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第九話 疎遠になっていった俺と恋乃ちゃん

俺は中学生になった。


恋乃ちゃんがいなくなった後、しばらくの間は、そこまで寂しいとは思っていなかった。


しかし、夏を過ぎた頃から、寂しいと思うようになってきた。


大きな理由は、周囲でカップルが続々と誕生したということ。


うらやましくてしょうがなかった。


女の子に興味を持っていなかった祐七郎も、小学校五年生の時に同じクラスになった新月しんげつくらなさんに一目惚れし、小学校六年生の時には恋人どうしになっていた。


中学校一年生の今は、毎日ケンカをしながらも、着実にラブラブカップルの道を歩んでいた。


祐七郎から新月さんとのことを聞かされた時は、信じられない気持ちだった。


今でも信じられないところはある。


二人は、毎日ケンカばかり。


普通は、この二人が恋人どうしだなんて思えないところだ。


しかし、祐七郎の忙しさの合間をぬってデートをしているというし、祐七郎の試合には必ず応援に彼女は行っているという。


俺は、この頃から、恋乃ちゃんと疎遠になったことに、つらい思いをするようになった。


小学校四年生の頃からも、仲良くしていれば、今頃俺もラブラブカップルの仲間入りができたはずなのに……。


俺にも思春期が訪れたということだろう。


周囲で、前の休日、デートに行って楽しかったとか、今度の休日、デートに行って楽しい時間を二人で過ごすんだ、という話を聞くと、心が苦しくなってしょうがない。


幼い頃、楽しく遊んだことを思い出しては、涙を流すようになっていた。


恋乃ちゃんがいれば……。せめて連絡手段でもあればいいのに……。


俺は恋乃ちゃんの連絡先を知らなかった。


新月さんに聞けば、教えてくれそうだった。


新月さんは、恋乃ちゃんの親友で、連絡を取り合っているということだったからだ。


しかし、聞くことはできなかった。


恥ずかしいというのが一番だった。


そして、連絡を取ったとしても、俺のことを避けるんじゃないかという気がしていた。


小学校五年生や六年生の時、俺は恋乃ちゃんに避けられていた。


それから時が経っているので、状況は変化しているだろうとは思ったが、また避けられた時のことを想うと、決断はできなかった。


そうして俺が悩んでいる内に、月日はどんどん経っていく。


心の寂しさも大きくなる一方だった。


俺が、りなのさんに好意を持つようになったのは、その寂しさを埋めたくなったのが、大きな理由だと思う。


中学生の間は、りなのさんに対して恋する心はなかった。


それでも、他の女の子に対するよりは好意を持っていた。


そして、俺は中学校を卒業し、高校へと入学する。


高校の入学式。


りなのさんは同じ高校。


まだ時々話す程度の仲でしかなかったが、好意は少しずつ大きくなってきていた。


これから仲が進んでいくといいなあ、と思っていた。


恋乃ちゃんについては、もう会えないのかなあ、と思っていた。


会えない以上は、もうあきらめた方がいいのでは、と思うようになっていた。


そう思っていた時、


「康夢ちゃん、わたし恋乃。小学校以来ね」


と声をかけてくる人がいた。


俺が会いたかった人、会いたくてたまらなかった人。


もう会えないかもと思っていた人。


恋乃ちゃん。


会えてうれしい気持ちになる。


しかし……。


恋乃ちゃんは、俺の想像よりはるかにかわいくなっていた。


俺は、恥ずかしくなって、心があっという間に沸騰してしまった。


そして、


「こ、こんにちは」


と言うなり、その場を去ってしまった。


今思うと、なぜこの時、話をしなかったんだろうと思う。


せっかくの仲良くなるチャンスを自らつぶしてしまったのだ。


ただ、この時の俺は、どちらにしても心が沸騰していたので、恋乃ちゃんと話すのは無理だったと思う。


それだけ恋乃ちゃんのかわいらしさは幼い頃より増していたのだ。


俺は、その後、なんとか恋乃ちゃんと話をしたいと思った。


しかし、同じクラスでなかったこともあって、話をするチャンスはなかなかなかった。


その間に、恋乃ちゃんは人気者になり、ますます近づきにくくなってしまった。


男子生徒で告白をしたという人が何人もでてきていたし、付き合っている人がいるといううわさまで、聞きたくもないのに流れてきた。


せっかく再会したのに、俺は何もできない。どんどん遠い存在になっていく。


俺は恋乃ちゃんをあきらめ始めていた。


心が寂しくなっていく。


それと同時に、りなのさんのことがますます好きになっていった。


彼女の方も俺に好意を持っていそうな雰囲気だった。


そして、高校一年生の一月中旬、りなのさんに告白する。


しかし、りなのさんには好きな人がいた。俺は振られてしまうことになる。


その後も、恋乃ちゃんは手の届かない存在のまま。


あきらめてはいけない、と思うこともあったが、あきらめの気持ちはどんどん強くなる。


心はますます寂しくなっていった。


俺は、今度もその寂しさを埋めたいということで、後輩のやいなさんに恋をした。


彼女も俺に好意があるのではないか、と思っていた。


しかし、やいなさんには、既に恋人がいた。俺のことをあっさり振ってしまう。


俺が悲しくて、つらい気持ちになった時。


俺を癒してくれたのが恋乃ちゃんだった。




そして、俺はようやく恋乃ちゃんと話をすることができた。


毎日あいさつをしたい、と言うこともできた。


俺は恋乃ちゃんが遠い存在になってしまった心の寂しさからだとはいうものの、二人の女の子のことが好きになり、告白をしてしまった。


しかも、二人にはあっけなく振られてしまい、心に大きな打撃を受けてしまった。


もう俺は、他の人には心は動かさない。


俺には、恋乃ちゃんしかいない。


たとえ、恋乃ちゃんが俺の手の届かない存在のままだとしても、俺は絶対にあきらめない。


まずは、明日、恋乃ちゃんにあいさつをするんだ。


俺は強く思うのだった。


「面白い」


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