これからが大変そうだけど、2人は幸せなんじゃないか
少しだけベンチの座っている間隔を空けていた好宏君が私と座る距離を縮めてくる。
「僕のこと、どう思ってくれているの?」
私は好宏君に自らの抱いている気持ちを語った。
「こ、告白されて嫌じゃない。どころか……嬉しく思ってしまったといえますか……」
好宏君はその私の様子に両想いだったんだと気付いたようであった。
「! それって……」
私は世間体だとかを気にして許されざる恋だと考えてしまっている葛藤を見せる。
「でっ、でもダメ! これはさすがに恋だと認めると! 人としていろいろと!!」
好宏君にとってはそんなことより、『好き』という感情が強い感じである。
「ショタコンだけじゃないし、ロリコンブラコン熟女好きとか世の中にはいろんな人がいるんだよ。気にしないで! 僕は他人の目なんかよりこの気持ちが大事だと思っているんだから」
私はやっぱりそう思われてしまってもどうしようもないことに頭をかかえた。
「やっぱり私、ショタなんですか!?」
大人びた考えを持つ好宏君が私の本心を確かめようと、質問を投げかけてくる。
「……何も考えないで素直な気持ちを教えて?」
私の背中に手をおいて、気持ちを落ち着かせようとしてくれている好宏君の質問に本心を伝えようかと考える。
「さっきの告白、嬉しいって思ってくれたんだよね」
恥ずかしさで私は首を縦に動かしてうなずく感じにするので精一杯だった。
「僕のこと、恋愛の意味で好きだって思ってくれた?」
私は言葉を選ぶように迷いながらどうにか答える。
「そうなんだと……思います」
「なら、それでいいんじゃないかな」
そうしたい気持ちがあっても、私はなかなかふんぎりをつけずにいた。
「でっ、でもですね。これは!」
私は好宏君がそっと私の手に触れたことに気づく。
「でもね、好き同士なんだよ? くっつかないと神様も怒っちゃうんじゃないかな」
私が決心するまで後一息な状況だった。
「そ、そうでしょうか……」
「僕はそう思っているよ」
私は恥ずかしいという気持ちを押し殺す。自分の気持ちに正直になれた瞬間でもある。
「キューピッドだとしたら仕方ないですよね」
「仕方ないって思っちゃおうよ」
私は好宏君の手を握り返した。
好宏君と植物公園のベンチで恋愛感情を確かめている内にだいぶ時間が経っていた。もう少し遅くなってしまうと好宏君の家=岡屋家の母親などが心配してしまうので帰路につくことにする。
「りょ……両想いってやつじゃないですか」
「うん、あのね。すぐにじゃなくていいから敬語で話すのをやめてほしいな」
私もそれについて直そうと思った。
「そ、そうですね。恋人ってやつですから」
「うん。カレシカノジョともいえるよね」
好宏君にも手をつないでいるので、私の熱が伝わっていそうであった。
「…………」
「…………」
私達はお互い恋人と意識して、テをつないでいるので照れくさそうにしあっている。
「照れるね」
「照れ……ますね」
私は好宏君に親しみをこめた話し方をしてくれないかと頼まれた。
「試しに一回でいいから敬語なしでしゃべってくれない?」
私は無茶振りされたと感じて、全身硬直しかける。
「OH……!! 今やってほしいと!?」
好宏君におねだりの視線を向けられてしまって私は断れなくなった。
「少しでも無理かな?」
「……っ、その」
何とか敬語で話そうとする私。
「し、幸せでござる!!」
私は思いついた言葉で親しく話そうとしたつもりだった。何で昔の人みたいな話し方をしてしまったのかとドン底まで落ち込むかのような気分になる。
「緑ちゃんのそういうところも好きなんだよ」
好宏君は私の全てを好きになってくれていそうだった。
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