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第二章 初めて殺します

 モモとココとムギの寝室は小さいベランダ付きの広さ八畳の部屋だ。畳作りで大きな布団と小さな布団がある。大きい布団はココとムギが一緒に寝る。枕元に二つスマホの充電器と目覚まし時計が一つ置いている。そして足元はムギのファッション雑誌とココの筋トレの本が雑多に積み重なる。壁際に一つちゃぶ台があって、その上にパソコンが一台ある。液晶テレビは隅っこに一台、ゲーム機が三つ前にある。タンスは一つでココとムギの下着が入っている。その隣に漫画や小説を入れた本棚がある。押入れにはゲームソフトやムギのスカートやワンピースに、ココのカジュアルスーツが入っている。

 入居して一日目のモモは今、小さな布団で寝ている。二人が寝ぼけていたら踏みつぶされてしまう危険な位置だ。

「重い……」

 モモは息苦しさで目を覚ます。

「ぷぎゃ」

 お腹を空かせたアマと目が合った。

「はいはい。ご飯あげますよ」

 モモは目覚ましを確認する。朝の六時だった。朝ごはんを作るのに良い時間だ。

 静かに体を起こし、ココとムギが起きないように忍び歩きで扉に行く。

「もうちょっと静かに出て行って。それじゃムギもココも起きちゃう」

 出る前に鋭い目をしたムギに注意された。ココも体を起こしている。

 微かな物音にも反応する。寝ていても神経が研ぎ澄まされている証拠だ。

「ごめんごめん。上手くできるように練習するから許して」

 モモは突然話しかけられて心臓バクバクだったが、できる限り平静を努めた。

「あんまりうるさいとママに言って部屋変えてもらうからね」

 ムギは注意し終わると再び布団に横になった。

「ムギも悪気がある訳じゃないの。だから許して」

 ココはジェスチャーでごめんねと言う。

「大丈夫です。それよりうるさくしてごめんね」

 ジェスチャーで謝り返して部屋を出た。

(まだ警戒されてる証か)

 二人が自分にまだ心を開いていないことを残念に思うが肩を落とさない。

(まだ初日。もっと頑張れば二人は私を認めてくれる)

 そのためにはしっかり仕事をしなければならない。そう気合を入れてリビングに下りる。

「おはよう」

 ママに挨拶された。

「おはようございます! 早いですね!」

 モモは驚いて直立不動になってしまった。

「ココやムギと同じように、あなたもまだまだ緊張してるみたいね」

 ママは立ち上がると松葉杖で悪い右足を庇いながらモモの前に立つ。

「な、なんですか?」

 15センチ背が高いだけ。なのにモモはママが巨人に見えた。

「あなたは最高の殺し屋に成れる。だからまずは私の言うことをしっかり聞きなさい」

 ママは真剣な目で、優しい手つきでモモの頬を撫でる。

「ママさんって頭おかしいんですか?」

 だがモモはママの台詞にツッコミを入れざる負えなかった。

「あははは! まさか頭がおかしいなんて言われるとは思わなかったわ」

 ママは腹の底から大声で笑った。それがモモの笑いを誘う。

「だって、突然最高の殺し屋とか言うから」

「ごめんなさい。あなたがあまりにも凄い才能だから、つい嬉しくって」

 ママがモモの髪を撫でる。サラサラと音を奏でた。

「あなたは私を超える素晴らしい殺し屋に成れる。だから私の言うことを聞きなさい」

「それってやっぱり私も殺し屋として特訓するってことですか?」

「当然よ。あなた自身、それを望んでいる」

 モモの体が高揚する。

「だからこそ私に会いに来たんでしょ」

「いや~でも私なんかあいつに勝てませんよ。だからココちゃんにお願いしたので」

「初めはそうだったでしょうね。でも今は違う。分かるでしょ」

 ママは足を引きずりながら冷蔵庫を開ける。

「まずはたくさん食べて体力を付けなさい」

 肉や野菜をドサドサ取り出す。

「まずは二週間で五キロ太りなさい」

「二週間で五キロも!」

「今のあなたは痩せすぎ。五キロ増量でも痩せてる方よ」

 ママは包丁を二本取り出す。

「栄養価の高い料理を教えてあげる。一緒に作りなさい」

 ママは問答無用で料理を始めた。

(変人だけどお母さんみたい)

 モモはクスリと笑って、ママの隣に立った。


 食事は簡単。納豆に焼き鮭にわかめの味噌汁に肉野菜炒めに白米。ご機嫌な朝飯だ。香りはそこまで強くないが湯気が出て美味しそうである。ただし量が凄い。

 モモの茶碗はラーメンどんぶりだ。ご飯が山盛りである。

「ママさん……これはいくら何でも」

 モモは見ているだけでゲップが出た。いくら食いしん坊でもキツイ。相撲取りクラスだ。

「全部食べなさい。ご飯は一回はお代わりすること」

「そんなに食べたらお腹が破裂しちゃう!」

「命令よ。全部食べなさい」

 ママは反論など聞かないと睨む。モモはグッと押し黙るしかなかった。

「わ~いきなりママの洗礼食らってる~」

「初めは地獄だけどモモちゃん頑張ってね」

 ムギとココは他人事のようにモモの隣で笑う。

「あんたたちも今日はたくさん食べなさい」

 しかしママが一喝すると、二人は白目を向いた。

「なんでムギまでこんなに食べるの!」

「勘弁してよママ! いくら私でも朝から山盛りラーメンどんぶり二杯はキツイって!」

 二人は苦言を申すがママは首を振る。

「昨日、私たちでも手こずる依頼が来たわ」

 二人はママの冷たい声で真顔になる。

「いただきます」

 そして二人は黙々と食べ始めた。

「依頼?」

 モモは二人の様子が変わったので不安になる。

「食べなさい」

 しかしママに睨まれたので、二人に習って黙々と食べた。

「く、くるしい……」

 食べ終わればモモの腹はパンパンだ。ムギとココの腹もはち切れそうだ。

「任務は神奈川を支配する室山組と、敵対者であるレッドスカーフの抹殺」

 ママは三人を無視して、平然と説明を始める。

「依頼主は公安。理由は過激化する室山組とレッドスカーフの抗争を終わらせるため。あなたたちのターゲットは川崎市を根城にする室山組の主要人物5人とレッドスカーフの主要メンバー5人の計10人。他の地域にもメンバーは居るけど、そいつは私が相手する」

 無茶難題だ。だがママは顔色一つ変えない。

「今日は全員で、武蔵小杉を根城にする室山組の幹部、大友組組長の大友和樹と側近の清水浩二、レッドスカーフの幹部である住友智樹と側近の永井功を殺しに行く。モモの初陣だからサポートに私も行く」

「モモちゃんは昨日来たばっかりなんだよ! いくらママがサポートしても無謀だよ!」

 ココが血相変えて立ち上がる。

「ムギも反対。ムギは二年訓練した。それでも大けがした。いくらママが居ても無謀」

 ムギも立ち上がる。しかしママは首を振る。

「モモはあなたたちよりも才能がある。だから大丈夫よ」

 ママは妖しい目でモモを見る。

(ここで断ったら私は追いだされる。そうなったらマスクの大男を殺せない!)

 モモは己が試されていると感じた。

「やります!」

「よく言ったわ!」

 ママは微笑みながら銃をテーブルに置く。

「これがあなたの命であり、あなたの恋人。これからは寝る時も肌身離さず持ってなさい」

 モモは躊躇いなく銃を持つ。

(こんなに小さいのに、すごく重い!)

 ハンドガンは鉄の塊だ。軽そうに見えても一キロはする。

(凄い! 持ってるだけで自分が強くなったみたい!)

 重厚だった。肉厚だった。冷たかった。

 人殺しの道具だ。それなのに胸が弾んで仕方ない! 銃が人気になる理由も納得できる!

「良い子ね。見込んだ通りよ」

 ママが興奮状態で夢うつつだったモモの頭を撫でる。

「あなたは躊躇なく、後悔なく、人を殺せる。殺しのためなら自分の命も惜しまない覚悟を持ってる。ご両親を目の前で殺された時に目覚めた素晴らしき才能。最高の殺し屋になれる」

 耳元で囁き、震える手に手を重ねる。

「だから落ち着きなさい。思うままに殺してはそこら辺の快楽殺人鬼と変わらない。あなたは一流の殺し屋になるの。プライドを持ちなさい」

 ママがほくそ笑むと、モモはようやく我に返った。

(この人! 悪魔みたい!)

 とろけるような声だった。まるですべてを見抜かれているような感覚だった。

(ママのところに居れば私は変われる!)

 ボロ家で食事にも困る生活。一人寂しく朝を待つ日々。バカな連中に怯える日常。マスクの大男を恨むだけの空しい10年間。

 ママと一緒に居れば、そんな情けない自分を変えられる!

「ママさんって頭がおかしいって言われませんか?」

 しかし心の中で引っかかるものがあった。だから失礼だと分かっていても聞く。

「確かに私は異常者。殺し屋だから当然。でもね、異常だからこそ私はプライドを持っている。それが他の犯罪者と違うところ」

 ママは誇らしそうに微笑む。

「それにあなたは、殺しは間違っていると言われて納得できる?」

「それに頷いたらマスクの大男を殺すなって話になっちゃいますね」

 モモはプッと噴き出した。

 あなたは間違っているとか、殺し屋は誇れる仕事ではないとか、そんな説教をされたら折角のやる気が失せてしまう。

 ママは言わない。だから銃を強く握りしめることができる。

 迷いは晴れた。指先は軽く、銃の重みに愛おしさすら感じる。

「二階へ行きましょう。銃の使い方を教えてあげる」

 ママは毅然とした態度で二階へ行く。モモは無我夢中で追いかける。

 ママは二階を上がって左の部屋に入る。中は六畳の広さで机一つと射撃の的があった。

「ここは銃のメンテナンスをする場所。完全防音だから近距離の射撃の練習もできる」

 ママはモモの後ろに回って銃の構え方を教える。

「両手でしっかりと握る。肩に力を入れない。両足を開く。胴体に照準を合わせる」

 モモはママの言う通り、五メートル先の的に狙いを定める。

「撃ちなさい」

 引き金を引くと反動で銃がすっぽ抜け、鼻に当たった。その衝撃で床に頭を打ち付ける。

「銃に叱られた。そう思いなさい」

 ママは鼻血を押さえるモモを見下ろす。

「銃を拾いなさい。そして百発撃ったら実戦よ。それまで銃に認められなさい」

 ママは扉に寄りかかり、モモの逃げ道を塞いだ。

(スパルタ。まるで軍隊に来たみたい)

 銃を拾って改めて狙いを定める。

(でもやっぱり怖くない。むしろ安心する)

 一人だったら痛みで泣いていた。だがママが居ると痛みが消えた。

(凄い衝撃だった。鼻も頭の痛みは引いてきたけど、肩と手首と肘は今も痺れてる)

 モモは考える。

(銃がすっぽ抜けたのは握りが甘いから。転んだのは足の踏ん張りが足りないから)

 弾は狙ったところに命中した。ならばあとは、銃に認められるだけだ。

 再度引き金を引く。すると今度は倒れなかった。銃も離さなかった。しかし強烈な反動で後ろに転んだ。

(さっきよりも肩と肘と手首が痛い! 腕に力が入ってたんだ! それに後ろに転んだってことはまだ足の踏ん張りが足りない証拠!)

 モモはどうすれば銃に主人と認めてもらえるか試行錯誤する。

(肘は軽く曲げて、腰を落として重心を下げる)

 射撃。肘の痛みが減った。後ろによろけることも無くなった。しかし再び銃に鼻を殴られた。

(脇を閉めて、肩と手首と肘を固める)

 何度銃に殴られようと、どんなに腕が痛くても撃つ。

「リロードのやり方を教えるわ」

 弾が切れるとママがリロードのやり方を教えてくれた。真似してみると熱い銃身を触ってしまったため手が赤くなった。それも銃のお叱りと受け止める。

 次のリロードは自分でやった。リロードする時弾倉とマガジンジに皮を挟んでしまった。親指の皮がむけたが怯まない。

 二つ、三つと空のマガジンが増える。

 銃声が頭の中で鳴り響く。鼓膜が破けそうだ。硝煙の熱さで鼻の穴が焼ける。腕と足が震えて立って居られない。

 しかしモモは最後まで撃ち切った。

「正真正銘の百発百中。やはりあなたは天才ね」

 ママはモモが撃ち切ると頭を撫でた。

「終わったの?」

 モモは無我夢中だったため、撃ち切ったことに気づかなかった。

「まさにマシーンね」

 ママは嬉しそうに穴だらけの的を見る。

「体力があるココでも始めたばかりの時は70発外した。力が無かったムギは95発外した。連射を続ければ体力を消耗し、銃を抑えきれず、狙いを外すのが自然。ところがあなたは初めて撃ったのに全部命中させた! これは素晴らしい才能よ!」

 ママはモモの額にキスする。

「今の感覚を忘れないうちに実戦に行きましょう」

 ママはホルスターとマガジンをモモに付けると、急ぎ足で下へ行った。

「休憩欲しいなぁ」

 モモは大きくため息を吐くと、ママを追った。


 モモを乗せた車は、殺しに行くとは思えないほどゆっくりと走る。

 法令遵守だ。殺し屋のくせに道路交通法は守る。それがママのプライドなのだろう。

「F社とS社にもあなたのターゲットが居るわ」

 ママは運転しながら、F社の前で車を停めると、助手席のモモに熱心に説明する。

「F社には室山組の若頭、工藤組組長の工藤雄介が居る。S社には室山組の金庫番、杉村組の杉村一郎が居る」

「そいつらはなんで会社の中に居るんですか? ヤクザのくせに働いてるの?」

「二人は室山組の企業舎弟である神奈川最大の警備会社、室山警備組合の社長と副社長なの。だから支払いの期日に成ったら報酬を受け取るために直々に会社へ出向くわ」

「銀行振り込みにすればいいのに」

「今はハイパーインフレーションだからお金じゃなくて金塊で取引するのが基本。銀行は役に立たない。そして犯罪者は心配性。大金が動くとなったら面倒でも自分から動く」

 ママは門を指さす。

「S社とF社の門の入館管理をやってるのは室山組の警備会社。金と女と麻薬と酒しか頭に無いから簡単に侵入できるわ」

「一般企業の中の方が護衛が少なくて殺しやすいって訳か」

「監視カメラなど他にも障害はある。どうやって突破するか、たっぷり教えてあげる」

 ママはモモの頬っぺたにキスをして、JR南武線の高架下の駐車場に車を停めた。

 武蔵小杉駅から少し離れた場所は誰も居ないかのように静かだった。

 コンビニやスーツが自慢の服屋もシャッターが閉まっている。通行人は居ない。

「まるで死人の町」

 モモは率直な感想を呟いた。

「武蔵小杉駅周辺は神奈川でも屈指の危険地帯。通勤通学ラッシュ以外は静かなものよ」

「自宅で仕事すれば良いのに」

「インターネット代が月に100万円しなかったらそうしてたでしょうね」

「いっそ仕事止めれば良いのに」

「仕事しなかったらご飯が食べられない。資本主義の基本」

「仕事しても貧乏なくせに」

「だから室山組やストリートギャングが勢力を伸ばす。ちなみに最近の大学進学率は1%。4%が企業。残る95%はヤクザかストリートギャングに就職する。銃が手に入るから結構人気よ。死亡保険が下りないのが難点だけど」

「もう日本から出て行っちゃえば良いのに」

「日本人は英語が苦手。しかも感染症の影響でどこも受け入れ拒否状態。八方ふさがりね」

 ママは上機嫌にモモと会話する。

「ママがあんなに上機嫌なの初めて見たかも」

 二人の後ろでココとムギがひそひそ話。モモもママのテンションの高さに苦笑い。

「ママさんって初めて出会った時とイメージ違いますね」

「どう違うの?」

「もっと冷静な人かと思いました」

「昨日は抑えてただけ。今の私はあなたの才能にドキドキしてる」

 話していると四人は武蔵小杉駅の北口前に着く。そこでは赤十字主催の食料の配給が行われていた。マシンガンを持った武装警官が十人、1000以上の長蛇の列を見張る。

「猫杉明と猫杉幹子が生きていた頃は、日本は豊かだった。だから後進国の北や中東、貧富の格差が酷い中国を笑っていた。ところが今は周辺諸国に笑われる。あの時の会社員はホームレスを笑っていた。でも今は笑えない。自分がそうだから」

 浮浪者に混じって学生やサラリーマン、子連れの主婦が並んでいる。全員、今か今かと食事を待ちわびている。

「お父さんとお母さんが生きていた頃は豊かだったんだ」

 言い知れない懐かしさと悲しさがこみ上げる。

「日本の大恐慌は猫杉一家が死んだからとも言われているわ」

「お父さんとお母さんが死んだから!」

 新事実に胸が締め付けられる。

「猫杉グループは世界を代表する企業だった。そのトップが殺され、代わりに明の弟である猫杉博之がトップになった。カリスマ性のない奴がトップになったことで猫杉グループは衰退。猫杉グループとその関連会社の株価は暴落し、中小企業含め何千社も倒産した。そこに東京オリンピック後の大不況。猫杉グループという巨大柱を失った日本の経済は混迷を極め、個人事業主や中小企業含め実に十万近くの会社が倒産した」

 モモはママの説明を聞いて、目が熱くなった。

「お父さんとお母さんが生きていたら、こんな世界にならなかったのかな?」

「ならなかった。断言できるわ」

 ママは駅近くの公衆トイレに入った。

「変装していくわ」

 ママは右手で己の顔を撫でる。するとたちまちに若い男性へ変身した!

 さらにママはばさりと一回転する。そうしたらあっという間に服が男物のスーツに変化した。

「薄いマスクを張り付けただけ。服は一瞬で着替えられるように開発した特注品。マジックの早着替えと同じ原理ね。種さえ分かれば子供でもできるわ」

 ママは驚くモモを前にほくそ笑む。

「ゆっくりでいいから、このマスクを顔に張り付けなさい」

 ママはモモにけばけばしい化粧をした女のマスクを渡す。

「こうですか?」

 モモは呆気にとられながら、言われた通りにマスクを顔に張り付ける。

「鏡を見てみなさい。素晴らしい出来よ」

 モモは鏡を見る。するとそこに居たのは娼婦のような女だった。

 いつも着る制服と異なり、スカートの裾は股下2センチでお尻の丸みに太ももの付け根が丸見えでへそが丸出しに胸元も開いて胸の谷間とブラジャーを見せつける改造制服を着ていたこともあり、鏡の向こうに別人が立っていたと錯覚した。穿きなれないTバックと布面積の少ないブラジャーのせいでスースーして恥ずかしい。

「本来なら仕草、声、身長も変える必要もあるけど、今はこれで良しとするわ」

 ママはモモからココとムギに視線を移す。

 ココは男っぽい中年男性の顔立ちに変装していてその上に丸いサングラスをかけていた。頬の切り傷が目立つ。

 ムギは下着も肌着もスケスケの官能的なネグリジェに着替えていた。胸に尻の美しさといやらしさが際立つ。顔はロシア美少女のようで、瞳はオッドアイ、髪は銀髪になっていた。

 四人は殺し屋からヤクザと娼婦に変身した。

「最初のターゲットは武蔵小杉駅直結の高層マンション、エクラスタワー武蔵小杉を根城にする室山組の大友和樹と側近の清水浩二。全員付いて来なさい」

 ママは声を男に変えて公衆トイレを出る。モモはママの力量に舌を巻きながら続く。外を出ると警官や民衆がこちらを見たが、ママとココを見るとヤクザと思い、すぐに目を逸らした。

 ママは松葉杖を突きながら、JR南武線の自動改札から徒歩三十秒のところにある、39階のエクラスタワーに入った。

「何の用だ」

 正面玄関を入るとすぐにガラス張りのオートロックと銃をぶら下げた五人の見張りが立ちふさがる。

「根城組の使いです。横浜の銃の密輸の件で大友様にお話があります」

 ママはキビキビと話す。松葉杖を突いているとは思えない堂々さだ。

 見張りはモモとムギの体を見ると、鼻の穴を膨らませる。

「入れ。言っておくが、変な真似するなよ」

 見張りの一人がロックを解除した。

(三人とも凄い。全然怯えてない)

 四人は一人の見張りとともにエレベーターに乗る。背中から見張りが突きつける銃の圧力を感じる。モモはそれだけで呼吸が荒くなる。なのに三人は自然呼吸だ。気にしてすらいない。

 最上階に着いた。エレベーターが開くと金庫のように分厚い扉があった。見張りがインターホンを押して事情を話すと、三分後、通路にガチャリと重々しい音が響いた。

「根城組の者が何の用だ?」

 三十畳はあるリビングに入ると、麻薬と酒を楽しんでいた大友の目が光った。

「一週間後に横浜で行われるトライアドとの銃の密輸の件でお話があります」

「なぜ根城組がそれを知ってる? 俺たちは仲良しこよしじゃねえはずだ」

 根城組。室山組と仲の悪い組の一つだ。何度か銃撃戦も経験している。

「裏世界は情報が命です」

「確かにその通りだ。そして俺たちは仲良しじゃねえ。分かるよな」

 大友がテーブルの銃を拾う。隣に座る側近の清水に護衛の十人も引き金に指をかける。

「我が組は衰退している。だから和解したい」

「だから銃の密輸に一口噛ませろと? ちょいと図々しいな。礼儀がなってねえ」

「ですからこうして和解の品を持ってきました」

 ママはモモとムギの背中を押す。大友は二人をつま先から頭まで見る。

「若いな。胸もデカい。それにスタイルが良いし可愛い」

 大友はモモとムギに視線を集中させる。護衛もモモとムギに注目する。

「大友さん。こいつら、中々に良い女です。商売させたら大金を稼ぎますよ」

 側近の清水が大友から離れ、ムギに近づいた。男たちの視線がママから完全に逸れた。

 刹那、ママは銃を抜き、右に居る護衛五人を瞬時に射殺した。一秒未満の早打ちだ。

 それを合図にココが背後の見張りに回し蹴りを食らわし、首の骨を折る。そして間髪入れずに銃を抜き、左の護衛五人の脳みそをザクロのように吹き飛ばす。

 二秒未満で護衛が消えた。残るは大友と清水だけ。

「けひ!」

 清水が間抜けな声を上げた。ムギがアイスピックのような隠し武器で清水の首を刺したのだ。

 時間にして二秒。それしか時間が経って居ないのに、大友は一人になってしまった。

「何が望みだ!」

 大友はへっぴり腰で銃を構えながら後ずさる。

「金か! それとも縄張りか! 何でもくれてやる! 銃の密輸もお前たちに任せる!」

 大友は下がる。風景を一望できる強化ガラスの大きな窓に背中をぶつける。

「おぜん立てはやってあげたわ。止めはあなたがやりなさい」

 ママはモモの肩を叩くとココとムギに目くばせした。

「モモちゃん。頑張って」

「無理だったらすぐに逃げなさい」

 ココとムギは苦渋の顔で呟くと、ママと一緒に部屋を出た。

 なんと、モモは銃を持つ大友の前で置き去りにされてしまった!

(ちょっと待って! なんでこうなったの!)

 モモは銃撃戦が始まった瞬間、大友と同じように頭が真っ白になった。気づいたら死体の山の中に居た。そして口を半開きにしていたら突然、大友と一騎打ちしろと言われた!

「何だお前は! 早く出て行け!」

 大友は銃を震わせながら叫ぶ。怯えているからこそ、いつ撃たれてもおかしくない。

(どうしたら良いの!)

 頭が回らない。何をすれば良いのか分からない。臓物と血の生々しい臭いに鼻を突く硝煙の火薬の臭いが混じって足が震える。頭蓋骨からはみ出るピンク色の脳に絵の具のように赤い血が絨毯のように広がって目が痛い。

(撃たれる!)

 意識が混濁する中、モモは不意に、大友の指が引き金に伸びるのを見た。

 撃ち殺される。その事実に気が遠くなる。胃が潰れたような吐き気がこみ上げる。

(死にたくない!)

 気絶するような恐怖だった。だが脳が警鐘を鳴らし、眠らせてくれなかった。

(撃たないと!)

 怖くても撃ち返すしかなかった。殺し合いを始めなければならなかった。

 脳が万力で締め付けられたように痛む。意識が遠くなっても、頭痛で現実に引き戻される。

(これが死ぬ前に見る走馬灯!)

 まるで一枚の写真の中に居るように体が動かない。大友の指先も動かない。先ほどまで臭っていた臓物や血に火薬の臭いもしない。

(何これ?)

 違和感に気づく。

 先ほどから世界が凍り付いたように動かない。

(いつになったら動くの?)

 大友が引き金に指を伸ばしてから十分以上立ち尽くしているような気分だ。

 それだけ時間が経てば、気持ちも落ち着く。

(良く分からないけど今のうちに動かないと)

 恐怖が消えて代わりに訓練を思い出す。モモはその通りに尻に隠した銃を抜こうとする。

 氷結した世界が解凍する。

(動き出した)

 モモは大友の指が引き金に触る瞬間を見た。

 しかしそこまで。銃弾は発射されない。

 今のうちだ。そう思った。しかし思い通りに成らなかった。

(遅い! 自分もあいつも!)

 プールの中に居るようだ。指先や腕に凄まじい抵抗を感じる。思い通りに体が動かない。

 大友の動きも遅い。待っても待っても引き金を引かない。欠伸が出そうだ。

(この光線は何?)

 大友の銃口からレーザーサイトのように、オレンジ色の光線が眉間に伸びた。モモはそう感じた。光線を避けようと、錆びついたような体を強引に動かし、身を伏せた。

 体感時間で十時間もした後、銃声が鳴る。

 モモは銃弾がライフリングに従って螺旋を描きながら、ノロノロと真上を通過するのを見た。

(世界が止まってる?)

 モモはそう思うしかなかった。

 極限の集中力を発揮すると時が止まって見える。

 モモは死の瀬戸際になって、知らず知らずのうちに己の才能を開花させた。

 時が止まって見える。それがモモの才能だった。

 大友は銃を撃った反動でのけぞっている。スロー過ぎて、ふざけているようだった。

 モモは慣れ親しんだような動きで銃を抜き、大友に狙いを定める。

 大友がスローなら自分もスローだ。狙いを定めるまで一日かかったと思った。それくらい体が言うことを利かない。

 ようやく狙いが定まると、モモは躊躇いなく銃弾を発射した。

 銃弾は視認できるほどゆっくりと正確に、大友の顔面に飛んでいく。

 血しぶきが上がる。大友が倒れる。全てが緩慢で、スローモーションの中に居るようだ。

「あなたは私が見込んだ通り天才だったわ」

 ママが茫然自失しているモモの肩を叩いた。そこでようやくモモの時が元に戻った。

「私、人を殺したんだ」

 深呼吸すると先ほど嗅いだ臓物と血の臭いが戻ってきた。それが己の所業を物語る。

 達成感は無い。死地を越えた安ど感だけが体を支配する。悲しくないのに涙が頬を濡らす。

「涙を流すなんて見っともないわね」

 ママはモモの目を見て、軽蔑するように顔をしかめた。

「あなたは立派に仕事をこなした。ここは喜ぶべきところ。なぜ泣くの?」

 ママは説教するようにモモに言う。

「私を失望させないで」

 ママは冷たく言うと部屋を出て行った。

「やっぱりママさんは狂ってるんだな」

 モモはへたり込むと深呼吸し、涙を拭く。

「もう私は逃げられない」

 モモは立ち上がる。

「いつか私は誰かに殺される。それが人殺しの運命。もしかするとそれはママさんかもしれないし、ココちゃんやムギちゃんかもしれない」

 殺し屋は罪人だ。誰に恨まれても不思議ではない。仲間に用済みと殺されるかもしれない。

 マスクの大男に殺されるかもしれない。

 それが殺し屋。モモが望んだ暗黒の人生だ。

「あの男を殺す。それを望んできた。なら、たとえ殺されても! やってやる!」

 モモはしっかりとした足取りで部屋を出た。

「次はセントスクエア武蔵小杉を根城にするレッドスカーフの住友智樹と側近の永井功。あなたたち三人でやりなさい。私は車で待ってる」

 ママは不機嫌そうに命令すると、正面玄関のオートロック前に居る四人の見張りを邪魔だと撃ち殺した。警官が来たらどうするつもりなのか?

 恐らく撃ち殺すつもりだった。

「モモちゃん、もしかして大友を殺した後泣いちゃった?」

 ママが居なくなるとココが心配そうに言う。

「うん。そしたらすっごく怒っちゃった」

「ママは殺し屋に誇りを持ってるからね。正直私もムギもついて行けないわ」

「やっぱり変人だ」

 モモは苦笑するしかなかった。

「モモもココも行こ。警官が来るかもしれないし、早くしないとママがもっと不機嫌になるよ」

 ムギがしかめっ面になった。でもモモは聞きたいことがあった。

「ムギちゃんは初めて人を殺した時泣いちゃった?」

「あんたと同じくママにいっぱい怒られたって言えば分かるでしょ」

 ムギは唇を尖らせた。それが妙に可愛らしかった。

 三人はセントスクエア武蔵小杉に向かうため、まずは武蔵小杉駅の南口へ向かう。

 南口は繁華街が近かった影響で北口と違って浮浪者の住処、完全なスラム街へ変貌していた。武装した浮浪者と赤いスカーフを巻いた男たちが我が物顔で闊歩している。警官でも立ち入ることは許されない領域だ。一般人は踏み入った瞬間、身ぐるみはがされて殺される。

 セントスクエア武蔵小杉は恐ろしい南口からスラム街へ入って、三十秒歩いた所にあった。

「ここの連中はさっきの室山組と違って話が通じないわ」

 セントスクエア武蔵小杉の正面でココが銃を抜く。

 セントスクエア武蔵小杉は廃墟となったイトーヨーカドーの隣にある。常軌を逸した目をする浮浪者のたまり場だ。

 好奇の目で見ていた浮浪者の目は銃を見ると敵意のある目に変わり、場のボルテージが急上昇する。

「中の奴は頭のネジが飛んでる。中の奴は女と分かれば犯そうと襲い掛かるし、男ならよそ者と激怒して殺しに来る。安全に出入りできるのはレッドスカーフの案内人が傍に居る時だけ」

「中に入ったら銃撃戦は避けられないって訳だね」

「外の奴も頭がおかしい。銃声が聞こえたら興奮して私たちを殺すために突入して来るわ」

「背中も気を付けないとダメだね」

 モモは冷たい息を吐く。それを見たムギが銃を抜いてモモを睨む。

「ムギとココが入るから。あんたは武蔵小杉駅に引き返して」

「私も一緒に戦うよ」

 モモは銃を握りしめる。腹はくくっていた。

「あんたみたいな足手まといは要らないって言ってんの」

「二人だけに危ない目に合って欲しくないの」

「バカな奴。言っておくけどムギは助けないから」

 三人は地上16階のセントスクエア武蔵小杉へ足を踏み入れた。

 中は浮浪者が住み着いているためか、エクラスタワー武蔵小杉と違って至る所が汚れている。電灯は割れていて昼間なのに薄暗い。腐乱死体が数体、壁際に捨てられている。ゴミ捨て場に居るような悪臭がする。それに混じって頭が痛くなる粗悪な密造酒のアルコール臭もする。

「誰だてめえらは殺すぞ!」

 中に入るや、焦点の定まらない浮浪者たちが銃を持ち上げる。

「レッドスカーフの住友智樹と永井功に用があるの」

 ココは一応といった感じに対話する。

「俺はお前らなんかに用はねえ!」

 確かに話が通じない。浮浪者たちは銃を向けた。

 ココとムギが同時に発砲する。撃つしか無いと理解したモモも撃つ。途端に飛び散る血と臓物。モモは血しぶきがゆっくりと壁にぴちゃぴちゃ付着する様子が見えた。

 集中力は十分だ。ココとムギの動きすら止まって見える。

「殺せ!」

 銃撃戦が始まった。ココとムギは壁に張り付いて銃弾から身を隠す。一方、モモは体を晒したまま、襲い掛かる男たちに銃を向ける。

「モモちゃんこっちへ来て!」

「このバカ! ムギはもう知らないから!」

 ココとムギはモモに叫ぶ。しかしモモは隠れない。

 時の止まった世界で、隠れる必要はなかった。

(誰がどこを狙ってるのか、全部分かる)

 モモは最小の動きで男たちを撃つ。

 一人、二人、三人、四人。百発百中だ。全弾撃ち尽くした時には死体が15追加された。

 弾切れになった。モモは慌てずにリロードする。リロード中も相手が銃弾を発射したが、オレンジ色の光線がどこに当たるか教えてくれたので、すべて避けられた。

「何ですって!」

「嘘……」

 ココとムギはモモの腕前に呆気にとられた。その間もモモは暴漢を射殺する。

 二分後、暴漢は死体へ変化し、大人しくなった。立つのは息一つ乱れないモモだった。

「モモちゃん凄いじゃない! さっすがママが見込んだ女の子!」

 安全になるとココがモモの背中を叩いてはしゃぐ。

「……ちょっと見直した。ちょっと認めてあげる」

 ムギはぷくっと頬っぺたを膨らませながら腕組みする。

「じゃ、行こっか」

 モモはピースをする。それが次の銃撃戦の合図だった。

「あいつらを殺せ!」

 銃声を聞きつけた、密造酒の粗悪なアルコールと薬物で前後不覚の男たちが、セントスクエア武蔵小杉の奥と外からやって来た。挟み撃ちの形となった。

 モモは反射的に発砲する。もはや銃は体の一部だった。狙ったところに命中する。

 ココとムギの腕前も相当だ。物陰から飛び出す男たちを次から次へと打ち倒す。外から押し寄せる男たちを撃ち殺す。しかし命中精度はモモより劣る。

 モモは一発で急所を撃ち抜く。対して二人は肩や腹に当ててしまう。外すこともある。しかしそれは無理もない。相手は動いている。物陰に隠れている。肩や腹に当てるだけでも神業だ。

 モモの腕前が異常なのだ!

「行こう」

 モモは奥から足音が聞こえなくなると走る。ココとムギは背後を警戒しながら続く。

 正確な射撃。撃ち殺した数はモモが圧倒的だ。だからこの時点でモモはリーダーだった。

 エレベーターは止まっていたので外の階段で上がる。見晴らしが良いため道路からも銃撃されるが撃ち殺す。その間にも上から下から敵が来るが、三人は冷静に処理する。

「私は素手で行くからモモちゃんはこれ使って」

 弾切れになった。するとココが銃とマガジンをくれた。モモは眉一つ動かさず、ココのバックアップを努める。

 ココの体術は素晴らしく、狭い階段では特に輝く。軽業師のような身のこなしで上階から来る敵の頸動脈を貫手で貫く。外からのうるさい銃撃と階下から迫る敵はモモとムギが対処する。

 完璧なコンビネーションだ。出会って二日とは思えない。

 もはや三人の前に敵は居ない。ストリートギャングなど射撃の的に等しい。

「お前らの目的は何だ!」

 最上階に行くと、レッドスカーフの住友智樹と側近の永井功が銃を構えて待って居た。

「私たちは殺し屋。狙いはあなたたち」

 モモは冷たく言うと、命乞いさせずに、無慈悲に殺した。

「モモちゃん本当に凄いわね。正直、私たちが居なくても良かったかも」

 ココは事が終わると感心した目でモモを見る。

「ムギが居なかったらこいつは背中から撃ち殺されてた! だからムギたちが必要だった!」

 そしてムギは悔しそうにモモから目を逸らす。

「でも、認めてあげる。感謝しなさい」

 ムギはそっぽ向いたままモモを褒めた。

「二人が居なかったらダメだったよ。だからありがと」

 モモは二人に認められたのが嬉しかった。心なし今朝より二人と距離が近い。

「ミッション完了! ここから脱出しよ!」

 モモは殺し屋になった。もう薄暗さも鼻が曲がるような悪臭も血の赤色も気にならない。

「オッケイモモちゃん! もうひと踏ん張りよ!」

「次はムギの実力見せてあげるから!」

 三人は迫りくる暴漢を難なく跳ね除ける。まさに百戦錬磨。文句のつけようがない。

「ちゃんと殺せたんでしょうね」

 しかしママは不機嫌な顔でモモを迎えた。

 とにもかくにも今日の任務が終わった。三人はクタクタでママの元へ戻った。そこで労いの言葉もなくいきなりこれだ。悲しくなる。

「モモちゃんは凄かったよ。私やムギより射撃が上手」

「そいつが居たからムギは楽が出来た」

 モモの様子を見かねたのか、後部座席の二人がフォローする。

「そう……」

 ママは話を聞くと、モモの頬を触る。

「もう泣いてないわね」

 ママはモモの涙を確認するとため息を吐く。

「初めての殺しだったから気が動転した。そう考えてあげる」

 ママはエンジンをかける。車がガタガタ震える。

「明日から徹底的に仕込むわ。覚悟しなさい」

 駐車場を出ると対向車線にパトカーと機動隊の装甲車が何台も走り去るのが見えた。

 次の日、ヤクザと娼婦がレッドスカーフと室山組の幹部を殺したと指名手配された。


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