rainy rainy tears
こんばんは、神崎です。
長く続いた七夕も、秋の訪れと一緒に次で最終回です。
ここまでお付き合いくださった皆様に感謝です。
今回もよろしくお願いしますっ!
「どうしていてくれなかったの?」
夜の展望台の上で、ふと由奈ちゃんが漏らした言葉。たぶん、さっき会ってからずっと気を使って言わないでいてくれたんだと思う。すぐにハッとした顔をして「あ、ごめん」と謝ってくれはしたけど、それでも空気は晴れない。
もし、わたしが。
わたしがここに――紗菜の傍に居続けることができていたら、紗菜はもっと違う“今”を生きていられたのかな? わたしがしたことって……、何なんだろう?
「ごめんね。わかってるんだ、星音ちゃんは何も悪くない。だって、星音ちゃんは星音ちゃんだけのものだもん、おねぇがどうだとかそういうのは関係ない。あのね、えっと、ごめん……」
「いいんだよ、由奈ちゃん。わたし……、わたし、こそ……っ」
あれ。
どうしたんだろう?
喉が熱くて、ううん、痛いくらいにひりついている。
急に、思い知ってしまった。ううん、思い“知った”んじゃない。もう、“知っていた”はずなのに。
もしかして、紗菜が忘れさせてくれてたのかな?
どうして、忘れていたんだろう? わたしが今日こっちに帰ってきたのは、祖母の誕生日だけじゃない。今日が紗菜の命日だって知ってたからだ。去年の夏に連絡をもらって、それで。
今日ここに帰って来よう、それで紗菜のお墓参りをしよう、そう思ってたんだ。
紗菜。
ねぇ、紗菜。
今日謝ったこと、ほんとに紗菜に届いてたよね?
紗菜と話せてたよね?
あの頃言えなかった本音を、あの頃聞けなかった言葉を、あの頃交わせなかった気持ちを、もうずいぶん遅くなってから、やっとわたしたちは届けられたんだと思う。
でもさ。
それは、嬉しかったけどさ。
だけど……、だけど、さ……。
「もっと早く……、もっと、早く伝えてれば……っ」
涙が止まらない。
立ってることもできなくなって、もう、何がなんだかわからなくなりそうな頭で、とにかく泣いていた。由奈ちゃんが涙声で何か声をかけながら背中をさすってくれている。
あぁ、ごめん。
さっき由奈ちゃんは気にしないでと言ったばかりなのに、もうどうにもならなかった。
まるでまた訪れる1年の別れを嘆く織姫と彦星の涙みたいにいつの間にか降りだした雨の中でも、頬に流れている涙だけは熱かった。




