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魔法学園の癒し手  作者: 幽夢
2/6

2話

 第三魔法学園は全寮制だ。つい先日この学校の中等部へ入学した朝霧柊も寮から校舎へと移動している最中だった。そこに話しかけてきた少女がいた。おそらく柊と同じ1年生だろう。


「えーっと、朝霧君だよね。私同じクラスの野田愛華」


話しかけてきたのは150cmあるかどうかというくらいの茶髪の少女だ。目がぱっちりとしていて愛らしく顔には幼さが残っている。


「あぁ、野田さんか。確か好きな食べ物はチョコレートだっけ」


「自己紹介で言ったこと覚えてくれてたんだね」


柊はそこそこ記憶力が良い方だと自負している。初日にあったロングホームルームであった自己紹介の内容も大半は覚えていた。


「まぁ記憶力がいいからね」


「そうなんだ。テストとか簡単に解けそうでうらやましいな。朝霧君は読書とか映画観賞が好きなんだよね」


「野田さんも覚えてるじゃん。トップバッターだったから緊張してたんだよねー」


朝霧、という名字のおかげで小学校でも柊は最初の方の出席番号になることが多かった。今回は1番になったのだ。


「その割にははっきり喋ってたような気がするけどなぁ。そうそう、緊張といえば今日は能力検査なんだよね。緊張するよ」


中学校に入学した時に初めてどのような魔法に適性があるのかを知るための検査を受けることになる。ちなみに数世代前までは後天的な処置により魔法を使用できるようになる人も多かったのだが柊の世代では100%の新生児が魔法を使う能力があったため実質的にはかつての超能力とさして差はなくなっている。


差があるとすればやはり複数の能力を使うことができる者が多くなったということだろうか。


「俺は強化魔法に適性があるってことだけは知ってるんだよね。強化魔法だけだったら悲惨だなぁ。3分ごとに消える上に使いすぎると体がずったぼろになるっていう強化魔法だからね」


「知ってるんだね。私は何も分かってないからなぁ」


「その方が純粋に楽しみにできるんじゃないかな」


教室についてからは柊と愛華はそれぞれ別々の同級生と雑談をしていた。話題はやはり能力検査についてだ。



そしてついにやってきた能力検査の時間、特別教室で生徒たちはざわついている。検査の方法はごく簡単で専用の機械に手をかざすだけだ。適性はAからDの4段階で表される。Aは優れている、Bは実用レベル、Cは一応使うことができる、Dは不可といったところだ。


番号順でやることになっているため柊が最初だ。少し緊張しつつ機械に手をかざす。


結果はほぼ全てがD、強化魔法、そして回復魔法がどちらもAだった。


「強化魔法だけじゃなくてよかったね。それに両方Aなんてすごいよ」


微笑みながら愛華が言う。


「ありがとう。回復魔法を使う人は少ないみたいだし喜んでいいのかもね」


「そうだね、私もいい結果だといいな」


愛華の番が回ってきた。そしてその結果は希望通り良いと言えるものだった。水、風、雷の魔法がB、振動魔法はAの判定だった。ちなみに雷魔法というのは便宜上の呼び方であって電流魔法という方が正しく魔法の性質を表している。実際に雷クラスの電流を生み出せるのはごく一部の人間だけなのだ。


「よかったね、俺よりよっぽどいいんじゃない?」


「いやいや、そんなことはないって。B3つよりA1つの方がすごいよ」


「片方はハイリスクな強化魔法なんだけどね。野田さんのはどれも汎用性が高くていいと思うよ」


それぞれが自分の魔法を知り、これからへの希望を胸に教室へと帰って行く。

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