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命を継ぐ者(ラシル)の旅  作者: みのりっち
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藩王ルドラ

こちらは、ユミル王国街道の要衝トゥルクにある、アルシュ国藩王ルドラが滞在する貴族向けの宿。午後の日差しが差し込む中、華麗なお召し物でゆっくりお茶を楽しむルドラ殿。そこへ、ユミルの外交大臣の副官殿が派遣されお話をしています。


「なるほど。ルドラ殿は、その軍事顧問とやらを大国ザムから預かっただけだと」

「まったく其の通り。それにあの恩知らず共ときたら、挨拶なしでさっさと辞めていくじゃない。もう、腹が立って。役に立つから、と恩着せがましく言われ側近に取り立てたのに、騙されたとはこのことよね。あなた方も、ザムには気をつけなさいな!」

ルドラ殿、優雅に微笑みながら悪態をつきます・・・。


「は、ご忠告痛み入ります。では、我々が捕らえているあの者たちの処分は?」

「お任せするわ。ところで、彼らはどんな罪を犯したの? もしかして人を殺したとか?」

いいえ、と返答に窮する副官殿。


「もし、些細な罪で長く拘留しているのなら、さすがに何故かな? と思うところはあるわよね・・・」

いや、彼らはわが国民の監禁及び誘拐未遂と、越境未遂でして・・・と声が小さくなる副官殿。


「まあ!ユミルでは些細な罪でも取り調べが厳しいのね。私も注意しないといけないのかしら?」

そう言いながら副官殿の顔を覗きこむ藩王ルドラ。


「いえ、これは単なる確認でございまして、ルドラ殿に誓ってそのようなことは。はい、ございません!」

「まあ、良かったこと。では私これから出かけますの。もうよろしいかしら?」

「はい、これで結構でございます。本日は、お時間を頂きありがとうございました!」

逃げ出すように部屋を出る副官殿。そして外で待ち合わせていた、部下に指示をだす。


「見張れ! 接触してくる人物がいたら後を追え」

(藩王ルドラ・・・アルシュ国の1/3を治め、その財力は国王さえもしのぐとか。それが何しにこの国に居座っている? 必ずしっぽをつかんでやるからな!)

心の内でつぶやく副官殿でした。


ちなみに、ルドラ殿、食事、買い物、名所巡りと、毎日豪遊し怪しいそぶりは全くありません。

ここは、街道の要衝トゥルク。

藩王ルドラがここにいることこそ、アルシュ国にとって重要な布石なのでした。


アルシュ国にとってこの布石が生きるかどうか・・・。 それは、ザムの侵攻に対しユミルが宣戦と共に防衛戦の火蓋を切るかどうかにかかっています。次回、偵察部隊です。

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