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逆襲の妻  作者: yukko
9/13

就職活動

母親は言いました。


「離婚して、ここに帰って来てもいいのよ。

 でもね、その前にしないといけないことがあるでしょう。

 離婚して、どう暮らしていくの?

 仕事は? 子ども達は?」

「子どもは私が育てる!」

「分かってるわよ。だから、無計画では駄目よね。」

「うん。」

「先ずは別居から始めたら?」

「別居から?」

「そう、貴女はここに居て別居して、その間に正社員になれるように探すの。

 パートに行ってたでしょう。今は?」

「お義母さんのことで一日いないといけなくなってから辞めたの。」

「そう…… じゃあ、職安…じゃないハローワーク…に行ってみて。」

「うん。明日、行ってもいい?」

「勿論、一日でも早く……ね。」

「お母さん、ありがとう。」

「ありがとう!は、就職出来てからね。」

「うん。」


その翌日からハローワークに通い詰めました。

父親の病院へは母親と交代で行きました。

妻は主に夜の面会時間に行っています。

子ども達は実家から遊びに行ったりしています。

義理の姉の子に聞きました。


「ねぇ、お父さんに会ったことあるの?

 お父さんとお母さんが離婚してから…。」

「あるよ。」

「そうなの!」

『ビックリ! 会って居たなんて!』

「どのくらい会ったの?」

「毎週、会ってたよ。」

「そうだったの?」

「うん。お母さんが僕は怖かったから……。」

「えっ? お母さんが怖かった?」

「うん。怖かった。」

「どうして?」

「……あ……」

「話してもいいのよ。貴方が話したかったら……

 話すのが嫌だったり、辛かったりしたら話さなくていいからね。」

「うん。…………僕……ね………。

 叩かれてたんだ。お母さんに………。

 宿題をしていて字が汚いって怒られて…………

 書いた宿題を全部…………お母さんが……消しゴムで消すんだ………

 そして、綺麗な字が書けるまで何度も消すんだ……

 ……お母さんが……何度消しても綺麗に書けないと………

 …………お母さん………僕を……叩くんだ…………。」

「………痛かったね。」

「うん。」

「教えてくれる?」

「うん。」

「いつから? いつから……叩かれるようになったの?」

「小学1年生から…だよ。」

「…小学…1年生…から………。」

「それから……ね………。」

「うん。何?」

「お母さんが具合が悪い時……多かったから……

 お粥を作るんだ。」

「貴方が?」

「うん。お粥の作り方をお母さんが教えてくれたんだけど…。」

「もしかして……叩かれた?」

「うん。上手に作れなかったら……叩かれる………

 だから、お母さんと二人は嫌だったんだ!

 お父さんがいいんだ。

 お父さんは叩かないから………。」

「そうなの……。

 ねぇ、お父さんと暮らしたい?」

「えっ? いいの?」

「うん。本当は親と暮らす方がいいものね。」

「お願い! お父さんと一緒がいい!」

「分かったわ。おばあちゃんにおじさんから話してもらうわね。」

「うん。」

「でも、今すぐじゃないけど…… それでも、いい?」

「うん。いい!」

「待てる?」

「うん。待つ!」


母親も一緒に聞いていたので、話が終わって二人で「ここ子は虐待されてたんだ。」ということが分かりました。

離婚の原因も何も妻は知りません。

ただ、姑が推し進めていたことだけ分かっているのです。


「そういえば……」

「何?」

「何度もうちに来たり、電話が架かって来たりしたの。

 その時、今から思うと……お酒の勢いを借りてたみたいだったのね。

 何回かあったことあるんだけど、気が弱そうな人だと思ってたのよ。

 だから、家に来られても、電話が架かってきても怖くなかったのよね。

 離婚しても会ってたんだ……… 知らなかった。」

「あの子が父親と暮らすことを選んだのなら、それを尊重しないとね。」

「ええ。そうするわ。」

「その話をすることまでの責任は果たさないとね。」

「ええ。」

「変ね。」

「何が?」

「こうして、お母さんと話していると落ち着いて考えられるの。」

「それは、あちらを出たことも大きいんじゃないかしら?!」

「そうなのかな?」

「そうだと思うわよ。

 離れているから安心できて、安心できているから先を考えられるのよ。」

「そうかも……… お母さん、ありがとう。」

「どういたしまして。

 私こそ、ありがとう。帰って来てくれて、心丈夫だわ。」


今のうちに一日でも早く就職したい!それが妻の願いであり希望の光でした。

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