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<66>

 罹患(りかん)しただけで死に至るのは恐怖である。この思いは地球上に生存する最も知的生命体である人間[ホモ・サピエンス]にのみ考え得る感情なのだ。

 蛸山と海老尾はその夜から三日三晩、研究開発に没頭した。

「所長! ソチラはどうです!?」

「んっ!? ソチラは相変わらずコチラだよっ!」

 蛸山の返しに、海老尾は、上手(うま)いこと言うなぁ…と思いながら蛸山の顔を(うかが)った。しばらく沈黙が続いたあと、急に蛸山が問い返した。

「君の方はどうなんだい?」

「はあ、コチラは相変わらず変化なくコチラです…」

 聞いた蛸山も、なかなかの返しだ、面白い…とニヤついた。

 開発の進展は二人の徹夜が功を奏し、死を食い止める最低限の製剤だけは、かろうじて完成しつつあった。

 その頃、レンちゃんは蛸山の帰りを今か今かと待ち望んでいた。言っておくが、これは飽くまでも海老尾の夢に現れる世界なのだから、海老尾の潜在意識の中にレンちゃんは住んでいる訳だ。要は、研究室で仮眠する海老尾が夢を見られる状況下であれば現れることは可能なのである。ところが如何せん、海老尾はわずか数時間の仮眠で徹夜をしていたから、仮眠時間は爆睡して夢を見られる状況下ではなかった訳である。だから、会えない・・と、結論はこうなる。レンちゃんにしてみれば、海老尾が自宅のベッドで眠っている・・というのが想定内なのだ。まさか、研究所で三日三晩、徹夜しながら仮眠しているなどとは全く思ってもいなかった。

『妙だなぁ~。そろそろ現れてもいい頃なのに…。何かあったのかも知れない』

 レンちゃんはクルクルと回転しながら海老尾が夢に現れるのを夢の中[海老尾の潜在意識の中]で待っていた。

 その頃、最悪ウイルスによる世界の状況は、一層、その深刻さを増していた。ウイルスの影響による死者は多い国で一日、数千人に達していた。もはや、一刻の猶予も人類には許されなかったのである。


                  続

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