2nd listening
撫子
「はい♪ えー、前回はちょっとグダグダな終わり方をしてまいましてすみませんでした♪
とりあえず、気を取り直して元気にいきましょー♪」
東真
「……私には、いまだにお前がなんでそれほど元気なのかが謎なんだがな……」
撫子
「なによう、何事もやるからには全力投球! 若さの特権よ♪ あんたみたいに若いうちから老成してると、人生が楽しめないわよ?」
東真
「別に私は快楽主義者ではないんでな。お前とは人生の指針が元から違うんだ」
撫子
「ったく、ほんとにつまんない性格だわね……」
東真
「それより、私にはお前の漲り様と同じくらいに疑問なことがもうひとつある」
撫子
「何?」
東真
「なんでこれは続いてる」
撫子
「……え?」
東真
「だから、なんでこの番組(という体の文章)は続いてるのかと聞いてるんだ。下らん気分転換とやらなら、一度もやれば十分だろうに」
撫子
「はいはい、東真ちゃん不正解ー♪」
東真
「ん?」
撫子
「考えが固いでちゅねー♪ 思い込みが激しいでちゅねー♪そんなことだからお友達が少ないんでちゅねー♪ 可哀そうでちゅねー♪」
東真
「なんか……ものすごく腹立つから、その言い方やめろ……」
撫子
「……本気で怖い目しないでよ……ただのジョークだってのに……あのね、この作者がほんとにただ、自分がリフレッシュするためだけにこんな手の込んだ真似すると思う?」
東真
「そんなもの分かるわけないだろう。何度も言ってるが、私はその作者とやらと面識も無い。何を考えてるかなぞ知ったことか」
撫子
「あのさ……せめて反論するにも、もう少し取りつく島のある言い方してくんない? 話が途中で終わっちゃうじゃない」
東真
「出来れば私は今すぐ終わって欲しいと思っている……」
撫子
「あんたの要望なんて聞いてないわよ。で、続いた理由の説明だけと、この番組(という体の文章)はただ単に作者のリフレッシュのためだけで始めたわけじゃないの」
東真
「……というと?」
撫子
「この作者が書いてる中に、『私的執筆考』っていうのがあるでしょ?」
東真
「知らん」
撫子
「なんで知らないのよ!」
東真
「だから何度も言わせるなっ! その作者とやらのことは、これっぱかりも知らんと繰り返し言ってるだろうがっ!」
撫子
「……ほんっ……とに、融通の利かない頭してるわねあんたってば……」
東真
「お前の頭が都合よすぎるだけだ!」
撫子
「まあいいわ……どっちにしても一から説明しなきゃいけないのに変わりは無いから、始めから話すわよ?」
東真
「……興味は無いが、話したければ勝手に話せ……」
撫子
「まず『私的執筆考』ってやつのことから説明するわね。あれって基本、なんか作品を書く時に前書きや後書きの代わりとして書き始めたものなのよ。ほら、ここの前書き後書きの記載のされ方って、読みたいか読みたくないかに関わらず目に入ってくる作りじゃない?」
東真
「知らん」
撫子
「……聞いたあたしがバカだったわ……とにかく、そうなのよ。だからこの作者は作品に集中しづらくなるといけないと思って、前書き後書きは別で書くことにしたの。それが『私的執筆考』を書き始めた動機」
東真
「ふむ……」
撫子
「だけど、最近になって思い始めたみたい。『私的執筆考』って正直、堅っ苦しいのよ。なんていうかこう……『私、生真面目です!』みたいな感じでさ」
東真
「それが取り立てて問題があるのか?」
撫子
「真面目人間のあんたには不都合じゃないかもしれないけど、書くほうからすれば毎度毎度、真面目にきちんと正座したみたいな文章書いてると疲れるのよ。読む人だってそうじゃないのかな? あたしは少なくともそうだけど……」
東真
「それで?」
撫子
「それで、よ♪ この作者、『私的執筆考』とは別に、もっと砕けた調子で作品について語り、思ったことを書いたりするため、この番組(という体の文章)を始めたわけ♪」
東真
「……つまり、文章や内容の硬軟を使い分けるためにこれを始めたと……?」
撫子
「そ、まさしくそういうこと♪」
東真
「ということは……」
撫子
「……ということは?」
東真
「私たち……じゃない、私はそのダシに使われたということか……」
撫子
「ちょっと! なんでまた意図的にあたしだけ除外したのよ!」
東真
「……そんな些細なことはどうでもいい。とにかく実際そうなんだろう?」
撫子
「些細って、あんたね……まあ、うーん……悪いほうに取れば、確かにそういう風にも言えるかも……かしらね。それがどうかした?」
東真
「……最悪だ……」
撫子
「は?」
東真
「見知らぬ……どこの馬の骨だか知らん奴のために、私は……」
撫子
「あんたね……ものの受け取り方が深刻過ぎ……」
東真
「こんな恰好までさせられて……」
撫子
「……だーから……自分で着ておいてあんたが言うなってのに……」
東真
「……ほんとに……最悪だ……」
撫子
「……もー、ヤダ! こいつめんどくさい!」