表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/100

<61>

 蛸山はインスタント豆思考派である。片や海老尾はブルマン[ブルーマウンテン]以外は飲まない高級豆思考派だ。海老尾としては、どこが美味(うま)いんだ…くらいの感覚で、蛸山専用のマグカップに少量のコーヒーを入れ、自動湯沸かしポットの湯を注いだ。

「…で、その後のモレアの販売競争はどうなった?」

「ああ、その話ですか…。どうも効果は一過性ではないようで、数社の競合もなくなったようです」

「と、いうと?」

「どの会社も出荷量が好調なようで、競合する必要がなくなった・・というのが理由だそうでして…」

「なるほど…。患者さんの利用が増えているということだな…」

 蛸山は、ひょっとすれば私がノーベル賞候補に…という思いで北叟笑(ほくそえ)んだ。

「ええ…。でも所長はノーベル賞のような晴れがましいものは好かないんでしたよね…」

 その言葉を聞いた蛸山は、心中を見透かされたようでギクッ! とした。

「んっ!? ああ、私はそういうものは好かん、好かんっ!!」

 蛸山は本音(ほんね)とは裏腹に、全否定した。

「ところで、今研究中の新薬なんですが…」

「モレアの薬効が持続するようなら、まあ、急ぐこともないだろう…」

「ですよね…」

 そういいながら、海老尾はふと、夢に現れるレンちゃんのことが浮かんだ。今夜あたり、夢に現れてくれるといいんだが…くらいの心である。

「どうだい? 今夜あたり…」

 蛸山は手振りで猪口を傾ける仕草をしながら微笑んだ。

「おっ! いいですねぇ~」

(いそが)しかったから随分、君とは飲んでいなかったからな」

「そうですね。この前は寒かったですから…」

 今は、すでに桜の花が(ほころ)ぶ春先である。


                  続

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ