まさかこの子が好きなのは!?
◇ ◇ ◇
緑葉の自宅にて―― 私はソファーで寝っ転がりながら恋愛感情について思い悩んでいた。好宏君に恋なんてありえない!! 私はそんなに年下好きじゃない! はず! 私はむ~~~~っと思い悩んでいる。
(好きっていってもこれはペットに対する感情に近い? そう!! 犬や猫あたり)
私はこの感情はそういったものからくるのかもと感じた。また私は思考のループにはまる。動物……いや、もしかしたら私っていわゆる発情期? 人間も動物だけど! そーか。なら、好宏君を見てドキドキするのはそういうこと! 納得!
私は気になったので、母親に質問する。
「お母さんって発情したの私と同じくらいの年?」
緑葉の母親は娘の質問にひいた。
「え、何。キモいわよ? も~」
私は自分の母親に鋭い言葉をかけられた。
「人間と動物は違うの、いつなんてないよバカ娘」
座っている姿勢からショックを感じながら、私は起きあがる。
「んなっ!? ないと困るんだけど」
「キモいっ」
自分の恋愛感情という思考に振り回されている私、発情期はこじつけすぎちゃったかと、どうしようか迷う。
愛じゃなくて恋! もう困惑していた。
「!! いっそのこと鯉!」
魚類の鯉の背中に「こい」と書かれているのをイメージする私。
「意味不明すぎだよ!!」
現実かを確かめたくて私はソファーに頭をぶつけた。
(最近娘がわからない……)
恋愛についても考えていたので心臓の高鳴りがすごかった。
(な、なんかこのドキドキ感はやばいよぉ……)
玄関のチャイムが鳴った音に私は気づく。ドアを緑葉の母親が開けると、誰が来たのか私にも見えた。
「あら、好宏君こんにちは!」
「!?」
恋(?)を感じ取ってしまっている男の子の訪問に、私は直立不動してしまった。
「緑ー、用事はあんたにあるらしいわよ」
「で、出る……」
私はドキドキで何かがノドにせりあがってきた感覚を覚える。
「胃とか腸とかが……緊張のしすぎが原因っぽいし」
(緑ったら、大丈夫なのかしら)
このドキドキが原因で口から何かが出てくるかのような変な感覚があって治まるまで少しかかった。
何とか気分も治まったので、私は玄関で待っている好宏君の元へ向かう。
「お待たせしてごめんね」
「緑ちゃん、こっちこそ突然で」
私の中で一番大切なことなので、好宏君の訪問理由を尋ねる。
「えと、私に用事って何でしょう?」
好宏君が照れ隠しなのか、ホッペタをかきながら私のことを誘ってきた。
「うん。これから時間もらえます? 迷惑じゃなければ付きあって欲しいんだ」
(っ、耐えなきゃ。これくらいで動じている場合じゃないのよ、私)
『好き』という感情を抱いてしまっているかもしれない男の子の誘いに、私は好宏君を直視出来ない。
「僕とデートを」
「はあうっ!!」
ストレートに誘われて私は、その言葉が胸につきささった。
私は嬉しい気持ちを感じてはいるものの、テンパッてしまっているので当たり前のことを確認しなおしてしまった。
「ででででぃとっていうのはそのっ、YOSHIHIRO君と私が!? 私ですか?」
好宏君は私がこんな感じになってしまうかもというのを承知の上っぽく肯定する。
「うん」
他にもあり得るかもしれないことを私は口にする。
「えーと、デートの下見(同じ年くらいの好きな女の子がいるから?)とか二人きりじゃ不安だから見守るようについてきて欲しいとか……?」
自分でも支離滅裂な考えだとは思っていたが、私のそういった考えは好宏君に否定された。
「ちがうよ」
私と好宏君が見つめあう形になる。
「ワオ……」
「うん」
好宏君の気持ちに私は気づく。私が見た限り、気づいてもらえたことで好宏君の表情が嬉しそうにほころんでいた。




