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星を見つめる空に  作者: 神崎 漓莉
3/13

prayer

こんばんは、神崎です。

今回は少し遅くなってしまいましたが、何とか投稿しました。

七夕の夜は、まだまだ続きます。

よろしくお願いします。

 長いようで短かった暗がりの道がひとまず終わって、見えてきたのは短冊を貰える、町内会のおじさんたちが設置しているテント。

 少しずつ出店の撤去が始まって、その手伝いでほとんどの人が出払っていたテントの中に残っていたのは、引っ越す前にお隣さんだったおじさんひとりだけ。


「あれ、星音(せいね)ちゃん? 久しぶり~、こっち帰ってきてたんだね!」

「お久しぶりです。えっと……、おじさんは元気でしたか?」

「おうともさ! おじさんの取り柄なんて元気なことくらいさね、いつまでいるんだい? うちのなんて星音ちゃんいなくなってからまぁ寂しそうにしててな? ……」


 そこからちょっと話が長くなってきた頃に、「星音ー、短冊もらっといたよー!」と紗菜(さな)が言葉を挟んでくれたから、なんとか抜け出せた。


「あ、短冊はあそこのテーブルで書いてなぁ。今ならみんな出払ってるから、落ち着いて書けるぞ~?」


 ちょっとお酒を飲んでたのかな、何だか間延びした印象の声に見送られながら、短冊に願い事を書くテーブルについた。紗菜は気を利かせて、わたしの書く願い事を見ないようにしてくれている。

 うーん、いざ書こうとすると何だか躊躇してしまう。

 そもそも、自分の気持ちを素直に書こうだなんてことをするのなんて、それこそ子どもの頃にまだ信じていたサンタクロースへのお願い事とかをしていたのが最後だと思う。

 少しだけ、懐かしくなった。

 あの頃ほしいと思っていた物のほとんどは、今では自分で手にいれることができる。それでも、何でだろう。たぶんあの頃の方が、今より“ほしいもの”に対して満足していたような気がする。


 そんな自分が少しだけ寂しくなって。

 無性にあの頃が懐かしくなって。

 だから、わたしは書いていたんだ。


『もう少し、この時間が続きますように』

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