!』

 美奈の魂が暴れるように抵抗する。私の記憶、感情、そして本当の後悔の気持ちが、容赦なく彼女の意識に流れ込んでいく。

 同時に、美奈の心もまた、私に開かれた。彼女の怒り、憎悪、そして深い傷つきが、生々しく私に伝わってくる。


『あの夜……あなたの書き込みを見た時の絶望……』


 美奈の記憶が私に流れ込む。スマホの画面を見つめ、涙を流しながら震えている美奈の姿。信頼していた友人からの裏切りに、心が砕け散っていく様子。


『でも……でも、これは……』


 美奈の魂が混乱する。私の心の奥にある、本当の後悔と自己嫌悪を感じ取ったのだ。

『あなたは……本当に後悔していたのね……』

『美奈……』

 私の魂が彼女を包み込もうとするが、美奈は激しく抵抗した。


『でも許せない! どれだけ後悔していても、私が受けた傷は消えない!』

 美奈の魂から、激しい憎悪のエネルギーが放出される。しかし、その憎悪の奥に、別の感情があることを私は感じ取った。


『美奈……あなたも寂しかったのね……』


 私が感じ取ったのは、美奈の深い孤独感だった。いつも主役を演じ、周囲から「完璧な美奈ちゃん」として扱われ、本当の自分を理解してくれる人がいなかった寂しさ。


『やめて……そんな……』

 美奈の魂が震える。彼女の心の奥底にあった、私への複雑な感情が露わになる。

 憎悪だけではなかった。私への憧れ、そして失われた友情への渇望。そんな感情も確実に存在していた。


『私だって……私だって辛かった……』

 美奈の魂から、本音が溢れ出す。

『いつも完璧を求められて、一度でも失敗すれば叩かれて……本当は誰かに甘えたかった……あなたに甘えたかった……』


『美奈……』


 私の魂と美奈の魂が、徐々に共鳴し始める。お互いの痛み、孤独、そして歪んでしまった感情を理解していく。

『でも……あなたは私を裏切った……』

『そうよ……私は最低だった……嫉妬に狂って、大切な友達を傷つけた……』

 二つの魂が、激しくぶつかり合いながらも、徐々に理解を深めていく。


『許せない……でも……』

 美奈の魂が揺れる。憎悪と理解が入り混じり、複雑な感情の渦が巻き起こる。

『私たち……似ていたのね……』

 ようやく、美奈の魂から静かな言葉が漏れる。

『どちらも孤独で、承認を求めて、そして歪んでしまった……』

『美奈……』

『すぐには許せない……でも……』


 美奈の魂が、わずかに温かくなる。

『あなたの後悔は本物だった……そして、私の憎悪も……もう疲れた……』

 二つの魂が、ゆっくりと寄り添う。完全な和解ではない。しかし、理解の始まりだった。


『この世界で……一からやり直しましょう……』

 私の魂が美奈の魂を包み込む。

『時間をかけて……本当の友達になれるように……』

『……』


 美奈の魂から、復讐への執念が静かに消えていく。代わりに現れたのは、疲労と、そして微かな希望だった。


 しかし、魂分離の術は長時間維持できるものではなかった。やがて、二つの魂はそれぞれの肉体へと戻っていく。

 私はエリザベートの身体に、美奈はセレナの身体に。


 地面に膝をついた私たちを、群衆は畏敬の念を込めて見つめていた。魂同士の対話を目の当たりにした人々は、もはや処刑を求める声を上げなかった。


 アレクサンダーが駆け寄ってきた。

「エリザベート……」

 彼の声には、深い感動が込められていた。

「君は……本当に変わったんだな」

 私は微笑んだ。「ええ、アレクサンダー。あなたとの愛があったからこそ、私は人を愛することを知った。そして、それを失ったからこそ、真の愛を理解できた」

 アレクサンダーの目に涙が浮かんだ。


「すまない……僕が君を見捨てたばかりに……」

「いいえ」私は首を振った。「あなたは間違っていない。あの時の私は、確かに愛されるに値しない女だった」


 美奈が立ち上がり、私の前に歩み寄る。その表情には、もう冷酷さはなかった。疲労と、複雑な感情が入り混じっている。

「雪音……」

 美奈の声は震えていた。セレナの声色でありながら、そこには宮下美奈としての生々しい感情があった。

「あなたの心……受け取りました……でも……」

 美奈は言葉を詰まらせる。

「すぐには許せない……時間がかかる……」


 私も立ち上がり、美奈と向き合った。

「それでいいの、美奈……私はずっと待つから……」

 美奈の瞳に涙が浮かぶ。

「この世界で……少しずつ……」


 アレクサンダーが私たちを見守っている。その表情には、深い理解と慈愛があった。

 美奈は群衆に向き直ると、セレナとしての威厳を込めて宣言した。


「エリザベート・フロストハイムの処刑は、無期限延期とします」


 群衆がざわめく。


「彼女は確かに重い罪を犯しました。しかし、真の贖罪は死ではなく、生きて償うことにあります」

 美奈の言葉に、群衆の多くが頷いた。

「エリザベートには、生涯をかけて被害者の家族に償いをしてもらいます。そして、二度とこのような悲劇が起こらぬよう、魔法少女として人々を守る役目を果たしてもらいます」


 私は深く頭を下げた。

「ありがとう……セレナ……」


 アレクサンダーが私の手を取った。

「エリザベート、君がどのような道を歩もうと、僕は君を友として支えていこう」

 私は感動で言葉を失った。かつて愛し合った二人が、今度は新しい絆で結ばれようとしている。


 その夜、王宮の客室で、私と美奈は重い沈黙の中で向き合っていた。魂の対話の後、私たちの関係は複雑なものとなっていた。

「元の世界には、もう戻れないのね」美奈が窓の外を見つめながら言った。

「そうみたい……でも……」

 私は言葉を選ぶように、ゆっくりと話した。

「この世界で、時間をかけて……本当の友達になれたら……」


 美奈は振り返ると、複雑な表情で微笑んだ。

「友達……まだ、その言葉は重すぎる……でも……」

 彼女は一呼吸おいて続けた。

「あなたを理解しようとする気持ちは……ある……」

 私は頷いた。

「エリザベートとして、この世界の人々を守る。それが私の贖罪」

「私も、セレナとして……」美奈は立ち上がった。「でも、あなたを見守る気持ちも……ある……」


 翌朝、スターフェリアの空に二つの光が舞い踊った。氷の魔法少女エリザベートと、光の魔法少女セレナ。

 かつて敵対していた二人が、今度は複雑な絆で結ばれて、人々を守るために立ち上がった。アニメとは異なる最終回。ここから新たな物語が始まる。


 そして、遠くからアレクサンダーが私たちを見守っている。かつての恋人、今は心の支えとなった友として。


 水瀬雪音という声優は、もうこの世界には存在しない。しかし、エリザベート・フロストハイムとして、私は新しい物語を紡いでいく。


 美奈と共に、贖罪と希望の、そして少しずつ育んでいく友情の物語を。


 過去の罪は消えない。傷ついた心もすぐには癒えない。しかし、未来は変えられる。

 処刑台で始まったはずの終わりの物語は、実は新しい始まりの物語だったのだ。

 私たちの真の冒険は、今、始まったばかりなのだから。

お読みいただき、ありがとうございます!

以上で本作は完結です。

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よろしくお願い致します。

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