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 その後、製薬会社各社はモレアを元とした変異ウイルス治療薬を各種販売するに至った。そうなれば、効用の違いで各社間の販売数も変化を見せる。売れ筋がいい製薬会社は、したり顔で二ヤけるが、売れ筋の悪い製薬会社は負けまいと、さらに新薬を販売するに至る。産業スパイも暗躍する激しい競合が始まろうとしていた。

 国立微生物感染症化学研究所である。

「所長、偉いことになってるようですね…」

「ああ…なってるってもんじゃない。アレはすでに企業戦争だよ、君」

「企業戦争は少し言い過ぎなんじゃ?」

「いやいや、辛辣(しんらつ)な企業戦争だよ、海老尾君」

「と、言いますと?」

「だって君、考えても見なさいよ。患者のことなど忘れて、新薬開発のための産業スパイが暗躍してるんだよ」

「産業スパイですか…。ミッション・インポッシブルですね?」

「ああ、現実の話だよ」

「困ったものです…」

「モレアを完成したのが良かったのか悪かったのか…」

「そりゃ、いいに決まってるじゃないですか。多くの患者が寛解するんですから…」

「ああ、まあ、それはそうだが…」

「それより所長、モレア開発がノーベル賞候補に上がってるって(うわさ)じゃありませんかっ!」

「ああ、らしいな、困ったことに…。君はどうか知らないが、私はそういう晴れがましいものは好かないんだよ、海老尾君」

 蛸山はハイテンションから一気にローテンションに気分を落とし、顔を曇らせた。

「そうですか…。今日は、いい陽気ですねっ!」

 海老尾は、それ以上話せば所長のテンションを一層落とす危険性があると判断し、話題を変えた。

「ああ、もうすっかり春だな…」

 話題が変わり、蛸山のテンションは少し回復した。


                  続

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