国境付近の洞窟
村に平和が戻り、巡礼一行も戻っていきました。
ある日、ガウリアさんが西の山へ行こうと誘います。
「な~に、単なる実施訓練を少し・・・」
嫌な予感しかしませんが、二人で誘拐事件があった国境近くの崖に向かいます。
崖下にある細い道を降りると大きな洞窟がありました。
そして、明かりを灯して洞窟の中を進みます。突然、天井が高く広い場所に出ました。
広場の手前で立ち止まり、当たりの様子を伺います。そして、ガウリアさんは前方へ石を投げます。するとその部分だけ、地面が怪しく発光しています。
「なるほど・・・」
ガウリアさんは、怪しく光る地面を見つめながらつぶやきます。
道理で嫌な感じがしたと・・・。
「しばらく、後ろで見ておいておくれ、合図するまで前にでないように」
洞窟の奥から何やら影のようなものがゆらゆら立ち上がります。
それを見て竹筒を私に預け、あの影には直接触れないようにと注意されます。
「さあ、待たせたね。やろうじゃないか」
ガウリアさんは、おもむろに影に向かって言い放ちます。影はいっそう大きく揺らめき始めます。
・・・・・・・・・・
私が目の当たりにしたのは、奇妙な戦いでした・・・。
実体のない黒い影が、急にこちら伸びてきたかと思うとガウリアさんに襲い掛かります。
それをガウリアさんが、同じように実体のない白い影を体から出し、受け止めていきます。
そんな攻防が幾度か続いた後、ふいにガウリアさんが声かけます。
「さっき渡した竹筒の中身を、私とあの影の間にまき散らしておくれ、広い範囲に、だよ!」
慌てて言われた通りにすると、目の前に魔方陣が浮かび怪しい光が消えて行きます。
「さて、龍巫女さん、これから実地訓練始めるよ!」
ひぃ~! ますます嫌な予感しかしません・・・。
ガウリアさんは影と攻防をつづけながら、私に指示を出します。
「床に吸い付くように、踵を柔らかく意識して。訓練で立たされているだろ?」
ハ、ハイ~、と返事しながら感覚を思い出します。
「それが出来たら、私のように体から見えない何かが伸びると意識する。イメージが先だよ!」
何とか頑張っているのですが、出ません・・・!
「足裏を意識して。そのまま、後頭部から指先と踵につながり、そこから伸びていくように」
う、う~ん。・・・む、無理~!
その時、ガウリアさんの隙をついて、1本の黒い影が死角から襲い掛かります。
気づくのが遅れ態勢を崩したガウリアさん・・・。危ない!
次回、幻術師です。




