Going home ~奇襲~
夕方の学校帰り。
東京住まいの俺は東京に来てから1ヶ月を過ぎようとしていた。その中、慣れない街中と電車の路線。迷路のような感じで俺は人に聞かないと分からないくらいでいたが、『東京に住んでから1ヶ月過ぎようとしてるんだ。人に聞くなんてなんてザマだ……。もう卒業しないと……』と思う。
俺はJR山手線で秋葉原駅に到着した時、夕焼けの雲が綺麗だから見とれていた。その中に、ふと目に入ったのはなんと、肌白く服はライトブルーのワンピースを着ている美少女が人混みの中に紛れ混んでいる。『きっと疲れてるから幻覚なんだろう』と思い込んだが、本当に美しくまるで氷の妖精のような気もした。
彼女は微笑みを浮かべてやってくる。その微笑みもとても美しい。美しすぎて、堕ちてしまいそうだ。というより堕ちたに等しい。歳は小学生か中学生の女の子に見える。好奇心のあまりにも俺は彼女に近づく。が、彼女が携帯していた物が太陽の光で輝いた。『何だろう』と思った俺。それは、紛れもなく凶器だ。
(彼女は明らかに俺を狙っている……)
直ぐにUターンして、早足でその場を離れようとする。然し、彼女の方も追いかけてくる。手持ちには武器という物を持っていない。距離が縮んでいく。更に足を速めて、離れようとする。何故か空気がひんやりとしていく。まるで洞窟にでもいるかのように……。
人混みの中に紛れてどんどん離れようとしたが、生憎スカスカのところに出てしまいバレてしまった。そして街中で凶器が飛んできた。ギリギリで避けたが氷のひんやりとした空気があとから襲い、俺の体温を奪って冷たくなってしまいそうだ。
今度は全速力で走って行く。人混みを掻き分けながら自宅へと急ぐ。そして、ICカードを使って秋葉原の改札口に入る。そして、渋谷行の電車が丁度よく止まっていた。その電車に乗り込んで彼女は直ぐそこまで来ていて、俺を掴もうとしたのかドアが締まり腕を挟む。その痛さのあまりにも泣き叫ぶ。彼女は、腕を引き抜こうとしたが時は既に遅し、そのまま出発してしまった。
電車と共に運ばれていって、遂にはフェンスにぶつかり、挟まった所から腕が千切れて、置いていく。『何だったんだ? 今のは……』と思い込んで少しだけ思い、安心する俺。
そこで有り得ない現象が起きた。
「え?」
思わず声を出してしまったようだ。彼女の千切れた腕が、まだ動いている。とても気味が悪い。数秒後には動かなくなるが、凍って水蒸気になっていく。
俺の心は『周りの人には見えてないのか? 可笑しいすぎるだろ』と周りの一般人に対してそういう思いが強い。なぜなら、皆が見向きもしないあの美少女。俺は、少しだけ気持ちを更に落ち着かせて、秋葉原に行こうと試みようと、次の駅で降りる準備をした。
そして、駅に着いた。降りる。
その時、何かが起きた。
その駅の方で悲鳴が聞こえる。声からにして女性だろう。周りの人がパニックになって、何もできずにいたが、誰かが「救急車を呼べ!! あと応急処置ができる人はいないか!!」と叫んだ。何かと気になり、駅を降りて声のした方へ向かう。そこで目にしたものとは……
人が倒れている。血も大量に出て血溜まりができていた。俺が見えるものは氷柱のようなものが人に突き刺さっている。まさかと思った俺は辺りを見渡して、蛇に睨まれた蛙のように凍ったかのように身動き一つしなかった。
「……っ!?」
襲ってきた美少女本人。千切れた腕は再生さして、まさにトカゲの如く。泣き顔も美しく、寄って慰めたいけど氷柱のような凶器を持っていたために、近寄ることもしない。そして、氷柱のようなものを投げようとしていた。秋葉原のようなギリギリの所ではなく、殺意の方で完全に刺そうとしている。
「こんなことして何になる?」
落ち着いて返したが、時は既に遅し。投げる。風を切ってこちらに向かってきたから避け、うまい具合に避ける。冷たさと痛さが混じってなんとも言えない状態。頬を掠り、切り傷のような傷ができて血が垂れるが、そんなことを気にしない。
殺気が前よりも強なって、動けなかった身体も動くようになり、また電車へと駆け込み、息を切り、恐怖に怯えた表情で安心する。が、何かが貫いた音がした。乗客の人は驚いて周りを見渡している。音をした方向に目を向けると、乗った扉側に彼女の氷のような物が突き刺さっていた。俺の右腕を貫いて。血も何も出なかったが、氷のせいで凍傷を超える傷ができてしまった。
駅に着いたら、彼女が微笑んで笑っていた。扉が開くと貫通したところから折れて数センチのみしか、残っていない。それを彼女は掴んで引っこ抜くが、根元から凍っているので、抜くには相当な力が──
「……っ!!」
俺は痛さのあまりにも叫び声があげることができず、物凄い痛そうな表情しかできない。汗のようなものが腕に伝って、指先から落ちる。貫いた腕が脈ごとに痛みが走ったから、見ると血が出てきて指先の下は血溜まりができていた。乗客は非常通報装置を使って、乗務員と今のことを話している。乗客の中には質問してくる人が現れる。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫じゃありません。意識が遠のいて……」そう言ってドアに寄りかかって、座り込む。
「大丈夫ですから頑張って下さい!!」
1人の乗客は必死に応急処置をして、俺の意識が遠のかないように対応してる。
「言い忘れてた。皆さんは次の駅で降りてください。全員です……。ほかの車両に言って避難させてください……。ここは危険です……」
言い忘れたことを言って、俺の言葉でみんなは訳が分からなくなっている。
「見た人はいるかもしれません。前の駅で人が死んでいたのを……」
この一言で乗客のこの車両にいた人たち全員がざわつき始めて、不思議そうに見つめる人もいれば引く人もいたが、応急処置をしている人は何かが違った。
「分かりました、あなたの意見に賛成します。実は私も何かがおかしいと思ってました」
「見えてたんですか……?」少しだけ希望の光に満ちてそう聞くと
「違いますよ。何かを感じただけなので、姿や物はわかりません」
「そうですか……」
少しだけ嬉しかった。今まで誰も見えてもないし、感じてもいなかったために解放される。そして、傷の方はちゃんと手当し終わって、固定させるものを出して支えになるように補強してくれる。せっかく巻いた包帯の代わりは、紅色の血に染まっていき包帯の意味が無い。それにしても、傷に対しての応急処置がとても上手く、包帯の巻き方もちゃんとしている。
「あなたの……名前は?」
「私は癒救です。私はほとんどの傷を癒すことができます。あなたはもしかして能力使いにやられたの?」
ここでアナウンスが入り、次の駅は池袋と入る。すごい複雑な気持ちを持った、俺はフラフラしながらも立ってから注意を呼び掛ける。が、みんなは聞いていなくて冷たい目で見られるが、協力して注意を呼び掛けてくれる癒が声を出そうとした時、違和感を感じた。咄嗟に同じ周波数である殺意という周波数を捉える。
「奴が来た……」
「能力使いですか?」
俺は頷き、池袋駅が次第に近くなり、速度が落ち始めて停車しようとさしかかる。この時に、車内放送が流れてくる。それを聞いた乗客は一斉に耳を傾け、真剣に聞いて完全停車にさしかかろうとした時、輝くものを見る。
「危ない!!」
深手を負った俺は癒に向かって突進を仕掛ける。押された彼女は、
「痛い!!ちょっと何……」
大きな音と共に、押された衝撃で電車の床に強打をして、痛みに耐えきれず叫んで水谷を見て言おうしたが、ギョッと固まって驚いてしまっている。
「逃げて……生きろ…よ……」
腹部に大きな穴が空いていたが、俺の目線だと大きな氷柱が刺さっている。乗客のみんなが俺を注目する。俺は吐血をして、倒れる。完全停車し、ドアが開いて騒ぎながら押し合い圧し合いでみんなが出ていく。
「死なないでください!! 直ぐに手当を……」
言いかける前に出させるように、ジェスチャーをする。
「ここは……危険……です……」
力が入らないのに頑張って起き上がって、最後尾の車両へと向かう。そして……
氷の力で窓を破って、彼女が入ってくる。一か八かで刺さった氷柱を抜いて、構えて殺意を飛ばしていく。殺気を感知したのか、あの微笑みは消えて恐怖と怯えの表情に変わっていき、その場を去りたがるように電車から出て走って逃げる。
「逃げるな!!」
俺は言葉を発した。発した後に跡を追いかけてるも、深手を負っている彼の身体は走れそうにもない、はずだった。右腕に包帯を外し、腹部に巻き始めていき自分で応急処置をしたり、代わりになるものを右腕に巻いたりして補う。
「くっ……このままでは左腕も使えなくなってしまう……」
俺はの左腕は、手から凍りついていることを確認して、急ぐが走ることができないので悩みに悩んだが、犠牲者を出さないことを決意して、歩きからスピードを上げる。わけがわからんが走れるようになっていた。
「何処だ……早く見つけてケリを付けないと……」
彼女を探しに出ましたが、広いのと大勢の人で見えない。と思っていたが、改札口でオドオドしている姿が見えたために気配を消してそっと近づいて行く。が、気配に気づいたのか改札口を通り抜けてまた走り逃げていくが、それを見てまた追いかける。
改札のICカード専用の方にタッチして、速度も落とさず通り抜けて人混みを掻き分けて進む。早く見つけてケリを付けないと左腕が完全に凍ってしまう。ぶつかって怒鳴られたとしても謝らず探し続けて、至るところを回って探したがそれでもいないと思った時、階段を上がる彼女が見えた。荷物を重りにして、負傷したはずの右腕を使って思いっきり投げた。
「きゃっ!!」
それは背中に当たり、重みの反動に負けて上がり終わる直前に足を滑らせて、転けて脛に当たって痛みに叫ぶ。俺は息を切らして彼女のもとへ行き、馬乗りになって怒りと憎しみの表情をし、持っている氷柱を高く上げる。
彼女は体重が重くなるのを感じるが恐る恐る振り向いて、彼の怖い顔と氷柱があることに気付いて恐怖のあまりに涙を浮かべて泣き始める。
「嫌……殺さないで……」
彼女は殺されたくないと強く思い、お願いを試みた。が……
「お前を生かしてはおけない……じゃあな……」
「お願い、やめて……嫌、嫌ァァ……」
俺は躊躇することなく氷柱を思いっきり彼女の腹部へ深く刺した後に氷柱を折って、飛び出てる氷柱の飛び出てるところを足で踏みつけ、氷を粉々にする。
ライトブルーのワンピースから血が滲み始めて、滴り落ちる血で血溜まりが大きくなり、彼女は即死に至らずに、意識が朦朧としている中最期の力を振り絞って、手を上に挙げてこう言う。
「痛い……痛いよ……苦しい……苦しいよ……」
「これがお前がやった罪だ。どっかで償うが良い」
この言葉を聞いた彼女は助けてと言わんばかりにまた呟く。
「死にたくない……誰か……誰か助け…………て……」
彼女の手がハタリと堕ちて、意識が完全に無くなり絶命に至った。俺は成し遂げたかのように天井を見つめ、彼女の遺体を抱えて池袋に出た。
「嗚呼、神よ……俺に罪の償いをさせてくれ……」
「願い通りにしてあげるわ。また会えるのを楽しみにするわ」
この時俺の腹部に激痛が走る。下を見てみたら、包丁が奥深く刺して抜き、服が血のせいで赤く染っていく。口の中が鉄の味がして、匂いも鉄の匂いがし、何かが口から伝うのを感じた。
『死ぬのか。できたら俺の手で終わらしたかった……』
その声は女の子で、意識が朦朧とする中、虚ろな目で俺は見る。池袋の東口向かって歩いて行く姿しか見ることができない。
「ゴフッ……朱……鷺…………」
血を吐いて彼女の上に重なり、そのまま意識が無くなった。血と一緒に……。