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「僕がかけてみます。所長は、しばらく僕の電話をお待ち下さい。今、どこですか?」

『今どこって君。戒厳令で動けんのだから当然、研究所に缶詰めだよ。エントランスを出ようとしたら、このザマだっ!』

 蛸山の、どこにもぶつけようのない怒りの言葉が海老尾の耳に届いた。

「それよか、生活物資はどうなるんですっ!? 半月くらいなら何とかなりますが、誰だって底をつきます。特に食糧は…」

『そう思うのは当然だが、私ら研究員が思うのは、果たして国民が罹患(りかん)せず生き続けられるか? だろう』

「すみません。つい、私見が出てしまいました…」

『別に(あやま)ることでもないが…』

 海老尾は一端、携帯を切ると、ふたたび波崎に電話した。ところが、何度となくかけたが、波崎に(つな)がらない。

『おかけになった電話は、電波のとどかない所に…』

 流れるのはメッセージだけだった。考え得るのは、波崎が電話に出られる状態ではないということだけだった。

「仕方がない…」

 海老尾は、ふたたび蛸山へ電話した。

『どうだった? 海老尾君』

「それが、繋がらないんですよ、所長」

『繋がらないって、君…。よしっ! 知り合いの蟹岡に電話してみるよっ! 何か分かるだろう』

「蟹岡さんって、岸多内閣の官房副長官、蟹岡さんですかっ!?」

『ああ、今はそうだったな…』

 海老尾は蛸山の人脈の多さに驚かされた。

「分かりました。政府の関係者なら最低限のことは分かるでしょうから…」

『ああ、私から電話するから、連絡を待ちなさい』

「はい…」

 海老尾は携帯を切った。世界が少しづつパニックに向かっている…。海老尾にも最低限、そのことだけは理解できた。


                  続

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