歯科衛生士2
「いはくな~い、きぼちいい(痛くな~い、気持ちいい)」
タマキちゃん、ブラッシング中は、喋らないでね~。
んじゃ、よいしょ。お口ゆすいでください。これから少し歯石を取りますね。
「タマキちゃん、痛かったら左手上げてください」
・・・まだ何もしてないですよ(笑)、左手おろしてね。
がりがり、がりがり。歯茎に負担がかからぬよう注意払うの、意外と力の掛け方と角度が大事ナンデス。
「あんまり痛くなかった、チクチクしなかったの」
タマキちゃん、恐れていたほど痛くなくて一安心です。
「お母様、さっき教えたブラッシングができているか、何度かみていただけますか?子供は一度覚えればあとは早いですから」
さて、次はミサトちゃんの番。そうそう、器具を消毒しないといけないわ。
台所の火を借りて、真っ赤に熱した器具をミサトちゃんのところに持ってくる。
「イヤ~!!」
涙目になるミサトちゃん。
誤解させてごめんなさい。ちゃんとこれ冷やします。中世の拷問じゃないですよ。
ミサトちゃんに機嫌直してもらうため、柔軟剤の効いた柔らかいタオルで、口の周りを残して覆います。
「まず、ブラッシングからしますね」
しゃかしゃか、これも角度大事ですね。歯茎に負担かけないよう、これなら、どうかしら?この角度はどうかしら?あら~食いつきました。膝に乗せたミサトちゃんの頭から蕩けた感じが伝わります。
「は~い、一度お口ゆすいでください」
「お姉さま、もっと~♡」
あの・・・そこから先は未来の王子様のために取っておいてね。
ミサト妄想中・・・柔軟剤の香しい匂い。柔らかいタオルの肌触り。そして、こんな喜びがあったなんて、知らなかった。歯磨きなのに・・・がりがり、あれ?がりがり・・・は~い、お口ゆすいでください。ラシル姉さんの一言で妄想タイム終了。
それ以降、私は二人からお姉さまと呼ばれることになりました・・・。
歯は大切にしてくださいね。そんなこんなで、温泉に通いながら狩りや薬草取りの手伝いをします。あっという間に7日間が過ぎ、さらに10日間の宿泊を追加予約することになりました。