双六
ここはユミル王国の都のアサラ宮殿。回廊の途中で、宰相殿を大臣が呼び止めます。巷で流行の双六という盤戯をするため部屋に誘ったのです。
・・・・・・・
「なるほど、白と黒の駒に分かれ、交互に賽を振り、出た賽の目の数で、定められた場所から駒を陣へ移すのか」
「さようです。全ての駒を陣に先に入れれば勝ちです。また、相手の駒数によりマス目に止まれない場合もあります。相手の駒がいるマス目にちょうど止まれば、その駒を一時的に外に出せます・・・」
「すべては、賽の目次第という訳か・・・。ふむ、ではやってみるか」
宰相殿は、さすが理解が早いようです。
二人は、盤を挟んで賽を交互に振り始めます。
最初は、大臣が優勢でしたが、中盤で宰相殿が盛り返します。
大臣は、宰相殿が賽を振る直前、思わず飲み物の杯を床に落としてしまいます。
「やあ、これは何としたこと!おい、誰か?」
用人を呼び床に落とした杯を片付けさせ、ほどなく勝負は再開されました。
「ところで、今朝話題になった、西の大国ザムが武術大会を開く話ですが・・・」
大臣は、宰相殿に話を切り出します。
「うむ、王も戦担当大臣も、宿敵ザムに一泡吹かせん!と乗り気であったな」
宰相殿が答えると、次は私の番ですな、と言い大臣が賽を振ります。
「や!六が出た。おや、ここはそちらの駒に届きそうです。一、二、三、四、五、六。おお、駒を外に出しましたぞ!」
「まて、ここに貴殿の駒なかったはずだ! おかしいではないか?」
「おや、これは言いがかかりですか?」
「何だと!」
険悪な雰囲気になってきました。
「・・・宰相殿、申し訳ない。実はイカサマをしておった。先程の騒ぎに乗じ、盤上の駒をこっそり進めました」
突然、大臣は手のひらを反す様に、あっけなく自分の非を告白します。
「そうであろう、どうもおかしいと思ったわ! 貴殿何故・・・」
「今の出来事ですが、仮に宰相殿がわが国、私がザム国に立場を置き替えたらいかがですかな?」
大臣は、冷静に問いを返します。
宰相殿、しばらく大臣の顔を覗き込んだあと、声を落とします。
「何か掴んでおるのか?」
大臣、宰相殿の耳元で何かささやきます。
「ふむ、今はまだ・・・か?」
「狙いはまだわかりません。場合によっては他国と謀り、将来連合で対抗して来る可能性も・・・」
宰相殿は暫く勝負を続けた後、思わぬ収穫だったと言い残し、大臣の部屋を後にするのでした。
ちなみに、勝負は宰相殿が勝ちました。
双六にかこつけて、宰相殿と大臣とのお話でした。次回は、龍巫女の占い館臨時休業です。




