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言うこと聞いてくれるし、反応がかわいいよ

 そういえば渡し忘れていたって気づいた感じで、好宏君がお土産のようなものを渡そうとしてくれた。

「​これ、お母さんが上木さんと食べてって。ドーナツって聞いたよ」

「​ありがとうございます」

 私はお土産を受け取るはずが、好宏君の手を触ってしまう。タッチしてしまったことを悪いと思って手を上にあげた。

「​すすす、すみません! ケガしてないですか!?」​

 

 私がそんなことあり得ないだろうと思うことを口走って心配していると、好宏君が大きな目をいつもより大きく見開いて驚いたという表情をしている。

「ちょっとびっくりしたけど。う、うん大丈夫だよ」

(​過剰反応してしまうほどもち肌だったあああ​ああ!!)

​ 私は恥ずかしさを隠そうと、手を拳状にして机に叩きつける。好宏君が私に(嫌われているのかな……)​と思っているのも知らずに。


​「今​度学芸会で僕、王子様をやるんだー。白雪姫なんだよ」

 ​好宏君が会話のきっかけを作ってくれる気だったかどうかはわからない。だが小学校のイベントのことを話題に出してくれている。

(​王子様とか絶対かっこいいに決まってる!)

​ 私は気の利いた応援でもしようと考えていた。

「岡屋君が王子様というのは、その……」​

 

 しかし、いろんなことを考えすぎてしまった結果、

(​素直にかっこいいとか言ったら気持ち悪いかな……ここはぼやかして)

 ​変な応援の言葉を好宏君に伝えてしまう。

「​え、えっ。ありがとう……?​」

 好宏君が反応に困ってお礼を言っておけばいいのかなという感じに。私は彼を困らせてしまった負い目を勝手に感じて額を机に打ちつける。

「​上木さん!?」​

 急にそんなことをした私を好宏君が心配してくれていた。


「今のはさっき過剰反応した自分に罰を与えただけです」

 ​好宏君に先ほどした行動は理由があってのことだと伝える。もちろん額を机にぶつけたのでズキズキしていた。

「​そんなことしなくていいのに……僕、気にしてないから」

 ​心配そうに私のことを好宏君が見てくれている。


「大丈夫? 痛くない?」

​ 音もすごかったし、痛かったおでこをおさえたからか彼の心配する気持ちが強くなったかもしれない。

「​なんのこれしき、平気です」

 ​これ以上心配かけないようにと痛いのを堪えて、痛い素振りを見せるのをやめた。


​「そう? でも一応」

 ​私に好宏君がおまじないをかけてくれた。

「​いたいのいたいのとんでけ――。​ぴゅ――」​

 彼が満面の笑みで指を回す。

(​飛んでいく……あ​なたの優しさに私の意識が……)​

「上木さん!?」​

 好宏君の不安げな声は聞こえていたが、私の意識はほんの数秒だけ幸せな気分で飛んでしまっていた。


​ 私は最初の頃だけ年齢差でどう接していいかわからず敬語を使っていた。

「​前から思っていたけど上木さんはどうして僕にだけ敬語を使っているの?」

​「えっ」

 ​何度も面倒を見るようになって仲良くなったのにいつまでも他人行儀じゃ好宏君が素朴な疑問を持つのは当然だよね。私は言葉につまってしまう。

「他の皆には普通だからその、嫌われているのかなって」

 ​私は彼にそんな不安を感じさせてしまっていたのか。

「​っ、そんなわけないでしょう!?」​

 とりあえず好宏君の不安を軽減するために席を立って否定した。

「​敬語なのはその……っ」

 ​どういってあげたらいいか私は考えていた。


​(タメ口で話すのが親しげな雰囲気を醸し出すようで恥ずかしいなんて言えない……!​)

 ​いろいろ考えたあげく、私は愛らしい好宏君に開き直って訳のわからない嘘を叫ぶ。

「​大人扱いしてあげているんです! 感謝して下さい!!」​

「えっ、逆ギレ……?​」

 ​私の嘘に彼が戸惑ってしまっていた。


「大人扱いって?」

​ 私が困ってしまったので叫んだことに、好宏君が質問してきた。私は「あ」​とか「え」とことばにならない声を発している。

(​そこはつっこんで欲しくないとこなのに……っ)

 ​ どう答えようか私は迷った末に無理矢理話題を変えた(質問を質問で返したりもした)

「​お、岡屋君だってお隣さんで付き合いが長いのに私のことを苗字呼びじゃないですか! 嫌いじゃないなら名前で呼んだらどうなんです!!」​


 ​私は彼を問いつめた感じになってしまったので、素直じゃない自分に葛藤する。

(​ってあああ​っ、もおばかぁああ​、そうじゃないでしょぉおおもおおおおおおお)

「​えっと……上木さんのフルネームって……?​」

 ​そもそも好宏君は私の名前を覚えてくれていなかったようである。私は好宏君に覚えてもらっていなかったのを残念に思いながらも改めて名前を教えた。

「​緑葉です……!​ というか、自己紹介はしてましたよね?」

​ 最初にあった頃は二~三才だから覚えていなくても当然なのに、彼が申し訳なさそうに謝罪してくれた。


「ご、ごめんね……あ​はは」

 ​少し苦笑いをした後で好宏君が私のことを名前で呼んでくれた。

「​次からは気をつけるね、緑ちゃん」

 ​私の名前は緑葉だけど大抵の人は「緑ちゃん」と呼ぶからそれでいいか。というより、愛らしい彼に呼ばれて顔が赤面する。

「わっ、私はこれくらいで恥ずかしがるような生娘じゃありませんから!」

​「えっ、あ…​…うん……?​」

 ​私が照れ隠しを言うと、好宏君は言葉通り受け取ってくれた。


 文字数はまちまちになりそうです。


すいません><

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