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<29>

「僕のような者が所長の(そば)で研究させていただけるだけ有難いです…」

「ははは…そこまで恐縮することはないよ、海老尾君」

「いえ、所長に拾っていただけなかったら、僕は今でも大学の一講師のままでしたから…」

「まあ、それは、そうだが…」

 否定せんのかいっ! と海老尾は少し怒れたが、事実なのだから仕方がないか…と(あきら)めた。テンションが下がらないのは、SF紛(まが)いの現実に遭遇したからだった。そのことを所長は知らない。そう思えば、むしろ北叟笑(ほくそえ)みたいくらいだった。

「それはそうと、赤鯛君は君と大学が同じだったよね?」

「はい、同期の友人です。それが何か…?」

「獣医科学部と聞いたが…」

「はい、元々は獣医師です」

「いや、実は(うち)の隣の(いえ)の親戚のポチの様子が少し(おか)しいんだ…」

「所長の家の、隣の家の親戚の犬ですか? 複雑な話ですね…」

 海老尾は思わずニヤけた。

「ああ…昨日は日曜だったろ?」

「はあ…」

「ゆっくり(くつろ)ごうといい湯加減のバスに浸かっていたら突然、隣の奥さんが飛び込んできたんだ」

「はあ…」

 海老尾は、完全に聞く人になっていた。

「家内が『あなた、ちょっと!』って、声をかけてさ…」

「はあ…」

「ゆっくり浸かってる訳にもいかんじゃないか…」

「はあ…」


                  続

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