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5757  作者: 華月 ゆき
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友達

 うちの高校の制服は、セーラー服だ。

 オーソドックスな紺色の布地に、赤いタイ、プリーツスカート。

 つき子さんにはセーラー服がよく似合う。

 まるで制服という名の衣装を着たお人形のようだ。

 漆黒の髪が艶やかに胸におちて、白い素肌を縁取っている。

 他の人より少し長めの、膝上丈のスカートが翻ると、白い太ももがちらりと見えてどきりと胸を打ち、思わず目をそらしてしまう。



 高校生活が始まってしばらく、私にも友達が出来た。

 のんちゃんとはなちゃんという、ふんわりほんわりした女の子たち。

 「香蓮ちゃん……だよねぇ?」

 「お昼一緒に食べようっ。」

 私が人見知りをして、お昼も机で一人で食べようとしていると、二人がお弁当を持って話しかけてきてくれた。

 正直、友達が出来ないかもと不安に思っていたので、のんちゃんとはなちゃんにはとても救われた。

 3人で居るとおっとりと平和な雰囲気が醸し出されていて、ほっとする。

 「これからも、一緒にお昼、食べようねぇ。」

 のんちゃんはそう言ってにっこり笑った。私は嬉しくて、こくりと頷いた。


 いくつか、分かったことがある。

 つき子さんは来る人を拒まないけれど、深い所では繋がろうとしない。

 どこか、一線を引いている。

 そしてまた、つき子さんに惹かれて集まる人は沢山居るけれど、皆一様につき子さんを憧れのまなざしで見て、「友達」になろうとする人は少ないと言うこと。

 そうだよね。

 私は納得した。私だって、つき子さんと友達になろうなんて思えなかったもの。

 取り巻きのようにつき子さんに群がる人たちの、卑屈で憧憬に満ちたまなざしはまるで……私を見ているようだ。

 ——私がおどおどしているのをつき子さんが気にしなかったのは、慣れていたから。

 つき子さんの変わらない綺麗な笑顔を見ていると、少し、心配になった。


 そしてもうひとつ。

 そんなつき子さんに突っ込んで行ける人が居ると言うこと。

 「つーーーき子っ!」

 どしん。

 教室に入ってきた可愛らしい女の子が、つき子さんに駆け寄って抱きついた。

 わ……。

 その場面を目撃した私は思わず硬直した。

 つき子さんにあんなに密着するなんて、という嫉妬心と羨ましさ、そんなに親しい存在が居たこと、そして何より……その子がとても可愛らしかったから。

 つき子さんと並んでも、見劣りしない。つき子さんが美人だとしたら、その子は可愛いという形容詞の代表格だ。

 ブラウンのセミロングのウェーブヘア、小動物のようにぱっちりした瞳、白く透明感のある肌、しなやかな手足。

 いつも微笑んでいるのだろう唇は、ぽてっとして口角が上がっている。

 ……お似合い。

 その姿を見てきゅっと胸が苦しくなる。

 つき子さんは鬱陶しそうな顔をして、……だけどどこか優しい雰囲気で、その子を見た。

 「真紀。離してちょうだい。」

 「えっへへ。ごめんごめん。ね、つき子、この後うちに寄って行かない?」

 「生憎だけれど、用事があるのよ。」

 「そーっ?残念。今度は付き合ってよ〜?」

 その子はぱっと体を離してひらひらと手を振って駆けてゆく。その軽やかな様は子鹿のよう。

 つき子さんは可憐な溜め息を零した。

 私は、二人を遠くから見つめることしかできなかった。

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