準備
舞台は、ユミル王国の神殿に移ります・・・。
ある日、神官エルムは、神殿の長達から突然呼びだされます。
「なんでも、トゥルクに職業の訓練校が出来るらしい。君はそこに行き、この国の歴史と神学を子供達に教えてやってくれ」
「・・・お伺いしますが、それは神殿の事業でしょうか?」
「いや、民間事業だ。しかし、宰相殿から是非にと頼まれてしまった。この国の将来を担う子供達のためだ。神殿も協力しよう、ということになった」
エルムの問いに、神殿の長達は、感情を表に出さないように説明します。
(新しい街に行くのも悪くはないか?)
エルムは、話を聞きながら心の内でつぶやきます。
「巫女は随行するのでしょうか?」
「いや、今回は君一人で教えることになる。ただ、事務方のアイラが手伝いで赴くことになる」
実際に開校するのは来春だが、打ち合わせのため年明けにトゥルクへ出発して欲しい。詳しい話は現地で確認、ということだった。
(まあ、行ってみるか・・・)
エルムは、二つ返事で応諾しました。
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一方、こちらは、アサラ宮殿の宰相殿の部屋、大臣殿が呼ばれています。
「いや、呼び出して済まない。トゥルクで職業訓練校が設けられることになる。主宰は、あの藩王ルドラ殿だ。アルシュにある訓練校の姉妹校という扱いだそうだ。ついては、トゥルクの各組合に教師募集を呼び掛けて欲しい・・・」
二人は、双六の盤を挟みながら、話を続けます・・・。
「ところで、その訓練校だが・・・・」
密談は、勝負の決着がつくまで続けられました。
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晩秋のある日、トゥルクの各組合にこんな掲示がだされ評判を呼びます。
“職業訓練校の教師若干名募集。来春開校、報酬応相談”
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そして、このようなお仕事が初めての私です・・・。
お屋敷の一室で、訓練校の開校準備に悪戦苦闘中! その合間に、奥様の紹介で、この街の有力者、役人、組合代表、などと面会をします。
おお、いつぞやのルドラ様のパーティでお会いしましたな・・・。そんなこと言われても・・・顔覚えるのが苦手なのです、ごめんなさい!
そして、訓練校の説明、協力及び寄付金依頼を繰り返す日々・・・。
(た、助けて~!)
ようやく訓練校開校の承認もおりました。残すは、年明けの教師顔合わせと生徒面接が山場です。でもなんとか先が見えてきました。ふぅ~。これで一息つけそう。
私は、アルマー村に思いを馳せつつ黙々と準備を続け、ようやく村へ帰省する目途が立ったのでした。
事業立ち上げを、途中から任されるのも大変です。次回、癒しの井戸、です。




