表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/100

<23>

『いやだなっ、僕ですよっ!』

 声はすれど、姿がない。

「僕っ!?」

 海老尾は目を()らし、もう一度、暗闇の左右→前後→上下と見回した。すると、少し白っぽい霧のような部分が浮いては沈み、沈んでは浮くのが朧気(おぼろ)ながら見える。

「き、君はっ!?」

『ウイルスですよっ! 昨日、モニターで見てたじゃないですか、嫌だな…』

 夢の中の海老尾は、有り得ない現実を素直に受け入れた。

「ああ、昨日(きのう)は、どうも…。で、君はっ?」

『レンチですよっ』

「変換した?」

『はい、そうです。僕も変換前は相当のワルだったんですが、今じゃ、このとおり、世間の皆さんにお役に立ってるようで何よりです』

「そうなんだよっ! 君、様様(さまさま)さっ! どうも、有難う」

 海老尾は思わず椅子から立ち上がり、暗闇の中を浮遊する得体の知れない薄白い存在に頭を下げていた。そんな現実がある訳がない…とはボンヤリとは思うのだが、夢の中で否定できない海老尾だった。そこで突然、夢は途絶えた。海老尾は朝の日が差し込む寝室で目覚めた。

「なんだ、夢か。それにしても妙な夢だったな…」

 海老尾はベッドを下り、レースのカーテンを(おもむろ)に開けた。そらは澄みきって晴れ渡り、晩秋のポプラの葉が舞い落ちるのが見えた。

 朝は妙なもので、どれだけ疲れようと六時半に目覚めた。目覚めれば、洗面台→シャワー→朝食準備となる。昨夜見た夢はSFチックで面白かったな…と、海老尾はニヤつきながら、割り混ぜた卵を強火のフライパン上で素早くスクランブルした。

「今朝は定番にするか…」

 定番とは、ベーコン+目玉焼き+野菜サラダ+温野菜+ガーリック・トーストである。手馴れたもので食卓にはそれらの一品が瞬く間に整った。

 食後はキッチンで食器を洗い、そして()く。それが終われば着替えて朝のコーヒーである。コーヒーは高級豆のブルマンを焙煎(ばいせん)し、ノン・シュガー[ブラック]で飲むと決めていた。友人の医師に指摘された血糖値の配慮もあった。


                  続

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ