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逆襲の妻  作者: yukko
8/13

実家

妻は何もかも捨てたいと思いました。

その時の妻の頭の中には子ども達と義理の姉が残した子どもは無かったのです。

そういう瞬間が訪れるようになった時、実家から父親が入院したとの連絡がありました。

夏休みだったので、子ども達を連れて行くことにしました。


「お母さん、おじいちゃんの所へ行くけど、

 どうする? 一緒に行く?」

「行くよ。僕は……。」

「クラブ……どうしようかなぁ?!」

「おじいちゃんのとこ行く!」

「おばちゃん、俺……一緒に行っても…いい?」

「あ………ごめんね。聞いてからでないと『いいよ。』って言えないわ。」

「……分かった。」


妻は夫の会社に電話して、用件だけ伝えました。

取り敢えず、甥も連れて行きます。

姑はケアマネージャーに連絡して、急遽、福祉サービスを利用することにしました。

家は片付いてないまま出て、実家に向かいました。

入院した父親に会い、命に別条が無いと知って安堵しました。

母親に代わり様々な手続きをしました。


「お母さん、私が居るから大丈夫よ。」

「ごめんね。子ども達まで…… 本当にごめんなさいね。」


夜になって夫からの電話がありました。


「お前、今どこに居る?」

「実家だけど……。」

「そうか……。お義父さんは?」

「命に別状はなかったけどね。退院がいつになるかは……

 分からないの。」

「そうか…… いつ帰って来る?」

「しばらく、こっちに居るわ。」

「じゃあ、お母さんはどうなるんだ?!」

「ショートステイで今の所1か月間お願いしてるわ。」

「そうか……。じゃあ、俺は仕事に行けるんだな。」

「それを考えて、急遽お願いしたのよ。」

「ラジャー! じゃ、帰ってくる前に連絡しろよ。

 なるべく早く帰って来いよ。」

「……うん。」

⦅お義母さんと自分のことだけ?

 子ども達のことは?

 そういう人と結婚したんだ……な……。⦆


妻は自分の親に結婚してからの愚痴を一度も言わずに過ごしてきたので、夫の甥を連れて実家に帰ってきたことに、母親は驚きました。

子ども達が寝てから母親は聞きました。


「何があったの? あの子……。」

「うん。あの子、夫の姉の子なのよ。」

「どうしたの?」

「夫の姉が自殺したこと言ったけ?」

「自殺したの?」

「あ………言ってなかった………。」

「実は自殺してのよね。その半年前に離婚していて……。

 離婚する前に姉もあの子も姑が連れて来たのよね。

 離婚の話を進めている時に精神科に入院してたのよね。

 入院して直ぐに離婚が成立したみたいなのよ。

 3か月で退院して、退院してから自殺したの。

 それで、残された子を姑と夫がそのまま引き取ったのよ。」

「大変だったのね………。あの子はずっと居るのね。」

「うん。」

「あの子の父親は何をしてるの?」

「知らない………。」

「あの子は父親のこと……どう思ってるか聞いたの?」

「分からない………。」

「父親が育てるのが良いと思うわよ。

 あの子が父親を怖がっていなければ………。

 それをちゃんと聞かないと……。

 もう自分の気持ちを伝えられる年齢でしょう。」

「そうね……。」

「あの子の気持ちを無視して、勝手に大人が決めたら駄目だと思うわ。」

「……そうよね……。」

「お姑さん、ご主人に聞いて貰わないとね。あの子の気持ち……。」

「うん。」


「お母さん……。」

「なぁに?」

「私、離婚して帰って来てもいい?」

「離婚……!」

「うん。 もう限界かなぁ~……。」

「お姑さん?」

「うん。……と夫。」

「そうなのね。」

「うん。さっきも電話でお父さんのこと聞いてくれたけど……

 それよりもお義母さんのこと…と自分のことで頭が一杯みたいなの。

 もう、色々ありすぎて……何が限界って思うようになったのかも……

 分かんない………。」


そこまで話して、妻は母親の前で声を殺して泣きだしてしまいました。

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