話す時に敬語になっちゃう理由、どう話そう……
私の気持ちを確かめたいのか、どこか諦めた境地にいるかのような顔をした好宏君に僕のことどう思っている的なことを聞かれた。私はそんなことは考えたことがないと伝える(実際は恋愛感情に振り回され気味だなんていえないし)
「やっぱりこんな子どもに言われても迷惑だよね」
「そんなことっ!」
しょげかえっている好宏君を見ていたたまれなくなった。私は思っていることを話す。それが実は本心だった。
「迷惑なんかじゃないよ! それに私はYOSHIHIRO君を子どもじゃなく異性として思ったことだって……」
言うだけ言ったら、私はどこか冷静に。あれ? これじゃあ私、好宏君のことを好きって言って……と思うと顔が赤くなった。
「とか、ないから!!」
「!!」
さすがに私の心まではわからないので、好宏君は急に恥ずかしさで大きめな声を出した私にビックリしてしまっていた。
きっと迷惑なんてことはない、そういう意味で私が断言したことに好宏君は嬉しい気持ちを感じてくれたんだろうと思う。
「そっかぁ、嬉しいなぁ」
会話が成立しなさそうと思ったが、運良く成立しているので私はそれを気にしない事にする。
「デートって言ったけど、植物公園に行こうって誘わせてもらうつもりだったんだけどね」
「い、いいんじゃないでしょうか。私も植物公園好きですから」
まるでアドバイスされている人みたいな答えだけど、私がまず好宏君にデート場所に誘ってもらっているんだよね。私は一緒にいて楽しい好宏君の誘いが嬉しかった。
「本当はフレンチディナーとか良い景色のある場所にドライブで連れて行ってあげたいなとか考えていたんだ。だけど僕の年じゃ、そんなことできなくて」
好宏君の考えの中にはすでに大人なデートプランがあるようである。
「お互いもう少し大きくなったらまた誘わせて?」
私は好宏君に澄んだ瞳で見つめられて、改めてこの子のかっこ良さを感じたので胸キュンしてしまっていた。
私は好宏君に誘われたということで、彼と植物公園にやってきた。そして植物公園の中央付近(もらった植物公園ガイドにそう書いてある)の眺めの良い場所にあるベンチに二人で座る。
「そういえば前に異性とは結婚するまで敬語で、これは誰であろうと同じですみたいな話を教えてくれたよね?」
口からでまかせ(あの時はごまかすようにそう言っちゃったのに)の話を蒸し返されて、私は動揺した。
「え、ええ。話しちゃいましたね……」
「でも僕のお兄ちゃんとは普通に話してなかった?」
(うっ)
私は図星をつかれたので、あわあわとなにか言わなきゃという気持ちはあっても何も言えなくなる。
「お兄ちゃんからの伝聞だけど、他に同じクラスの人とかにも敬語で話すことなんてあまりないらしい
ね~」
私は、好宏君には悪いけど、どうごまかそうかと頭を働かせてしまう。
「そ、それは……」
「……やっぱり僕のこと好きじゃないの?」
好宏君が沈痛な表情で落ち込んでしまったので、私は罪悪感に苛まれてしまった。
「!?」
そんなつもりがない。私は好宏君に問いただした。
「ちょっ、なっ、何でそうなるんですか!」
好宏君の考えの中に、悪い展開をよぎらせてしまったようである。
「だって僕と仲良くなってくれるつもりもないのかと」
私は好宏君に言われてしまったことに、複雑な感情を覚えて拳に力が入った。
「確かに敬語のことは私の問題です。でもそういうことは冗談でも言って欲しくなかった」
私は意を決して自分の気持ちを伝える。
「第一、好……好きでもない人とデ……デートなんてしません」
「うん、そうだよね」
私は好宏君が同じような気持ちだったことに、今気づいた。
私は好宏君に気持ちを確かめるようなことを聞かれて返事を窮する。
「じゃあいい意味で僕のことも特別扱いしてくれるの?」
「えっ……あの」
何とか私は言葉をしぼり出した。
「まぁ、そう思ってもらえても間違いではないかと」
「好きって思っていいの?」
好宏君のストレートな質問、視線も私に集中してる。恥ずかしい。
「そ、それは……」
今はこれが精一杯。私は決め顔でそれに対する答えをうやむやに返した。
「人類皆兄弟ですよ!」
「そうだよね!」
共感してくれる好宏君、可愛すぎる。
ちょっと文字数調整中。
失敗しました……><