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第二十話 なんで付き合ってくれないんだろう (りなのサイド)

夕方。次第に寒くなってきている。


康夢くんが帰った後。


わたしはグラウンドのベンチで呆然としていた。


グラウンドでは、サッカー部員たちが練習をしている。


わたしは康夢くんに、付き合ってほしい、と言った。


しかし、結果は……。


わたしはとても悲しかった。


こういう美少女が、付き合ってほしい、と言っているのに断る男の子がどこにいるのかと思う。


康夢くんは、わたしに告白をしてきた人。


その想いに応えてあげたのだから、喜ぶのが普通なのに。


踊り出すぐらい喜んでくれると思っていた。


わたしは中学生の頃から、いろいろな男の人に告白された。


同級生から先輩、そして後輩、


しかし、誰のことも好きにはなれなかった。


そして、全員の告白を断った。


なぜわたしに合う人が現れないんだろうと思っていた。


そんな中、三組のイケメンの彼が現れた。


しかも、わたしに告白してくれた。


イケメンの彼は、わたしの好み。彼とであれば、順調に交際していき、結婚まで行けると思ったんだけれど……。


無理だった。


付き合うまでは、とても優しい人だと思っていた。話題も豊富で楽しい人だと思っていた。


イケメンで優しくて頼りがいがある。


わたしは彼に夢中になった。


告白された時は、それこそこれからうれしいことが一杯ありそうな気がした。


しかし、それは悲しみの始まりだった。


デ-トの時、わたしは一生懸命おしゃれをし、彼の為にいろいろ尽くしたつもりだったのに、その気持ちは全くとどかなかった。


キスどころか、手をつなぐことさえもできなかった。


デートどころか、話さえもロクにできなくなり、別に恋人を作って、捨てられてしまった。


わたしをわざわざ呼び出してまで、その恋人のことを紹介したのだ。


しかも、わたしがまだ付き合っていた三月や七月にも別の恋人を作っていたという彼。


普通だったら、そういう浮気症の人は、女の子から敬遠されると思うんだけれど。


しかし、イケメンの彼を狙っている人はまだまだいるそう。


イケメンの彼の恋人になったからと言って、わたしのように捨てられるだけなのに、と思う。


イケメンの彼に振られて、しばらくの間わたしは悲しみにくれていた。


そういう時、康夢くんのことを思うようになってきた。


それまでは、わたしが振ってきた男の人の一人という意識しかなかったんだけれど。


わたしは康夢くんとは小学校六年生に出会っている。


多分わたしと出会った時から、わたしに好意を持っていたんだと思う。


わたしに告白した時も、


「俺、糸池さんのこと、小学校六年生の頃から、好意を持っていたのに……」


と言っていた。


わたしの方は、特に意識はしてなかったし、康夢くんの好意にも気がつかなかった。


それでも、同じクラスということもあり、少しずつ話をするようにはなっていった。


話をしている時は、楽しいと思うことも多かった。


人付き合いはそれほど得意な方ではないと思う。しかし、わたしと接する時にはいつも優しく微笑んでくれた。


イケメンの彼の笑顔より素敵な笑顔だと思う。


そういうことは、心の底では理解できていたはずなのに。


わたしは康夢くんではなくイケメンの彼を選んでしまった。


なにをやっていたのだろう。


でも康夢くんも、わたしのことが好きだったはずなのに、なんでわたしのせっかくの申し出を断るのだろう。


魅力的だからこそ、わたしに告白する人は多いのだし、イケメンの彼だって告白をしてきたんだと思う。


イケメンの彼に振られた今、康夢くんにとっては、わたしを恋人にする絶好のチャンスだと思うだけれど。


康夢くんは好きな人がいると言っていた。


わたしじゃなく、その人を選ぶと言っていた。


どうしてそういうことを言うんだろう。その人とはまだ付き合ってもいないのに。


相思相愛かどうかもわからないのに、好きだと言っているわたしではなくて、その人のことを思っているというのは、理解が難しい。


わたしとなら、すぐにでも恋人どうしになれるんだけど。


しかし……。


康夢くんとわたしの心の距離は遠い。


わたしは悲しい気持ちになってくる。


もう間に合わないのかもしれない。


あの時、


「もう話しかけないで」


ということまで言ってしまった。


厳しい言葉だったと思う。


でもそれはわたしがイケメンの彼に夢中になっていたから出てきた言葉。


そのことは康夢くんにも理解してほしいと思う。


イケメンの彼に告白されて、それをOKした。それがなければ、その後のつらさはなかった。


康夢くんは、好意を持ってくれたのだから、それだけでもわたしのことを大切にしてくれただろう。


そういう好意を持った康夢くんの告白をわたしは断ってしまった。


それでもわたしはあきらめたくはない。


これからのことはわからないけど今だったら康夢くんと恋人どうしになりたい。クリスマスイブを一緒に過ごしたい。


でも康夢くんの今日の状態だと厳しい。これから康夢くんに一生懸命好きという気持ちを伝えても、無理かもしれない。


わたしは涙を懸命にこらえようとする。


既に夜が近づいてきていて、だんだん寒くなってきていた。



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