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8th listening

撫子

「どうやら作者も十二月に入ったってことで、より以上真剣に新連載のことを想定し始めたみたいね。部屋の片づけしながら難しい顔して考え込んでたわよ」

東真

「部屋の片づけをしながらという状況はどうも何だが……まあ進展させる気があるというのは良いことだな」

撫子

「ひとまず三本同時執筆はそのままに、そのうちからペースが安定しそうなのを一本選んで連載するつもりみたい」

東真

「……ん? 三本同時執筆は続行しているなら、いっそ三本同時に連載を始めてしまえばいいんじゃないのか?」

撫子

「単純思考のあんたならそういう答えになるかもね。でもこの作者はあんたと違って神経が脆いのよ。そう簡単にはいかないの。この作者の性格上、連載を始めたら必ず完結するまで書かないとって強迫観念に憑りつかれるから、もし一本でも停滞する作品が出たりしたら冗談抜きに精神がぶっ壊れるかも。あんたの性格だったらそこまでひどいことにはならないだろうとは思うけどさ」

東真

「何か……引っかかるものの言い方だな……」

撫子

「あ、いいわね。分かりやすい例題だわ。そう、今の私の言い回しに対して、あんたならその程度の反応で済ましてくれるでしょ?」

東真

「え? あ、ああ、まあ……な」

撫子

「ところがこの作者はそういかないのよ。それこそ『なんか気に障ること言っちゃったかな……なんかマズイことに触れちゃったかな……』とか、そんなことを口にも出さず、自分の中だけで思い悩むっていう、救いようが無いくらいメンドクサイやつなわけ」

東真

「それはまたどうも……なんというか……」

撫子

「ジメジメした暗い性格だなあって?」

東真

「人が言い澱んでいるんだから、少しは気を回して柔らかな表現にしようとかいうことが出来ないのかお前は!」

撫子

「だあって真実じゃん。いくらオブラートに包んでも、事実が変わることなんて無いのよ?」

東真

「ぬ、う……それは確かにそうだが……そこはそれとして、物も言い様で角が立つとも言うだろうに……」

撫子

「はいはい、『情けは人のためならず』ってね。他人に施した優しさは巡り巡って自分に返ってくる。あたしから言わせればあんたのほうがよっぽど計算高くて利己的だと思うけど?」

東真

「……」

撫子

「分かってるわよ。あんたがそんな底意があって動く人間じゃないことくらい。ただ、優しく接してあげればいいだけの時期はもう終わってるってことを言いたいの。今この作者に必要なのはアメじゃなくてムチ。もともと牛みたいな性格してるんだから、ムチでも入れなきゃちゃんと走らないだろうからね」

東真

「ふうむ……」

撫子

「んで、問題はその三本の中から選んだ一本よ。はっきり言って、今までライトノベルの様式に挑んでいた姿勢は欠片も無くなったわ。長くかかったけど、やっと自分にライトノベルは無理だって気づいたみたい」

東真

「ほう、そうすると今回はまったく自由に書いた作品ということか?」

撫子

「そゆこと。それも理由かもね、不調からの脱出は。だって自分のスタイルじゃないものを無理やり書き続けてたわけでしょ? 疲れんのが当たり前じゃない。そこからしてもこの作者はバカとしか言えないわ」

東真

「ササキ……だから言葉にオブラートを……」

撫子

「結果の出ない努力をするのも好きだしねーこの作者。知ってる? 結果が出て始めて努力。実を結ばない努力は努力じゃなくて単なる徒労ってさ♪」

東真

「お前……」

撫子

「勘違いしないでよ? 私は努力することを否定してるわけじゃないの。そうでなく、実を結ぶまではいくら苦しくても単なる骨折り損なんだから、その苦労を無駄にしたくないなら意地でも結果が出るまで努力を続けろって、そう言ってるわけ」

東真

「……ほお」

撫子

「ま、ライトノベルの様式に対する挑戦は失敗しちゃったけど、大本である小説ってものへの挑戦は続くわけだからさ。実を結ぶまでは頑張りなさいっていう、私なりの叱咤激励よ♪」

東真

「ふむ、お前にしてはえらく思慮深い言動だったわけだな。これからもそういった調子を続けてもらえると有り難いんだが……」

撫子

「さあねー♪ あたしは気分屋だから、その時の思いを正直に表すまでよ♪」

東真

「……まだ不安は絶えんというわけか……」

撫子

「1年365日、通してずっと一定のテンションなやつがいたら、そっちのほうがよっぽど怖いっての……さて、そんなわけで今回はこれにて♪ 次回は連載予定の作品内容をご紹介いたしまーす♪」


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