ネバーランドオンラインpage5
さあてやってきましたよ……ボス攻略会議。
会場は『疾風剣』さんのギルドホーム、そこに大手ギルドが集まるとのことで他のプレイヤーという名前の野次馬もいっぱいいる。
……パッドに周囲の警戒頼んだけど、大丈夫かな?
「ん?どうした藤。」
心が顔に表れていたのかノリノリが心配してくる。
既に会議の席に座っておりあと残すは『勇者一行』のみ。
「ああ、悪い少し考え事。」
「仕事のことか?」
ギルドのみんなには一応軍のことと「ハウンドキッド」のことは伝えてある。
「まあそれもあるんだけどさ。ん!来たぞ。」
勇者一行は遅れていたというのに特に悪そうにも席に座った。会場は円卓になっており『勇者一行』と『風林火山』、『疾風剣』と『ムーンナイト』が向かい合わせの形になっている。
「全ギルド揃いましたね。ではこれより第一回ボス攻略会議を始めます。司会は『疾風剣』の副ギルマスの私アリシアが担当させていただきます。」
あれが『疾風剣』の副ギルマスか、装備はかなり良いものを使っているなと思っていると正面にスクリーンが降りてくる。
「ではまず初めにボスについてです。
ボスの名前はフレイムライガーレベルは35
特徴としては炎を纏った爪攻撃、炎のブレス、自己再生があります。
HPバーは6本。一度にボスエリアに入れる人数は百人です。
また雑魚としてファイアタイガー及びファイアライオンが最初それぞれ10体。加えて5分ごとに交互に五体現れます。
そのため百人を2つ以上に分ける必要があります。まずはそのことについて話し合うことでよろしいでしょうか?」
「ふっ、いいですよ。」
と勇者一行のギルマス、アーサーが
「ええ」
とムーンナイトギルマス、剛毅が
「りょーかい」
と我らがノリノリが
とそれぞれ答えた。
それを見てスクリーンに何かが映し出される。
「では始めていきます。これは戦略シュミレーターです。今回のボス戦ではフレイムライガーを倒す部隊、雑魚を倒す部隊、アイテムなどの補給をする部隊が必要です。ですのでこれからはこの件について話し合うということにいたします。
まずフレイムライガーを倒す部隊ですがここが主力となりますので人数は半数となる50人ほどと思っておりますが……」
「『勇者一行』はここに入らせてもらう。」
とアーサーが宣言すると
「ならば『ムーンナイト(ぼくら)』の主力部隊も。」
「それを言ったら『疾風剣』の戦闘部だって!」
と『疾風剣』と『ムーンナイト』のギルマス達も言い出す。
そこに各ギルドのお付きの人達も入り、口論状態となってしまった。
「静粛にしてください。」
「ではこうしませんか?これから各ギルドの代表四人でパーティを作り、トーナメント戦をし、成績の良い順で決めるというのは?」
苦肉の策だったのだろうか?アリシアは微妙な顔をしていた。
「いいだろう。我ら『勇者一行』は賛成する。」
「……『ムーンナイト』も了承します。」
「藤どうする?やるか?」
「いいけどさ……今すぐボンボンを呼んでくれ。相手は強いぞ。」
「分かった。『風林火山』も賛成だ。ただ今会場にいるのは三人しかいないので1人呼んでもいいだろうか?」
「フッ、許可しよう。」
「まあアンフェアなのは嫌ですしね。」
「仕方ないか……」
と各ギルマスとも許可してくれたので急いでボンボンを呼び出す。
そうしている間に総当たり戦の準備が始まる。
『勇者一行』は元々四人しかいないのですぐに決まったが、『ムーンナイト』と『疾風剣』はメンバー選びに忙しそうだ。
そして待つこと10分。
ボンボンも来て、『ムーンナイト』と『疾風剣』も纏まったらしく試合が始まる。
第1戦目
『ムーンナイト』vs『勇者一行』
『勇者一行』と『ムーンナイト』のギルマス、副ギルマスは以前紹介したので割愛させてもらう。
『ムーンナイト』の残りの2人はハイエルフでマジシャンの詩織とハイデミヒューマンでウォーリアの哲也。
どちらもバランスの良いパーティ構成ではあるが……
「『シャインレーザー』×3」
「くぅ!」「きゃあ!」「立て直せ!くそっが!」
何せレベル差、装備の差が激しい。
『ムーンナイト』は善戦したもののアーサー1人の手によって全員倒された。
二戦目
『風林火山』vs『疾風剣』
『疾風剣』の残りの2人は1人がハイエルフでサモナーもう一人がハイエルフでヒーラーだった。
両パーティは百メートルほどの距離を置いて向き合っている。
「これよりデュエルを開始します。3.2.1.スタート!」
フェルンテの親戚なんだろうか?ジャッジというNPCの声の元デュエルが始まる。
「『エアシューター×7』」
まずは僕の魔法で出方を見つつボンボン、ノリノリが接近。
「従者召喚!ストーンゴーレム。」
「っ!『石火』『アクセルスラッシュ』!」
「うぁ!『石火』『トリプルクロウ』!」
空気弾は相手のサモナーが出したストーンゴーレムに多少のダメージを与え消え去る。
だが空気弾に足止めされている間に2人はストーンゴーレムを倒し
「『ファイアアローズ』」「『三川』」
二人とも新しく習得した【火魔法】と【投剣術】で牽制しつつ残りの距離をつめる。
「行かせません!『フォートレス』!」
がアリシアの手により2人は足止めされそこで
「『トリプルクロウ』『スナッチング』『ポイズンスラッシュ』かっは!」
「『クロススラッシュ』『パリィ』!ちっ!『ストライク』うっ!」
攻撃を仕掛けるリュートとノリノリがぶつかり合う。
スキルが二度ぶつかり合い、そして三度目でノリノリは相手のHPを削るも毒を食らった。
「春、援護!ボンボンそこを抜けてサモナーを倒せ、援護するから!くらえ!」
「りょーかい。『ハイヒール』む!『キュア』『ビートヒール』」
「分かった。『石火』」
春のヒールでノリノリは立て直し、ノリノリが作った隙にボンボンはサモナーに肉薄、そこまでの抵抗は僕の魔弾で抑え……
「『ストライク』『ポイズンスラッシュ』『パラライズ』『鞭打』『星打』『ハイジャンプ』『降』『三連脚』『石火』!」
怒涛の7連撃でサモナーを倒し、一度下がる。
が相手の反撃等によってここまでで皆のHPは2割ほど削られている。
そして、相手の強さ的にヒールをしている時間は少ない。
人数差はついたが依然いつ負けてもおかしくないのだ。
(一策打つかな……まあすこし危険なんだけどさ。)
睨み合うだけでお互い動かないことを幸いに相手には届かないくらいの声で|(別に聞こえてもいいが)みんなに作戦を伝える。
「ノリノリ、ボンボン。僕と春でアサシンとウォーリアを止めるからその隙にヒーラーを倒せ。春できるよな?」
「もちろん!」
春はやっと近接戦ができる喜びが顔に出てる。
「……ちょいまち。お前らは後衛なのに前衛それもトッププレイヤー相手に大丈夫なのか?」
「ああ、レベル差はないし装備ならこちらの方がいい。それに僕らは軍人だぜ?
これがベテランの兵士とかVRゲームをずっとやりこんでる廃人とかならまだしも、まだVRゲームはこれが初。負ける気がしないよ。」
というのは建前で春は一人倒すだろうが、自分は相手を倒す自信はない。
「……ああもう!分かった。任せろ、ヒーラーをさっさと倒して援護にくるから。」
ノリノリも諦めたし、死ぬつもりはないからいいけどね。
「さすが!じゃあ始めるぜ。『ウィンドプリズン』!『ミラージュスクリーン』」
風の檻でウォーリアとアサシンの動きを止める。
効果は5秒程度しか続かないが、その間にノリノリとボンボンはヒーラーへと襲いかかる。
「『石火』『ストライク』『ラインズスラッシュ』『ビクトリーライン』」
「『石火』『パラライズ』『サークルブレイド』『ドレインソード』」
「うはっ、うう。『ハイヒール』『バリア』」
一気に勝負をつけるべくこれまでは使わなかった高位のスキルも混ぜてヒーラーに襲いかかる。
因みに相手のヒーラーが使った『バリア』は【防壁魔法】の最下級の魔法である程度の攻撃のダメージを減らすことができる。
とはいえ減らせるダメージは2人の攻撃の一割にも満たない。
「今行く!」「待ってろ!」「行かせるかよ『魔弾の射手』」「逃がさない!『石火』『鞭打』」
『魔弾の射手』は【マジシャンマイスター】のランク5で覚えれる魔法?で魔弾を機関銃の如くばら撒き、ミサイルの如く追尾させるというものだ。
それらにより相手のアサシン、ウォーリアは僕らを相手にせざるを得なくなった
「ちっ、こいつらをさっさと倒してあいつを助けにいくぞ!」
「ええ、『石火』『ストライク』『スラッシュ』」
「『トリプルクロウ』『ポーク』『ハンドレッドポーク』」
「『エアメイル』『ウォーターシールド』『エアシューター』『エアハンマー』!」
「『石火』『柳』『流』」
相手の猛攻に僕は魔法で足止めしつつ、接近戦になれば【風魔法】を自分にうちブースター代わりにして迎え撃つ。
春は元々の圧倒的な戦闘センスに加え、逸らし技を使って時間を稼ぎつつ、地道にダメージを与える。
だが……
「『ポーク』『鞭打』『鋸』『ハンドレッドポーク』」
「早い!『柳』『石火』うっ!にぃ!」
「『ウォーターカノン』!春、ウォーリアの方を!」
「りょーかい。こっからは私が相手だよ!『星打』『壁蹴』」
「『フォートレス』!っう。『スローイング』」
「まだまだ!『猛火』はぁ、よっ、せっ、しっ、どっせい!」
春への猛攻を水砲で強制的に吹っ飛ばすことで止めさせ、ウォーリアを春に任せ(って言うかもうすぐ春が倒しそう。)、僕はアサシンに追撃する。
「『魔弾の射手』『エアマシンガン』「チェインクラッカー』」
『魔弾の射手』『エアマシンガン』『チェインクラッカー』
圧倒的な物量攻撃により、アサシンの動きを止め『チェインクラッカー』でちゃっかり気絶も狙う。
「『石火』がはっ!」
「『ハンドレッドウォーターカッター』『スピアアクア』」
『石火』すらさせずに次は【水魔法】でダメージを与え
「くそっ!こうなったら!『影分身』『電光石火』!」
流石トッププレイヤーどこで覚えたかは知らないが『影分身』に『石火』の上位互換とは……速すぎて残像が……
「けど甘い。『アクアカノン』!」
しかしそれすらも押しつぶす圧倒的な魔法で分身や残像ごとアサシンを吹っ飛ばす。
「なに!がーーーーーーーーーー」
アクアカノンはそのMP使用量の多さから今の僕では打てて二発。
まあその分の火力はあるが、ある意味博打だ。
外れれば負ける。
「はぁはぁはぁはぁ。な、にを、しや、がった、、」
ボロボロの体を引きずり立ち向かってくるアサシン
しかし
「さぁね〜。さてと終わりだ!『ウォーターカッ「『スラッシュ』!」ちょ!止めとるなよ!」
「なんでだよ……ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ」
負けたアサシンと止めをノリノリに取られた僕の絶叫がひびき渡る。
「くそっ、なんなの……」「さぁね?『星打』」
同じころ春も相手を倒し……
「試合終了!勝者『風林火山』!」