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靖宏の事を大人版好宏君と……当然彼らは勘違いしてしまった

「緑ちゃん家は今日、何を食べるの?」

 靖宏と好宏君と一緒に食事の話題をしていれば聞かれて当然だよね、でも割引された弁当なんて恥ずかしくて言いたくない……! と思う。私は思いついたことを口にした。


「こ、このお弁当を参考に作ろうと思っていまして」

「へえー」

「調理実習で異臭騒ぎを起こしていたお前がか?」

 好宏君の前で余計なことを言わないでよね、とごまかしをかねて私は顔をそっぽに向けた。

「ななな、何言ってるの? 私、超料理上手ですが」


 靖宏が返答に困ることを聞く。

「オイ。じゃあ得意料理を言ってみろよ」

 私は自信たっぷりに答えた。

「野菜サラダ」

「出直してこい」


心配そうな表情で靖宏が余計なお世話なことを言ってくる。

「そんなんじゃ結婚できねえぞ、上木。うわぁ……」

「う、うるさい。冷ややっこだって作れるもん」

 そんな二人の会話に好宏君が割って入り、可愛らしいことを伝えてくれた。


「あ、あの緑ちゃん。もし僕で良かったら結婚してほしいなぁ……って」

 好宏君が靖宏に確認していた。

「どうかな……?」

 靖宏が、「お前なぁ……」と呆れている。私は靖宏君が告白してくれた衝撃で買い物カゴから手を離してしまう。


「そ、そんな私達十才も年が離れていますし。貴方が十八歳になるまでその気持ちが続くとは限りませんからっ。それに私子どもが二人欲しいんですが、でもそうなると収入の」

 照れ顔で指を使ってもじもじしている様子を表現している私は自分の気持ちを口走ってしまっている。最後の方は想像(妄想?)が入ってしまっていた。

「上木、子どもの言うこと!! 子どもの言うことだから」


「お前、初心うぶすぎ……子ども相手によー」

 靖宏がやっぱりお前、そんなに恋愛したことないんだなーと感じていそうだと私は思ってごまかす。

「うるさい! いっ今のは演技だから!」

 私は靖宏を黙らせられそうなことを言ったつもりだった。

「敵をだますにはまず味方からって言うでしょ?」

「敵どこだよ?」


 その私の言葉に好宏君が涙目になってじっ……と私を見つめてくるのでごまかしは聞かないと覚悟する。

「うっ……」

 男の子の泣きそうな顔、反則すぎ。

「十パーセント程演技でした。九十パーセント真実!」

 好宏君のすがるような視線に耐えられなくて、直視するのも恥ずかしくなって顔を横に向けた。


 靖宏を首をかしげている。

「?」

 考えてみたら上木がどうして礼儀正しくしているのか靖宏は疑問に思ったのだ。

「上木は何で好宏に敬語使ってんだ?」

「大人扱いなんだって」

 好宏君的にはそういう扱いをされて一人の男性として見てもらっているのだと、どことなく声を弾ませて嬉しい気持ちがあると答えている。


 どういうことか理解しきれない靖宏が聞き返す。

「は? おままごとか?」

 うわあああ深くつっこまないでよおおお! と心の中で叫びながら私は赤面している顔を両手で隠した。

「上木、無理に好宏に付き合うことないぞ。どうぜ子どもの遊びなんだからさ」

 好宏君がそんなんじゃないもんって感じでふくれっ面をしているところが可愛い。


「ま、まだ付き合ってないし! 遊びとかそんなんじゃ……!」

 私は『付き合う』や『遊び』といったキーワードに反応して照れながら狼狽ろうばいする。

「何の話だ……?」

 私の勘違いに気付かない靖宏(気付かれなくて助かったと思うけど)が、何で私がそんな動きをしているのかわかりようがなかった。


 私はスーパーで昔からの級友(幼馴染とその弟)、岡屋兄弟がいるにも関わらず、一時的に考えこんだ。やっぱり兄弟だけあってそっくり(似てない兄弟もいるっているのはおいといて)……でも好宏君にしかキュンと来ないし……顔はほぼ同じなのに不思議だと靖宏の顔を改めて見る。

(何か今日の上木おかしい……)

 靖宏の顔を見ようとした時、私の方を靖宏も気にして視線があった。


 私は何だか恥ずかしくなって視線をそらした。

「!!??」

 急に私が視線をそらした、それで靖宏は何だかショックを感じたかもしれないが仕方ない。

(えっ)

 靖宏が戸惑っているのは伝わってきている、でも私は大人版好宏君だって思うとカッコイイ……と体を震わせていた。


 

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