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 海老尾が危惧(きぐ)することは、目に見えないウイルスの至近距離への接近である。ハム・エッグを頬張りながらテレビ画面を見ていると、ポタリ! と半熟の目玉焼きの黄身がテーブル上へしたたり落ちた。チェッ! と思えたが、落ちてしまったものは仕方がない。誰もいないのを確認し、海老尾は猫になったような気分で、したたり落ちた黄身を舌で()めた。そのあと、汚かったか…と後悔した。テーブル上には目に見えない雑菌やウイルスがウジャウジャいるのである。幸いにも人の目には見えないからいいものの、見えれば出来る行為ではない。海老尾はしみじみと反省した。これが所長の蛸山が指摘する海老尾の感性なのである。

『戒厳令は、ここ当分、出し続ける必要があると閣僚会議は決定した模様です』

「そりゃ、出し続けんとダメだろうが…。問題は、一歩も外へ出るなっ! だけでは、国民が餓死する。生活物資と食糧を、どうするかなんだよっ!!」

 人がいないことをいいことに、海老尾は当たり前のことを当たり前のように大声でガナった。

『国民の生死に直結する生活物資、食糧支援の方法を現在、政府、関係省庁各所で検討している模様です』

「検討してないで、すぐやってくれっ!!」

 腹が立ってきたからか、海老尾はテレビのリモコンを思わずオフにした。そのとき、胸元の携帯がバイブした。

『ああ、私だ。どうだ、元気にやってるかね?』

 声は蛸山の聞きなれた声だった。

「元気かどうかは分かりませんが、とにかくやってます…」

『そうか…そりゃよかった。で、この前の話なんだが…』

「前の話…と言いますと?」

『官房副長官の蟹岡君が言っていたことだよ』

「ああ、蟹岡さんの話ですか。それがなにか?」

『パニックになるといけないから、まだメディアには流してないそうだが、どうも危ないらしい…』

「…なにがです?」

『間に合わんかもしれん、ということだよ…』


                  続

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