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にじのこころ

作者: 暁海響

 しょうねんは、いつも 『にじ』いろの ふくを きていた。


 しょうねんの とっておきの おきにいりだ。




 しょうねんは、ちいさなおかで ひなたぼっこをするのが すきだ。


 あたたかい ひざしと きもちがいい かぜ


 ちいさなはなも さいていて とてもかわいい。




 かぜのひは ふわりと そらを とべるかもしれないと


 おおきな ふくをきて、そとへ でてみることもある。


 てをひろげて とぶじゅんびは ばんたんなのに、うまくとぶことが できない。


 いつか せいこうさせて、あの おおきなそらを じゆうに とびたい。




 あめのひは おうちのなかで あまおとをきいて すごすのも すきだ。


 ぱたぱた ざあざあ どどどど


 まるで オーケストラを きいているみたいで とてもたのしい。




 あめあがりの そらの あおさと、みどりの あざやかさ、


 はなも むしも どうぶつたちも、たのしそうに しているのを みるのも すきだ。


 あめあがりの おおきなにじは、いっとう すきだ。


 しょうねんの ふくと おなじ 『にじ』いろ。


 あめあがりは しょうねんの こころも うきうきと たのしくなる。




 あるひ、また あめが ふった。


 だけども そのひは いちにちじゅう、まるで あらしのようだった。


 ごうごうと かぜは ふいて まどを ゆらしたし、


 うちつける あめは たいこのようだった。


 ゴロゴロ ピカピカ ドシャーン


 ビリビリと じめんを ゆらしながら かみなりも たくさん なった。



 だれも そとを あるいては いないし、


 むしも どうぶつも


 きょうは かぞくと いっしょに


 いえの なかで まるまっていた。



 あしたは きっと たいようが でて、


 おおきな にじを つくるのだろう。


 これだけ すごい あらしだ。


 きっと とても おおきな にじだろう。




 つぎのひ、しょうねんが あさ おきて そとへ でると。


 そこは しろくろの せかいが ひろがっていました。


 そらも じめんも もりも ぜんぶ 『くろ』と『はいいろ』でした。



 しょうねんは おどろきました。


 いつも いく かわも、はなばたけも、


 だいすきな おかのうえも 『くろ』と『はいいろ』なのです。


 ただひとつ、


 しょうねんの おきにいりの 『にじ』いろの ふくだけが


 あざやかな いろでした。


 どこかに いろが のこっていないかしらと


 しょうねんは あるきだします。



 しょうねんが あるいていると、どこからか こえが きこえてきました。




「しょうねん、しょうねん!」


 しょうねんが こえの ぬしを きょろきょろと さがします。


「しょうねん! ここだよ ここ!」



 しょうねんが こえの ほうを みると、


 そこには ちいさな かたつむりが いました。



「やあ、かたつむりさん。ぼくを よんだかい?」


「ええ。よびました! おねがいが あります!」


「おねがい?」


「しょうねんの 『むらさき』を この はなに わけてもらえませんか?」


「ぼくの 『むらさき』?」


「はい! その すてきなふくの あざやかな 『むらさき』を この 『あじさい』に わけてほしいのです!」


 かたつむりは しょうねんの 『にじ』いろのふくを じっとみつめて いいました。


 かたつむりが のっていた あじさいは とてもめずらしい 『くろ』いろでした。


 あめあがりの あじさいは とても あざやかで きれいで


 かたつむりの いっとう おきにいりでした。


 しょうねんは かたつむりが かわいそうで


「うん! いいよ!」


 といって、『むらさき』を わけてあげました。


「わあ、とても きれいだ! ありがとう!」




 しょうねんは そうげんに やってきました。


 いつもは ねころぶのが きもちいい そうげんです。


 いまは いろをうしない、きもちよさそうには みえません。



「くすん くすん」


 どこからか なきごえが きこえてきました。


「やあ、まっくろな むしさん どうしたんだい?」


「くすん くすん わたしは 『あか』を うしないました。


 わたしの だいじな だいじな『あか』


 わたしは まっくろな むしでは ないのです」


 だいじな 『あか』を うしなった ほんとうは まっくろではない むしさんが


 とても かわいそうになり


「ねえ ほんとうは まっくろではない むしさん


 ぼくの 『あか』を わけてあげるよ」


 といって、『あか』を わけてあげました。


 まっくろだった むしさんが 『あか』と『くろ』に かわります。


「わあ とってもきれいだね てんとうむしさん!」


「ええ ええ! わたしは ほんとうは てんとうむし!


 とても きれいです! ありがとう!」



 すると てんとうむしが つづけていいます。


「しょうねん しょうねん おねがいが あります!」


「なんだい? てんとうむしさん」


「どうか このそうげんにも 『みどり』を わけてくれませんか?」


「そうげんに 『みどり』を?」


「ええ。ばったさんも かえるさんも だいじな 『みどり』が なくなってかなしんでいます」


 しょうねんが みみをすますと あちらこちらから


 くすん くすんと なきごえが きこえてきました。


「みんな かなしんでいるんだね。


 いいよ! ぼくの 『みどり』を わけてあげる」


 そうげんが きれいな 『みどり』に そまっていきます。


 あちらこちらから よろこびの こえが きこえてきます。


「「「ぼくたちの だいじな『みどり』だ! しょうねん ありがとう!」」」




 しょうねんは じぶんの 『にじ』いろが やくにたって とても うれしくなりました。




 しょうねんは おおきな うみとそらが みえる すなはまへ やってきました。


 ここでも『くろ』と『はいいろ』に おおわれていました。


 すると そらをとぶ とりと うみをおよぐ さかなが はなしかけてきました。


「しょうねん! しょうねん! なんてきれいな『みずいろ』なんだい?」


「しょうねん! しょうねん! なんてきれいな『あお』なんだい?」


「おねがいだよ。

 その『みずいろ』を このおおきな そらに わけてくれないかい?」


「おねがいだよ。

 その『あお』を このおおきな うみに わけてくれないかい?」


「とりさん さかなさん。もちろんいいですとも。

 ぼくも 『みずいろ』のそらと 『あお』い うみは だいすきだもの」


「「ありがとう しょうねん! なんてきもちのいい そらとうみ!」」



 しょうねんは だいすきな おかへと もどってきました。


 もうすぐ ゆうぐれどきです。


 いろの もどった おかには あちらこちらから うたうこえが きこえてきます。


「なんて きれいな 『むらさき』なんだ♪」


「なんて きれいな 『あか』なんだ♪」


「なんて きれいな 『みどり』なんだ♪」


「なんて きれいな 『みずいろ』なんだ♪」


「なんて きれいな 『あお』なんだ♪」



 しょうねんも たのしくなり いっしょに うたいます。



「「なんて きれいな 『むらさき』なんだ♪」」


「「なんて きれいな 『あか』なんだ♪」」


「「なんて きれいな 『みどり』なんだ♪」」


「「なんて きれいな 『みずいろ』なんだ♪」」


「「なんて きれいな 『あお』なんだ♪」」



 たのしい じかんを すごしていると そらから しょうねんを よぶこえが きこえてきました。


「しょうねん! しょうねん!」


 しょうねんが そらをみあげると たいようが こちらを みていました。


「たいようさん どうしたの?」


「おねがいだよ。しょうねんの その『だいだい』を わけてくれないかい?


 このままだと わたしは ゆうひになれないんだ」


「それは たいへんだ! もちろん いいですとも!」


「ああ とてもあたたかい いろだ。ありがとう しょうねん!」


 しょうねんは だいすきなおかで むしたちといっしょに


 たいようが しずんでしまうのを ながめていました。



 やがて ゆうひが しずんでしまい、


 よるのやみが そらを おおいはじめます。


「もうこんなに くらくなってしまった。はやくおうちに かえらないと」


 しょうねんが かえろうと たちあがったとき、


 しょうねんを よぶこえが またそらから きこえてきました。


「しょうねん!しょうねん!」


 しょうねんは たいようが もどってきたのかしらと そらをみあげると。


 おおきなおおきな おつきさまが しょうねんを みていました。



「こんばんわ おつきさま どうしたのですか?」


「しょうねん! おねがいです。


 しょうねんの その『きいろ』を わたしと ほしたちに わけてくれませんか?


 またたく やさしい ひかりがないと おばけを こわがる こどもたちや


 あたらしくうまれた こじかたちが あんしんして ねむれないんだよ」


「おつきさま それは たいへん!


 みんなが あんしんして ねむれるように もちろん いいですとも!」


「ありがとう しょうねん!


 もどってきた だいじなだいじな 『きいろ』。


 ほんとうに うれしいよ!」


 しょうねんも とてもとても うれしくなりました。



 だけども しょうねんは いっとう だいすきな『にじ』いろの ふくをみて かなしくなってしまいました。


 ぽたぽたぽた


「しょうねん! どうして ないているんだい!?」


「ぼくの いっとう だいすきな 『にじ』いろが まっくろに なってしまったんだ」


「しょうねん なぜ なくんだい?


 きみは とってもすてきな 『にじ』いろを もっているじゃないか」


「いいえ おつきさま。


 ぼくの 『にじ』いろは みんなに わけてしまったのだもの」


「そんなことはないよ だって わたしたちには みえるもの


 しょうねんの やさしい こころが。


 よく みてごらん。


 その 『にじ』いろに かがやく こころを。


 とっても すてきだね。


 とっても きれいだね。


 しょうねんの 『にじ』いろは なくなってなんかないよ」


「ぼくの こころ。


 ああ。こんなにも 『にじ』いろに かがやく こころ。


 ぼくの だいじなだいじな 『にじ』いろ。


 いっとう だいすきな 『にじ』いろ。


 とってもすてき!」


 しょうねんは うれしくなって かがやく えがおに かわりました。


 せかいは たくさんの いろに あふれました。



 END

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