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「それはそうと、総務部長の波崎君が言ってたんだが、なかなか予算が付けてもらえんそうだよ…」
「研究所の研究費用ですか?」
「ああ、お役所と違って予算折衝をして直談判で予算をもらう・・ってのは出来んからねっ!」
「無理すれば出来なくはないと思うんですが、出来にくいですよね…」
「研究所だからねっ、ここはっ!」
「ですよね。白衣には不似合いです」
「まあ、波崎君は事務屋だから一般所員とは違う訳だが…」
「確かに…。しかし、どことも研究分野の予算取りは大変らしいですよ」
「PCR検査に相当の予算が付いてるが、私にはその辺がよく分らんのだ」
「どういうことです、所長?」
「君もよく考えてみるといい。毎日、○〇○人の陽性者が出た・・なんて報道されてるが、アレにどれだけの意味があると思うかね?」
「はあ…まあ、ドコソコでは△△△人の感染者が出たんだな…くらいですか」
「そうなんだよ。多い少ないだけだろっ!? 感染の増加を止めることは出来ん訳だ。そんな検査に予算を付けて、いったい何になると思うんだっ!?」
「そんな赤い顔で言われましても…」
海老尾は蛸山が蛸のような赤ら顔で攻めてこないよう、見えないシールドを張った。
「ああ、つい興奮した。君に愚痴っても仕方ないんだが…」
「でも、所長が言われるのも、よく考えれば一理ありますね。極端に増えている地域やその周辺の地域を重点的に検査するとかでしたら話は分かるんですがね…」
「君もそう思うだろっ? そうなんだよっ! その分の財源を研究所の研究、開発費に回してもらえると助かるんだがな」
「波崎部長にもそこまでの力はありませんよねっ!」
「ああ、永田町のお歴々は、そういう根回しの力はお有りのようだが、ははは…」
「ははは…料亭で予算が動く。困ったもんです」
永田町が別世界のように二人には思えていた。
続




