lostage
こんばんは、神崎です。
少しずつ、七夕の夜明けは近づいています……
よろしくお願いしますっ!
え、だってそんなのおかしいって。
いないってさ、どういうこと?
さっき、ついさっきまでわたしと一緒にいたんだよ? その紗菜がもういないって、そんなこと、あるはずないよね?
由奈ちゃんが、少し辛そうに表情を歪めながら、すごく言葉を選んだような口調で話し始める。
「星音ちゃんがいなくなってからのおねぇ、なんだか見てて別人みたいに明るくなっててさ」
「えっ?」
「ううん、違う。たぶんね、すっごく無理してた。もちろん、理由なんて話してくれないからよくわからなかった。ただの大学デビュー?だって言われちゃえばそうとも思えるような感じだったけど、でも……、なんか違和感あったの」
こうして話している今でも、たぶん由奈ちゃんは理由を探している。それが伝わるような、本当に困惑しきったような顔をしていた。
その後の紗菜のことを聞くと、どうしてだろう、さっきまで一緒にいたときに感じていた違和感にも納得できてしまう何かがあるような気がした。
「おねぇは、なんかおかしかったよ。何だかんだで子どもっぽかったのに急に達観したような感じになってたし、それに、たまにどこか怪我して帰ってきてたし……。でも、何も言ってくれなかった」
抑えたような声で、ずっと由奈ちゃんの話は続く。
あんなに元気で、いっつも大きな声で話してて、なんでもないようなことでよく笑ってて、周りの気持ちまで明るくしていたような、そんな面影は見えない。
わたしがいなくなっている間に、そういうところも変わってしまっていたんだ……そのことに、今の今まで気付けなかった。
「ううん、たぶん……、違うね」
「……、」
「おねぇが何も言わなくなったのもあるけど、それだけじゃない。何も……、訊けなかったんだ」
「由奈ちゃん……」
「だって、怖かったから! 小さい頃から知ってるおねぇじゃなくなったみたいなおねぇには、なんか下手に話しかけたりできなかった! なんか、もしかしたらギリギリのところでなんとか保ってたおねぇを、変なこと訊いて崩しちゃったらどうしようって……っ!」
……それはついさっきまで、わたしも感じていたことだった。
あの紗菜は、今日会っていた紗菜は、紛れもなく紗菜だった。だけどわたしが知っている紗菜とはどこか違っていて。
だから、踏み込めなくて。
「どうして、いてくれなかったの……?」
たぶん、何気なく漏れてしまった言葉。
でも、その言葉にわたしの心は過敏に反応してしまった。




