last listening
撫子
「さて、長々とやってきたけどついに最終回ってね♪ いい感じじゃない? 番組(という体の文章)の最後が大晦日だなんてさ♪」
東真
「私としては、とにかく最後までよく分からなかったこの役目が終わってくれることが何よりうれしいがな……」
撫子
「ま、あんたらしい感想だわね。でも私も正直、このめんどくさい役割が終わるかと思うとせいせいするわー♪」
東真
「ほお、面白いな。あれだけ衆目の前に出るのを楽しみにしていた自己顕示欲の塊が、姿を見せる機会を失うのを喜ぶとは」
撫子
「……いつもながらにほんと、険のある言い方してくるわねあんた……でも別に腹は立てないわよ♪ なんたって今日のあたしは機嫌がいいからさ♪」
東真
「む……ますます妙だな……お前、どこか体の調子でもおかしいのか?」
撫子
「いたって健康ですよー♪ さらに先回りして言うと、別に珍しいことじゃないから雨も雪も槍も降ってきませんから♪」
東真
「珍しくないって……いや、お前が明らかに自分の損になる状況でそうも明るく振る舞うのは十分に珍し……」
撫子
「はーい♪ では因縁しかつけてこない性格の悪い女はほっといて、発表でーす♪」
東真
「絶対にわざとだろその無視の仕方はっ!」
撫子
「前回の最後に言いましたよねー♪ ちょっとした発表があるって。それがあたしの機嫌がいい理由♪」
東真
「……機嫌のいい人間がそんな分かりやすい嫌味をするか……」
撫子
「はいはい、好きなだけ念仏みたいにブツブツ言ってなさい。それでは、さっそくですが発表でーす♪ 実はこの作者、来年……」
???
「ちょっとお待ちくださいなっ!」
東真
「うわっ! な、なんだいきなり入ってきて! って……お前……が、なんでここに?」
???
「ひどいですわよ撫子さん! 貴女が発表してしまったら、わたくしは何のためにゲストで呼ばれたのか分からなくなるじゃないですか!」
撫子
「あっはは、ゴメンゴメン♪ だけどそういう反応が見てみたかったっていうのも正直なとこかなー♪」
???
「本当に人の悪い……わたくし、これのためだけにずっと待機してたんですよ? それを分かっていてそんなことを……」
東真
「……あー、待て。とりあえずしばし待て。意味が分からん」
撫子
「何? 何か分かりにくいことでもあった?」
東真
「分かりにくいんじゃない。分からないんだ。何故ここに……秋城がいる?」
秋城レリア(以下、レリアと略)
「あら、東真さんまでそんなことおっしゃるなんて悲しいですわ……前回、撫子さんがおっしゃっていらしたでしょう? 最終回にはゲストが来ると」
東真
「え……ということは、つまり……?」
レリア
「難しく考えるようなことではありませんわ。見たままのこれが真実。わたくしが最終回のゲストなんです。贔屓目に見ても決して重大でない発表をするための」
撫子
「あーあ、つまんないなあ……せっかく今まで頑張ってきたのに、肝心の発表をするのがあたしじゃなくてレリアだなんてさ」
レリア
「適材適所とよく申します。いくらつまらない発表とはいえ、人様に情報をお伝えする大事な役目。撫子さんでは力不足だということで、わたくしに任が下されたのはごく自然のことだと思いますけど」
撫子
「あんたまでなんか腹立つ言い方するじゃないのさ……」
レリア
「真実を述べたまでです。人の器量というものはこういう時、嫌でも出るものなんですよ?」
東真
「だ、だから……お前ら少し待て……何だか混乱して頭が痛くなってきた……」
レリア
「まあ、それは大変ですわ。待っていて下さい東真さん。すぐに終わらせて、わたくしが手ずから介抱してさしあげますから……」
東真
「そうでなく……頼むから人の言ってることをちゃんと理解して話を……」
レリア
「それでは発表いたします。現在、新作を連載中のこの作者ですが、時期は未定なれど来年一月以降に……」
東真
「……?」
レリア
「剣客少女の続編を書くことを決定いたしました」
東真
「……は?」
撫子
「そういうこと♪ これで分かったでしょ? あたしの機嫌がいい理由がさ。まだ未定なのが気に入らないけど、とにかく来年の一月以降にまた出番が確約されてるから機嫌が良かったってわけ♪」
東真
「あ、ま……、え、いや、何だ……? ねみ、ねみみみ……」
撫子
「寝耳に水でしょ。何ぶっ壊れてんのよあんた」
東真
「……あう……」
撫子
「まったく……ここぞってところで役に立たないのは相変わらずだわね……まあいいわ、最後はあたしが締めるとしますか♪ えー皆様には本年度中、大変お世話になりました。来年からはこの作者も心機一転、奮起して創作に励むつもりのようですので何卒、変わらぬご愛顧をよろしくお願い申し上げます。なーんて、真面目に言ってみたりして♪ じゃあ、またしばらくのお別れですけど、必ずお会いしましょうねー♪」
レリア
「作品自体には期待されなくても結構ですが、わたくしと東真さんの活躍だけはどうぞご期待のほどを……」
撫子
「ほら、あんたも最後くらいなんか言いなさいよ」
東真
「……が……」
撫子
「……ん?」
東真
「臥薪……嘗胆……」
撫子
「年越し前の、しかも最終回の締めで物騒な言葉使ってんじゃないわよこのボケナスッ!」
この後、三人はスタッフと一緒に短い反省をしてから解散と相成りました。
はてさて、
予定は未定。未定は口約束より軽し。果たして来年はどうなりますやら……。




