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<15>

 その後、日々は短調に流れていった。そんな、ある日のことである。

「せ、先生! コレを見て下さいっ!」

 海老尾が突然、弟子顕微鏡のモニター映像を指差し、震えながら叫んだ。蛸山は、またか…と、いつも大したことがない叫びに(うと)く思いながら、渋々、海老尾のデスクへと近づいた。モニター画面には遺伝子変換ウイルスが悪性の変異ウイルスを取り囲み、死滅させるアポトーシス映像が映し出されていたのである。アポトーシスはネクローシスと違い、正常細胞を傷つけることはない。ただ、細胞が自然壊死する理論は、飽くまでも真菌や悪性細胞で、さらに微細なウイルスVs.ウイルスの映像としては初めてだった。

「こっ、こっ、これは…」

 蛸山はそのモニター映像を見ながら(えさ)は突っつかず、リンゴを(かじ)りながら雄鶏(おんどり)のような声を出した。明らかに予想外の映像だったのである。

「ウイルスが死滅してるんですよ…」

「え、偉いことになったぞっ! ど、どうするっ!? 海老尾君っ!」

「どうするって、どうも出来ないでしょう。成功しちゃってんですからっ!」

「こりゃ、画期的な発明だっ! 間違いなくノーベル賞だぞ、君っ!」

「そんな…」

「この検体のデータは残してあるんだろうねっ!」

「ええええ、そりゃもう。二個のフラッシュ・メモリーに予備分も含め、残してあります」

 海老尾は自慢げに、したり顔で言った。

「これは君の担当だったね? 確か…」

「はい、僕の担当です…」

「やったじゃないか、君っ! 大したもんだ…」

「いやぁ~、それほどでも…」

 蛸山に()められ、謙遜(けんそん)する海老尾だったが、その謙遜は事実だった。考えた挙句の成功ではなく、偶然、出現した成功だったのである。ゴチャゴチャ香辛料を入れながら調理した結果、偶然にも美味しくなった・・という性質の成功だ。^^


                  続

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