癒しの井戸
アルマー村への帰省前日、奥様から、お仕事がんばってくれたご褒美よ、と連れてこられたのは水晶玉で見たお屋敷です。
ルドラさんに、仕事が一段落したら私をお庭に案内してあげて、と頼まれていたとか・・・。もう、何でしょうか? うまく操られています。でも、いいのです。 癒しの井戸に行ける!
早速、奥様に案内され庭園へと進んで行きます・・・。
「すごいでしょう、でもきれいにするのは結構大変なのよ」
(ああ、なんてきれいな庭園、そして整えられた不思議な幾何学模様・・・)
言葉にするのが勿体ないくらいです・・・。
「この模様は、決して変えないように、と言われているの。それでね、地下には、昔の遺跡が眠っているらしいのよ」
(ああ、何か謂れがあるのかしら・・・)
これを見られただけで、今までの苦労が報われます。私の意識はふわふわ飛んでいきそう・・・。
「ここは、昔迎賓館だったらしいの。それを王族から下げ渡されて、私の実家が管理をしているの。だからね、よほどのことがない限り使っちゃダメって言われていたのよ」
奥様、顔を僅かに傾け、頬に手をやり言葉を続けます。
「それでね、ルドラさんから訓練校をここで開きたい、という打診も最初いい顔していなかったのよ。でも、途中で手のひらを返したように態度が変わって、それからどんどん話が進んでいるの。ちょっと意外だったわ・・・」
建物は、また別途ということなので、最後に裏庭に案内して欲しいと、頼みました。奥様は怪訝な顔をしながらも案内してくださいます。いよいよ念願の癒しの井戸とのご対面です・・・。
「・・・あれ?」
(井戸がない・・・)
「あ、あの~、裏庭に井戸がありませんでしたか? 確かこの辺りに・・・」
私は、記憶を頼りに、井戸があったと思われる場所に立った。
「あら、よくご存じね。でも、崩れかけの古い枯れ井戸だから埋めちゃったわ」
(・・え? あ・・・、意識が・・遠くなる・・)
「あら! どうしたの、まあ大変!」
私は、気を失い、その場に崩れ落ちてしまいました・
・・・・・・・・
気が付くと、辺りは薄暗く、床は固い石のようです。空気が少しジメジメしています。ここどこかしら? 暗闇に目が慣れてきました。すると目の前に何か大きなものが・・・。どこかで見たことがあるような模様が、模様が・・・ウロコ?
(ひぃ~!)
薄闇の中、淡く金色に輝く巨大な龍が何かに巻き付くように眠っておりました・・・。
龍との邂逅です・・・。




