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<84>

『今のところは・・って、それじゃ国民が困るじゃないですかっ!』

『そう言われるあなたはっ!』

『申し遅れました。週刊未来の串鳥(くしとり)ですっ!』

『なら、逆にお(たず)ねしますが、あなたなら、どうされるっていうんですっ!? 国民が罹患(りかん)し、死体の山を築いてもいいと言われるんですかっ!!』

 蟹岡は記者の(くど)い質問に、思わず切れて言い返した。

『…何もそんなことは言ってないじゃないですかっ! 戒厳令解除の見通しが立ってないっていうのは如何なものか、って言ってるんですよっ! 外へ一歩も出られないんじゃ国民は餓死しますよっ!』

『…言い忘れました。政府としては備蓄した緊急生活物資及び支援物資の放出は考えております』

『考えてないで、すぐ放出して下さいよっ! 一刻の猶予もないんだからっ!』

 官房副長官の蟹岡と週刊未来の記者、串鳥との丁々発止の遣り取りはその後、数分に渡り続いた。

『お時間のようです。これで緊急記者会見は終わりますっ!』

 番組ディレクターから激しい手招きのサインが出て、アナウンサーが二人の論戦に水をさし、番組を終わらせた。

「ははは…蟹岡君も、なかなかやるじゃないかっ!」

 蛸山はリモコンをOFFにし、応接セットのテーブル上へ置くと腕組みした。そのとき、管理室へ行った海老尾が食糧の入った袋を持って戻ってきた。

「レトルトものばかりですが、いろいろありました。取り()えず、これだけ…」

 袋から出されたのは、即席の粉末味噌汁、パック米、親子丼のレトルト袋、ペットボトルのお茶だった。研究室の厨房には調理設備や器具が完備されている。お湯は沸かせばいいし、電子レンジも保温ポットもあるから飲食関係では何の不自由もなかった。

「味噌汁と親子丼か…。鴨屋とちっとも変らんじゃないかっ!」

 鴨屋とは蛸山と海老尾がよく通っている研究所近くの大衆食堂である。

「はあ、まあ…B級ランクですがね」

「現状では贅沢は言っとられんしな…」

 海老尾は(うなず)きながら食材を手に厨房へと向かった。


                  続

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