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第七話 康夢先輩に心が傾くわたし (やいなサイド)

家に帰っても気分は沈んだまま。


晩ご飯もロクに食べず、ベッドに横たわる。


振られてしまった。


ただ振られるだけならいい。


彼は、三人の女の子と付き合っているのだ。


浮気どころの話ではない。


わたしは、こんな人と付き合っていたのだ……。


自分のことが嫌になってくる。


こんな人だとわかっていたら、初めから付き合わなければよかったのに……。


先輩との楽しかった思い出。


デートもしたけれど、楽しかったのはわたしの方だけだったということなのだろう。


先輩と初めて手をつないだ時の、沸騰するような気持ち。


これだけは、先輩も同じ気持ちだったと思いたいけど。


無理だよね。


それどころか、本当はわたしと手を握ることすら嫌だったのかもしれない。


わたしは先輩が好きだった。


先輩もわたしのことが好きだったから、告白してきたんだけど。


今日の様子じゃ、単なる好奇心で告白をしただけだったんだろう。


わたしって、しょせん先輩にとってはその程度の女の子だったんだ。


そう思いたくない気持ちは今でも強い。


でもあの三人の女の子と先輩のやり取りは、わたしに厳しい現実というものを味あわせるものだった。


そういうものは味わいたくなかったのだけど。


なんでわたしの前で、あんなラブラブなやり取りができるのだろう。


先輩の恋人だったわたしの前で。


いや、わたしは先輩には恋人とは思われていなかったということだろう。


それを思っていたのはわたしの方だけ。


先輩の方は、わたしのことを、ただの女友達としてしか見てくれていなかった。


そう思ってくると、むなしい気持ちになる。


いずれにしても、先輩との思い出は、今はもう思い出したくもないことに変わってしまった。


ああ、もう嫌。


恋って、こんなにもつらいことだったなんて……。


しばらくの間、泣いていると、一人の男の人のことを思い出した。


夏島先輩。


わたしに告白してくれた人。


あの時のわたしは、イケメン先輩のことしか頭になかった。


その為、厳しい言葉で、その告白を断ってしまった。


その時は、イケメン先輩と恋人になる、という思いで一杯だった。


夏島先輩は、わたしにとっては、その他大勢の一人にすぎなかった。


好きとか嫌いとか以前の話だった。


今思うと、なぜ告白を断ってしまったんだろう。


今思い出すと、夏島先輩はわたしに優しかった。


温かい微笑みをいつもわたしに向けてくれた。


その温かさに好意を持たないわけではなかったのだけど、当時のわたしは、そこまで良いとは思っていなかった。


今思えば、そういうところこそ、良いところだと思うべきだったのだ。


そう思うと、わたしは、また涙が出てくる。


わたしは、夏島先輩の好意を受け入れずに、イケメン先輩の告白を受けてしまった。


受け入れたはいいが、あっけなく振られてしまった。


それどころか、イケメン先輩の恋人だという三人の女の子に、その情けなさを笑われてしまった。


なんてつらくて厳しいことだろう。


でもそれは、夏島先輩を選ばなかったわたしがいけないんだと思う。


もうイケメン先輩のことを想わないようにしよう。


忘れるんだ。


先輩との思い出もすべて。


これからは夏島先輩と恋人どうしになる。


いや、なりたい。


しかし……。


あれだけ厳しい言葉で振ってしまったのだ。


「夏島先輩が何も言っても考える余地はないです。イケメン先輩とは雲泥の差で、比べ物にならないです。じゃあ行きますね」


ここまで言っておいて、こちらから、


「夏島先輩、好きです。付き合ってください」


と言って、付き合ってくれるものだろうか。


普通だったら、


「あれほど厳しく断ったのに、何を言っているんだ」


と言われるだろう。


いや、言われるだけならまだいい。


「きみと付き合えるわけがない」


と言って厳しく断られてしまうに違いない。


そう思うと、心が折れそうになる。


しかし、それでもわたしは、夏島先輩と恋人になりたい。


イケメン先輩に振られたからこそ、夏島先輩の良さが理解できてきた。


夏島先輩と話をしていると心が癒された。


これはイケメン先輩にはないところだった。


なぜ最初から理解できなかったのだろう、と思うが、それを言っていてもしょうがない。


夏島先輩ほど人のことを第一に思ってくれる人は、少ないと思う。


これからわたしは、夏島先輩の為に尽くしていきたい。


そして、康夢先輩と呼んでいきたい。


とはいうものの、現実は厳しい。


以前のように、一緒に登校できれば話すチャンスもある。


いきなり告白することはできないけど、毎日おしゃべりをしていけば仲良くなることはできると思っている。


しかし、その一緒に登校ということが、今となってはまず難問となっている。


わたしは、登校時間をずらし、先輩とは同じ時間にならないようにしていた。


わたしが康夢先輩を振った以上、一緒に登校するのは、お互い気まずいと思ったからだ。


いくら康夢先輩が気の大きい人だとしても、振った相手と一緒に登校するのは嫌なものだろう。


イケメン先輩と付き合っていた頃は、それで別にいいと思っていた。


これからは違う。


わたしは康夢先輩の恋人になる。


それにはまず一緒に登校をするところから始める。


でも……。


康夢先輩はこんなわたしを受け入れてくれるだろうか。


わたしを好きだという気持ちはまだ残っているのだろうか。


もう間に合わないじゃないだろうか……。


それでもわたしは康夢先輩のことが好き。


わたしは康夢先輩への想いを熱くし始めていた。


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