長老さんの話
龍巫女様方、皆、今日はご苦労なことじゃったのう。改めて礼を言わせていただきますじゃ。ちょうど若い者もおるし良い機会じゃ、この村の言い伝えを話しておこうかの・・・。
まだ人々が誰もこの地に住んでなかった頃、この世は神様達に治められておった。あるとき、西の神々と戦になり神様達は西へ出かけて行ったのじゃ。
そして激しい戦いが続いた。結局、戦の勝敗はつかず引き分けでな、神様達は国に戻ってきた。その際、この温泉を偶然見つけ、神様達は戦の疲れを癒した。それが、この村の温泉の始まりじゃ。
そこで一息つくと、お茶をすすり再び話し始めた。
温泉は、戦いに付き従った巨大戦士によって神様達のお眼鏡にかなうよう整備されていったそうじゃ。道を作り、井戸を掘り、巨石をもって危険な場所を封印したそうじゃ。この近くには、神様達が憩う離宮も作られたとか・・・。
確か森にそれを記した碑があったはずじゃ。さて、今はどうなっておるか?
再び一息つき、お茶を飲む。
やがて儂たちの祖先、つまり人間がこの地に住むようになった。
祖先は神様達に教えを請い、封印の場所には目印としてドラゴンもどき除けの木を植えたのじゃ。それが、本日龍巫女様方に舞を奉納していただいた場所じゃ。
「じいさん、封印の場所は、まだ他にもあるのか?」
村長さんが口を挟むと、長老さんは静かに話の続きを語りだす・・・。
封印の場所は、樹液の多い木が植えられておる。なんでもドラゴンもどきの怒りを鎮めるためだとか・・・。儂等は父祖より、封印の場所に植えておる木々をくれぐれも守るよう、とだけ言い遣っておる。封印の大岩は巨大戦士の管理じゃが、彼らの子孫はもう残っておるまい。
長老さん、遠い目であらぬ方を見遣ります。
神様達の中には、魔神というものもおったそうじゃ。
最初は、皆仲良くしておったらしいのじゃが、ふとしたことでお互いに戦になったらしい。しかし、あえなく魔神達は敗れ、地の奥深くへ追いやられることになったそうじゃ。なんでも、巨大戦士は、魔神達を見張るように神々に命じられたとか。その後、巨大戦士を見たものは誰もおらぬらしい・・・。
儂の話はこれで終わりじゃ。そして、封印場所の木々はこれからも大切にな。
神官ユミルは、話を聞き内心の動揺を抑えながら密かに確信した。
やはり、神殿の長達が言っていた神々の離宮は、この村近くのどこかにあるのだと・・・。
村の長老さんの昔話でした。次回は、騒動の決着です。




