表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/53

第二十三話 恋乃ちゃんとのやり取り

夜。もう午後十一時になろうとしている。


俺は悩んでいた。


今日俺は恋乃ちゃんと連絡先を交換した。


うれしかった。


これで、幼馴染の状態を脱出して、恋乃ちゃんと恋人どうしになる為の第一歩は始まった。


そう思っていたのだけど……。


ルインを送ることができない。


何を書いて送っていいのかがわからない。


俺は恋乃ちゃんのことが一日ごとにどんどん好きになってきている。


それならば、


「恋乃ちゃんのことが好き」


と書いて送信すればいいと思うのだけど、それができない。


まず恋乃ちゃんは俺のことをどう思っているのだろうか?


幼馴染だから、好意は持っているだろう。少なくとも嫌いではないと思う。


嫌いだったら、連絡先の交換はできなかったと思う。


しかし、恋乃ちゃんは、俺との関係を幼馴染以上の関係に進めたいと思っているのだろうか?


幼馴染としての好き以上でないならば、俺がこの関係を進めようとしても。迷惑にしかならないのではないだろうか。


だとすれば、ルインでのやり取りも彼女にとっては、苦痛になってしまうのではないだろうか。


恋乃ちゃんの方も俺に恋し始めているといいんだけどなあ。


ああ、どうすればいいのだろう……。


俺はジュースを飲んで、心を落ち着かせようとする。


とにかくまずルインのやり取りからだ。いきなり「好き」って書くわけにはいかないから、あいさつをするところからにしよう。


俺はそう決意する。


しかし、そうはいうものの、あいさつの言葉を書くのも緊張する。


俺はようやく、


「こんばんは」


と書いた。


これを送信すればいい。


だが、今度は送信ができない。


送信するのも緊張する。


こんなところで緊張してどうするんだ、と思う。


これから俺は、彼女に告白をしなければならない。その時の緊張度合いは、こんなものではないだろう。


それでも送信ができない。


胸のドキドキが大きくなり、苦しい。


しっかりしろ! このままじゃ恋人どうしになれないぞ! 送信するんだ!


俺は自分に気合を入れ、送信する。


後は返信されるのを待つ。


五分が経つ。まだ既読がつかない。


十分が経つ。まだ既読がつかない。


どうしたんだろう。


もしかすると、今日連絡先を聞いたことに対して、困惑しているのではないだろうか。


本人にとっては、ただの幼馴染だとしか思っていないのかもしれない。それなのに、俺はその関係を進めようとしている。


困惑していたとしても、それは仕方のないことだろう。


いや、困惑だけだったらまだいい。


やはり、迷惑に思っているのではないだろうか。


そうだとすると、返事は返ってこない。


この間、つらい思いをしていたところに声をかけてくれたのは、幼馴染だったからなのだろう。それ以上のことを望んでいないとすれば……。


俺がそう思っていた時、既読がついた。


そして、


「こんばんは」


という言葉が送信されてきた。


返信がきた。これが、俺達の初めてのやり取りだ。


俺はホッとした。


少なくとも恋乃ちゃんは俺とやり取りをしようと思っている。それだけでもうれしい。


俺は、


「連絡先を教えてくれてありがとう」


と送信した。


すると、


「こちらこそ。わたしたち、幼馴染だもんね」


と恋乃ちゃんは返信してきた。


幼馴染……。


そうだよな。


恋乃ちゃんは、やっぱり俺のこと、幼馴染としかみていなんんだろうなあ……。


このままでは、大人になっても幼馴染のままかもしれない。


それは嫌だ。俺は恋乃ちゃんと恋人どうしになりたい。


とはいえ、俺達は、今はそうだ。ただの幼馴染のままだ。


ただ、今までは疎遠だったことを思うと、これでも大きな第一歩。これからは恋人どうしになる道を進んでいきたい。


「恋乃ちゃん、これからルインよろしくね。楽しみにしている」


俺がそう送信した後、恋乃ちゃんからの返信が来ない。


楽しみにしている、と書いたのは、ちょっと書き過ぎちゃったかなあ……。


そう思っていると。


「うん。わたしも楽しみにしている」


という返信が返ってきた。


俺はうれしさのあまり、踊りそうになった。


「ありがとう」


「こちらこそありがとう」


それから少し世間話をしていたが、夜も遅くなってきた。


なごり惜しいが、今日はここまでにすべきだろう。


「じゃあ、康夢ちゃん、また明日学校で」


「うん。じゃあね。バイバイ」


「バイバイ」


こうして、初めてのルインは幕を閉じた。


送る前までは緊張していて、胸が苦しくてたまらなかったが、やり取りが始まったからは、意外とそうでもなかった。


しかし……。


ルインのやり取りだけでは物足りない、という気持ちがだんだん大きくなってきた。


好きだと言いたい。


デートしたい。


キスしたい……。


それだけ恋乃ちゃんは魅力的なのだ。


恋乃ちゃんに告白したい。


そして、今度の休日は絶対デートをしたい.。恋人として。


でも俺たちはまだやり取りを始めた段階。恋乃ちゃんは俺と恋人になりたいと思っているのだろうか……。


思っていてほしいけど。疎遠になっていた時間が長すぎたのかなあ。そう思いたくはないけれど……。


恋乃ちゃん、好きだ。好きだ。今すぐ恋人になりたい。


俺は強く思うのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ