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<3>

 毎日のことだから研究所の昼食は至ってシンプルだった。海老尾などは、給料がもう少し…などと、研究成果を上げられない理由は給料が安いからだとでも言わんばかりである。さすがに蛸山は所長だけのことはあり、思っていても口外しないが、深層心理では海老尾より根深さがあるようで、私ぐらいの実績なら倍の給料が相当…などと思う(ふし)もあり、根暗男の感は否めない。概して二人とも、日々の研究が等閑(なおざり)になり、アグレッシブさがここしばらく途絶えていた。それでいて給料の安さを思うのだから、これはもう、救う余地がない。^^

 そんな二人の馴染みの店は、研究所から歩いて数分のところにある大衆食堂、鴨屋だった。

「いらっしゃいっ! 先生、いつものでよろしゅうございますねっ!?」

「ああ、いつもの肉野菜定食…。ああ、それに、今日はどういう訳か(のど)が渇く。あとでレモン・スカッシュをもらおうか…」

『へいっ! 助手さんはっ!?』

「その助手さんってぇ~の、やめてもらえません?」

『失礼しました~。じゃあ、なんてっ!?』

「そちらの先生はっ? くらいでいいんじゃないですか。僕も格下の新任ながら、一応、先生なんですから…」

『へいっ! じゃあ、そちらの先生はっ!?』

「ニラレバ定食で…。ああそれに、レモン・スカッシュ!」

『へいっ!』

 鴨屋の店主が厨房に引っ込むと、入れ違いに女店員の夏ちゃんが水コップをトレーに乗せ現れた。夏ちゃんこと、江崎夏美は地方出身の十九才で、大学二部にも通う学生だった。

「12時10分・・先生、今日も12時10分だぁ~よっ!」

「ああ、偶然、偶然っ!」

「偶然ってことはなかろっ? 昨日(きのう)一昨日(おととい)も12時10分だったぁ~よっ! ほんと、研究、頼みますよっ!」

「はい、はい。夏ちゃんには(かな)わなんなぁ~」

 蛸山は、しっかり者の夏ちゃんに白旗を上げた。


                  続

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