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蛾

作者: 犬日目
掲載日:2019/11/22

ふゆの孤独な蛾は


うつくしく


鱗粉をまとうて


死のまえで


ひっそり


かたく


宝石となるのでしょかね、


あなたの


わたくしの


てのひらや骨が


そうであるみたいに。


路上


わたくしにしかみえ無い


つとにつとに


この目玉にしか


ま見えない


蛾


を


み遣りながら


今朝は


かこいのない


ひとやの


うちを


蛾の舞いかたで


縫いおよぐのでさあ。


ファミリーマートで


花を買いて


ソールのいたんだ靴のうえに


撒いた


無意味な


詩的行為に


名をつけるとしたら


やはし


鱗粉のまぶれた


ことば


が


よいのでは


ないでしょか。


わたくし


と


いう


肉の装置


病んでひさしく


かつ


光りだして


ひさしい


のである、


と


おもうと


なぜだか


新緑と


あなたの


みせなかった泪が


まなうらに


浮上する


路上


ふゆ。


十一月


二十二日


識閾のしたの


地下帝国より


蛾を


すさばして


なかぬように


なくのです。


あしもとに、


花。


散った、


花。


了。

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