王宮の一室
舞台は、アグニ村があるユミル王国、アサラ宮殿の大臣室です。
同じ頃、ここは、アルマー村から遠く離れた国都、アサラ宮殿の一室。
とある大臣が誰かと話をしています。
「で、どうだった?両殿下は息災であるのか?」
「はい、大臣。両殿下ともにご健勝であらせられる、とカヌマ様は申しておりました。しかしながら妃殿下のご勘気は未だ解けずとのことにございます」
「うむ、両殿下がお元気であられるならそれは重畳。妃殿下に関してはいつものことだ。陛下があのご様子ではやむを得ないだろう」
「さようでございますか。何やら市井においても様々なうわさが流れております」
「構わん、気にするな。それから、カヌマ殿に言伝を。しばらく商都バーキルに滞在する故お会いしたいと伝えてくれ。ではくれぐれも頼む!」
「かしこまりました」
言い終わると同時に、その人物は鷹の姿に変身し、宮殿から飛び立ってくのでした。
さて、まずははどこからどう攻めるか、あと・・・あの方へも。
これから商都へ出かけるまでに時間はある。一気に済ませてしまおう。
大臣は自分にそう言い聞かせ、手元の呼び鈴を鳴らし人を呼ぶ。
半時後、大臣を中心に、官僚達が集まって協議が行われます。
そして、夜半までに奏上用の法案骨子と成立までの工程表が出来上がりました。
「皆、ご苦労であった。懸案事項の解決や各部門すり合わせは、私が商都から戻る迄に終わらせて欲しい。緊急を要する問題が発生すれば、遠慮なく連絡を寄越してほしい」
さて、あの方にも使いを出しておくか。
大臣の夜は、まだ終わりません・・・。
大臣の夜もそうですが、官僚達の夜も終わりません・・・。