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 蛸山が予想したように、研究所の新年度予算は鳴かず飛ばずの予算額で調停され、波崎の折衝努力は水泡(すいほう)に帰した。とはいえ、減額とならなかったのは不幸中の幸いで、良くもなく悪くもない・・という結果になった訳である。

 春五月、新ワクチン・モレアの治験は第二相[探索的試験]段階へと進んでいた。分かりやすく例えるなら、第一弾ロケットが切り離され、大気圏へ向けた第二弾ロケットが点火された・・ということになる。

「順調には進んでいますね…」

「ああ、まあね…。プラセボ[有効成分が入っていない疑似薬]との比較結果が良好だったのは喜ばしいことだよ」

「ええ、よかったです。変わりなければ、薬効面で意味を成しません…」

「幸い、副作用も軽微に推移し、安全性を銀視されるほどの副作用じゃなかったからね…」

「1%にも満たない微熱者でしたから…」

「ああ、それも一時的な微熱に終始したからね」

「ええ、このままいけば、夏までには第三相[検証的試験]に入れます」

「ああ、そうなることを望むよ。ただ、目に見えない世界は、先に何が起こるか分からんからね…」

「ですね…。まあ、そのときはそのとき・・ってことで…」

「ははは…海老尾君の楽観論が出たなっ!」

「すみません。楽観している訳じゃないんですが…」

 海老尾は恐縮し、弁解した。

「まあ、いいさ…。私だって成るように成る・・と思ってるんだから」

「所長も、でしたか…」

 研究の実証成果は、時にして期待を裏切ったり、予期せぬ好結果を招くのである。


                  続

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