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第三十四話 恋乃ちゃんに俺の家にきてほしい

俺達はレストランを後にし、イルミネーションに彩られた歩道を歩く。


デートスポットになっているところだ。


楽しそうに歩いているカップルたち。


俺達もその一員だ。


青、白、緑を中心とした色の幻想的な風景。


その中を、恋乃ちゃんと手をつなぎ、歩いていく。


「きれい。こういうところを恋乃ちゃんと歩くことができて、幸せ」


「俺も一緒に歩くことができてよかった」


つい最近まで想像もできなかったことだ。


こういうところを恋乃ちゃんと歩きたいと思っていたので、うれしい。


「恋乃ちゃん、少し立ち止まってもらっていい?」


「うん、いいよ」


そこは、この歩道の中でも一番きれいなイルミネーションのあるところ。


しばしその美しさを堪能する。


うっとりとした表情の恋乃ちゃん。俺の肩に寄りかかってくる。


ああ、いい匂い。


胸のドキドキが大きくなってくる。


「このイルミネーションもいいけど、恋乃ちゃんはもっと素敵だよ」


「康夢ちゃん、恥ずかしい。そんなことを言うなんて。わたしのこと、褒めすぎだと思う」


俺も言ってから、恥ずかしい気持ちになってしまった。。


でも恋乃ちゃんはそれだけ魅力的で素敵な女の子なのだ。


「康夢ちゃん、好き」


甘い声で言う恋乃ちゃん。


ここでキスをしたい、と思うが、後少しだけ我慢だ。


「俺も好き。恋乃ちゃんが好き」


キスはまだできないので、想いを込めて俺はそう言った。




そのままもよりの駅まで歩き、地元の駅に帰ってくる。


その間、歩いていても電車の中でも、手はずっとつないでいた。


幸せな時間が続いていたのだけど……。


俺はだんだん緊張してきた。


今日の朝よりも緊張している。


この後、俺は恋乃ちゃんに俺の家に来てもらおうと思っている。


そして、キスをする。俺の人生の中でもとても大きいイベントだ。


しかし、恋乃ちゃんは俺の家に来てくれるだろうか。


来てくれても、キスをしてくれるだろうか。


今日のデートで、一気に親しさが増したと思う。


恋乃ちゃんも喜んでくれた。


今もこうして手をつないでいる。


これなら大丈夫だと思うんだけど……。




地元の駅に着いた。


その後、公園の中を歩いていく。


ここもイルミネーションに彩られていて、結構きれいだ。


恋乃ちゃんもうれしそう。


しかし……。


俺はなかなか言葉が出てこない。


「俺の家にきてほしい」


この言葉が言えなければ、今日、もう恋乃ちゃんと別れなければならない。


まだ一緒にいたい。キスしたい。


昨日の段階では、悩まずに誘うことができるような気がしていたのだけど……。


彼女を目の前ににすると、胸が苦しくなって言葉が出ない。


告白した時よりもつらい状態だ。


もし断られらたらどうしょう。


まだ一回目のデートしかしていない。


急ぎ過ぎではないだろうか。もっと仲良くなってからでも遅くはない。


俺達にはまだまだ時間が必要なのでは……。


しかし、ではいつになったらキスをしていいのだろうか。


二人が好きあっていれば、もうその時点でしていいのではないだろうか。


俺達は恋人どうし。


好きと言う言葉、想いを伝えあっている。


もうキスをしてもいいのではないかと思う。


でもそれは、俺が思っているだけなのかもしれない。


恋乃ちゃんの方は、まだ心の準備ができていない可能性がある。


そうなると、今日キスをするのは難しくなってしまう……。


いろいろな思いが心の中に浮かんでくる。


「康夢ちゃん、どうしたの? なんか悩んでいるようだけど」


恋乃ちゃんが心配そうに聞いてくる。


「いや、何でもないんだ」


「そうならいいんだけど」


そのまましばらく歩いて行く。


間もなく公園の敷地が終わる。


別れの時が近づいてきた。


まだ恋乃ちゃんと一緒にいたい。


恋乃ちゃんとキスがしたい。俺の家に来てもらうんだ!


俺は決断した。


「今日は、デートができてとてもうれしかった。ありがとう」


「わたしもデートができてうれしかった」


「俺、恋乃ちゃんとまだ一緒にいたい。俺の家にきてほしい」


一気にそう言った。


「康夢ちゃんの家に……」


恋乃ちゃんはそう言った後、俺と手をつないだまま、黙ってうつむいてしまった。


OKしてくれるだろうか。


俺の家に行くということ。


その意味は、恋乃ちゃんも理解しているだろうと思う。理解しているから悩んでいるのだろう。


沈黙の時間が続く。


やはり、まだ恋乃ちゃんの心の準備は出来ていなかったのだろう。


今日は無理だった。出直すしかない。


俺のこと嫌いにならなければいいけど……。


そう思って、あきらめ始めた時。


恋乃ちゃんは、


「康夢ちゃんの家に行くってことは、恋人としての仲をより一層良くしていこうということだよね」


と恥ずかしそうに言った。


「う、うん。今日もっと仲を良くなっていきたいと思っているんだ」


俺も恥ずかしくなってくる。


また沈黙の時がきた。


しかし、今度はわずかの間だった。


恋乃ちゃんは、


「わたし、康夢ちゃんの家に行く」


と小さい声で言った。


「来てくれるの?」


「うん」


恥ずかしそうな恋乃ちゃん。


俺はうれしくなった。踊りたくなるほどうれしくなった。


「ありがとう。じゃあ、行こう」


「うん」


俺と恋乃ちゃんは、手をつないだまま、俺の家へと向かった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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